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きょうだい児の私が兄と青空を見た話


-2025年5月某日、私は兄と一緒に青空を見た-



私には重度の知的障害を伴う自閉症の兄がいる。
生まれた頃から一緒に生活している。



2歳年上の兄とは幼稚園、小学校、中学校と一緒に通った。
登下校も一緒だ。


1番大変だったのは中学校時代。
兄がパニックになり学校の窓ガラスを割り回ったこと。
恥ずかしくて申し訳なくて先生や友達に謝罪し周ったのは
今でも記憶に残っている。


時は経ち2人とも「おとな」になったが、
兄の知能レベルは「こども」のままだ。


・人へのこだわりが強い
・男性が苦手
・特定の人にあいさつをしないと気が収まらない


ほかにもたくさんのこだわりがあるが、人へのこだわりが圧倒的に強い。
男性が苦手になってからは、兄を連れて外食が出来なくなった。

そんな中少しでも成功体験を積もうと私の提案で、
5月某日、兄を連れてアウトレットパークに家族で出掛けた。

人は多いが、アウトレットパークなら敷地も広く逃げ場も多い。
少しでも男の人や他人と同じ空間に滞在することで、
社会活動の経験を積ませたかった。

母がおやつにアウトレットパークで兄の大好きなたこ焼きを買った。
みんなで食べようと空いているテーブルを探したが、
相席テーブルしか空いていない。

兄の調子が良かったので、母は兄に相席を勧めた。

兄は男性の隣に座った。
するとすぐに兄の顔色が変わった。
大好きなたこ焼きには目もくれず、兄の体は硬直した。

ものの数秒で兄は立ち上がった。途端に走り出した。

私は兄を追いかけた。この光景は何度目だろうか。
必死で追いかけたが兄の姿は小さくなっていった。

私は止まって後ろを振り返った。
すると一緒に来ていた弟も走ってくれていた。

私は前を向きまた走った。
弟が私を追い抜く時、こう言った。

「あとはまかせて。これ持ってて」と弟が自分の荷物を私に託した。


その瞬間、私は満たされた。
一人ではないと思った。
こんな状況なのに、生きていて良かったと感じた。


その後のことは弟が対応してくれた。


私はパニックが収まった兄と一緒にベンチに座って青空を眺めた。

なぜか小さい頃の記憶が蘇った。


あの頃の私に教えてあげたいことがある。


それは今私がとても幸せであることだ。


🌸はじめましての方へ


#創作大賞2025   #エッセイ部門   #家族のかたち #兄弟の絆


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