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安全バッジ(仮) ---変わっていく明日へ、大手企業が今動くべき理由 


今回の事故は、販売や飲食の現場における安全構造が、時代に追いついていないことを示した出来事だった。 売上金の扱いという制度の不在と、私物を持てない就業スタイルという慣習の問題。 どちらも「万が一を想定していない」という一点でつながっている。
災害時に逃げられない靴、私物を持てない就業スタイル、ブランド着用の強制。 これらは見栄えを優先する文化の延長線上にあり、働く人の安全と尊厳を損なう構造。 ハラスメントを無くしていきたい現代の労働環境とは明らかに相容れない。
安全を守る仕組みは、災害時だけの話ではない。 日常の働き方そのものに、安全と尊厳を組み込むこと。 そのための制度として「安全バッジ」という仕組みを考えたい。

■ 安全バッジ(仮):今こそ最大手イオンに動いて欲しい

安全バッジは、店舗が満たすべき安全基準を可視化するもの。 災害時の再入館禁止など非常時の考えるべき多分野の安全対策、私物携行の自由、逃げられる服装の推奨、ブランド購入強制の禁止。 働く人の安全と尊厳を守るための基準を、ひとつの枠組みとして示すもの。
こうした制度は、企業が自発的に導入するだけでは広がらない。 製造業で ISO が広がった背景には、大手企業が取引条件として求めたという構造がある。 安全バッジも同じ流れで浸透し得る。 業界最大手イオンが、今回の事故を教訓として安全基準の策定を主導すれば、 他の商業施設やテナント企業も自然と追随する流れが生まれる。
今回の悲劇でテナント従業員の人命を失った企業が その責任感を、働く人の安全確保という姿勢に変えていくこと。 安全基準の策定を進めるという企業姿勢の発表は、遺族にとっても大きな意味を持つ。 亡くなった方の死が無駄にならないという感覚を、社会に共有することができる。

■ しかし業界の抵抗も:--売り上げ至上の体質はもう通用しない

ここで一つ、業界が直面する構造的な抵抗について触れておきたい。 店員が私物を携帯しやすくするためにと、自社ブランドを着用しない運営スタイルに移行した場合、 “動くマネキン”としての視覚的効果が弱まり、売上が落ちる可能性がある。 これは一店舗の問題ではなく、業界全体の売上が下がる可能性を含む。 経営者が反対するのは当然で、短期的な経済構造だけを見れば合理的でもある。
しかし、南海トラフ地震が現実味を帯びる今、 この短期的合理性は、災害という外力の前では意味を失う。 津波が到達するまでの時間が極端に短い地域が広範囲に存在し、 “逃げられない服装”で働くこと自体が、命を危険に晒す構造になっている。 売上よりも命。 見栄えよりも安全。 慣習よりも制度。 これからの飲食や販売において、すぐに逃げられるスタイルで働くことが最重要になる。

安全をブランド価値として位置づけること。 安全な店舗を作ることを、企業の誇りとして示すこと。 それは企業イメージの回復だけでなく、優秀な人材が集まりやすくなるという点でも大きな意味を持つ。 働き手が不足する現代において、安全と尊厳を守る企業は、確実に選ばれる。
安全バッジは、災害時の安全だけではなく、働く人の尊厳を守るための制度。 安全と尊厳を企業文化として示すための仕組み。 今回の事故をきっかけに、業界全体が安全をブランド価値として再定義することが求められる。


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