「少年ジャンプしか知らなかった僕に、“青年漫画”を教えたのはBE FREE!だった」
あの頃の僕は、ほぼジャンプしか読んでいなかった。
『ドラゴンボール』
『聖闘士星矢』
『北斗の拳』
『ろくでなしBLUES』
毎週火曜日が楽しみ(北海道ではジャンプ発売日は火曜)で、
少年漫画の世界がすべてだった。
そんな僕に、“青年漫画”という別世界を教えた男がいる。
むらっちょだ。
本名はたしか村山(うろ覚え)。
筆者とは別の工業高校に通っていた同級生で、いわゆる漫画オタク。
「これ、絶対お前好きだから」
そう言って貸してくれた漫画が、BE FREE!だった。
作者の江川達也は、『まじかる☆タルるートくん』で知っていた。
だから最初は、少しエッチでギャグっぽい漫画くらいに思っていた。
……完全に違った。
エロ。
暴力。
教師。
ケンカ。
女。
そして、妙にリアルな“大人の匂い”。
「こんなのアリなの!?」
当時の僕には衝撃だった。
たぶんあの日、僕は初めて
“少年漫画の外側”を知った。
『BE FREE!』(ビー・フリー)は、江川達也の漫画作品、またそれを原作とする映画作品。
江川のデビュー作で『コミックモーニング』(講談社)に1984年7号から1988年29号まで、足掛け5年連載し、単行本12冊になったヒット作品である。高校の若い数学教師笹錦洸(ささにしき あきら)が題名通りに自由奔放豪快破壊的に活躍し、その発想の豊かさから、生徒はおろか民衆の信頼まであつめる荒唐無稽な話。絵は彼の作風の劇画調である。
(ウィキペディアより引用。一部筆者改変)
高校教師が主人公という衝撃
今の時代だと、破天荒な教師キャラは珍しくない。
GTOなんかは破天荒な教師キャラのメジャー漫画だ。
でも当時は違った。
僕の中で“教師”は、
・真面目
・熱い
・大人
・常識人
というイメージだった。
ところがBE FREE!の主人公・笹錦は、
・女好き
・下ネタ全開
・嘘つき
・校舎を破壊する
という、とんでもない教師。
しかも、それがなぜかカッコいい。
グッとくる。
「よくやってくれた!」とカタルシスが生まれる。
今振り返ると、BE FREEは単なるエロ漫画じゃない。
「正しさだけでは、人は動かない」
という、人間臭さを描いていた。
たぶん僕たちは、
あの“危うい自由さ”に憧れていたのだと思う。
ジャンプ少年だった僕に、青年漫画は刺激が強すぎた
当時の僕は、完全にジャンプ脳だった。
友情・努力・勝利。
世界はシンプルだった。
でもBE FREEは違う。
空気が生々しい。
エロ。
欲望。
暴力。
少年漫画にはない“湿度”があった。
特に衝撃だったのは、
「高校教師(それも主人公)がエロと暴力の中心にいる」
ということだった。
しかも、それが不快ではなく、
むしろ圧倒的な熱量として描かれていた。
「大人って、こんな世界なのか……」
たぶん昭和男子の多くは、
青年漫画を読んだ瞬間に、
少しだけ背伸びをした気分になったと思う。
BE FREEは、まさにその入口だった。
単行本2巻、虎子光戦の爽快感は異常だった
個人的に、BE FREEで最も燃えたシーンの一つが、
笹錦のライバル・虎子光とのバトルだ。
初登場時から、
「こいつは永遠のライバルになる」
そんな空気を出していた。
圧倒的な存在感。
強キャラ感。
女にもてて卑怯でいけすかない性格。
読者も、
「これは長期戦になるな」
と思っていたはず。
……ところが。
まさかの完全決着。
しかも、あのノックダウン。
あれは本当に爽快だった。
当時の漫画って、
“引き延ばし”が今ほど強くなかったから、
勢いのある作品は本当に一気に決着する。
そのスピード感も含めて、
BE FREEは異常に熱かった。
今読んでも、
あのシーンは間違いなくテンションが上がる。
BE FREEは“ラスト”で伝説になる
正直、最初は
「エロくて勢いのある漫画」
くらいに思っていた。
でも最後まで読むと、
この作品の見え方は変わる。
特に、
「将来、文部大臣になる男」
という初期設定。
あれが、まさか本当に回収されるとは思わなかった。
そして、まみちゃん。
いつも明るくて、
「セックスしよ〜」と言っていた彼女の結末。
あのギャップは、
今読んでも胸に刺さる。
さらに、笹錦。
あれは反則だ。
当時読んだときも衝撃だったが、
大人になって読み返すと、
また違う感情になる。
一言で言えば「諸行無常」だ。
BE FREEは、
“勢いだけの漫画”じゃない。
最後まで読むと、
ちゃんと人生が残る漫画だ。
哲学だ。
人生の教科書だ。
実は単行本にしかない“もう一つのBE FREE”
そして、ここは声を大にして言いたい。
もしBE FREEを読むなら、
できれば単行本も読んでほしい。
理由は、
最終巻の作者コメントだ。
電子版では省略されている場合もあるが、
単行本には江川達也本人の赤裸々なコメントが載っている。
・連載時の話
・当時の空気感
・漫画家としての本音
これが異常に面白い。
連載時の作者の熱量が伝わってくる。
だからBE FREEは、
単なる“読む漫画”ではなく、
「あの時代ごと味わう作品」
なんだと思う。
Kindle Unlimitedで読むのもいい。
でも、本当にハマった人は、
単行本でも読んでほしい。
それくらい、
“紙の時代の熱”が残っている作品だ。
おわりに
「あの頃の僕たちは、
BE FREEを読んで、“少しだけ大人”になったのかもしれない。」
村っちょ、お前が貸してくれたあの漫画、
今読んでもやっぱり面白かったよ。
