開成中2026年度理科を木ノ下FIVEで解く|表・グラフ・作図をどう整理するか
開成中2026年度の理科では、温度計と温度変化、気象・地層、平面鏡と光の反射、小鳥のエサ選択行動が扱われました。
題材は異なりますが、4つの大問には共通点があります。
表・グラフ・図・長い条件文を、そのまま眺めるだけでは解きにくいということです。
どの数値を比べるのか。
グラフのどこに意味があるのか。
どの補助線を引くのか。
長い文章をどの式に置き換えるのか。
計算や作図に入る前の判断が、解きやすさを大きく変えます。
今回は、問題PDFと約20分40秒の全問解説動画を照合した解析結果をもとに、開成中2026年度理科で確認できた考え方を整理します。
2026年度理科の全体像
大問1 温度計の原理と水温変化
大問2 気象データ、熱収支、地層
大問3 平面鏡、光の反射、像の作図
大問4 小鳥のエサ選択と行動モデル
物理・化学・地学・生物にまたがる構成ですが、知識を思い出すだけでは十分ではありません。与えられた情報から、いま使うべき条件を選び、解きやすい形へ変換する必要があります。
1.表の末尾から「変化の小ささ」を見る
大問1では、3種類の水の温度変化が表で示されました。
ここで大切なのは、現在の温度が高いか低いかだけを見ることではありません。表の55分と60分の数値を取り出し、A・B・Cそれぞれの変化量を比べます。
室温に近づいた水ほど、一定時間あたりの温度変化は小さくなります。つまり、表の末尾にある「変化の小ささ」が、室温との関係を考える手掛かりになります。
表が大きいと、すべての数値を順番に処理したくなります。しかし、設問が何を比べさせようとしているのかを認識できれば、見る範囲を絞れます。
2.最高気温を熱収支の交点と捉える
大問2では、気温、日照、降水量のグラフを照合し、さらに熱収支のグラフを作図しました。
最高気温になる時刻は、単にグラフの最も高い場所というだけではありません。それまでは受け取る熱の方が多く、そこから先は出ていく熱の方が多くなる境目です。
最高気温となる15時を「受け取る熱と出ていく熱が等しくなる交点」と認識すれば、その前後で大小関係が逆転するように作図できます。
グラフ問題では、点を機械的に結ぶ前に、その点が現象として何を表しているのかを考えます。最高点、最低点、折れ曲がり、交点には、それぞれ意味があります。
3.斜めの鏡は、像と法線で整理する
大問3では、平面鏡に映る像の位置、必要な鏡の長さ、斜めに置かれた2枚の鏡による反射を扱いました。
鏡の問題では、目分量で反射角を合わせると誤差が生まれます。
まず、物体や像を鏡に対して線対称の位置へ置くこと。
次に、鏡へ垂直な法線を引くこと。
この2つが作図の土台です。
2枚の鏡では、1回目の反射と2回目の反射を一度に考えようとすると混乱しやすくなります。1回目の像を作り、その像を基準に2回目を処理する。複雑な作図ほど、段階を分けます。
4.長い条件文を「個数×重さ」の式に変える
大問4は、小鳥が大きさの異なるエサをどのように選ぶかを扱う初見設定の問題でした。
文章には、エサの重さ、提示間隔、処理時間、見送る条件など、多くの情報が含まれています。しかし、問われているのは、一定時間内に得られるエサの重さです。
そこで、タイムラインから大エサと小エサの個数を数え、
大エサの個数×20mg+小エサの個数×10mg
という積の和に整理します。
文章の長さに圧倒される必要はありません。何を求めるのかを認識し、必要な条件だけを式へ移せば、最後の計算は複雑ではありません。
開成中2026年度理科に現れた木ノ下FIVE
私は、初見問題を解くまでの思考を「木ノ下FIVE」と整理しています。
1.見る
2.認識する
3.つなげる
4.整理する
5.解く
今回の問題でいえば、
・表のすべてではなく、変化量を比べるための末尾データを見る
・最高気温を熱収支のつり合い点と認識する
・線対称と光の反射をつなげる
・長いタイムラインを「個数×重さ」の式へ整理する
・整理した情報から計算、選択、作図へ進む
という流れです。
「解く」が最後にあるのは、計算や作図の前に、見る・認識する・つなげる・整理する段階があるからです。処理だけを速くしようとするのではなく、処理に入る前の判断を整えます。
過去問の解き直しで確認したいこと
答えが合ったかどうかだけでなく、次の点まで言葉にしてみてください。
・表のどの数値を比較したのか
・グラフの最高点や交点をどう解釈したのか
・鏡に対する線対称の位置と法線を正確に作図できたか
・複数回の反射を1回ずつ分けて処理できたか
・長い条件文を短い式へ変換できたか
最初にどこを見て、どの条件を使ったかまで確認すると、解き直しの質が上がります。
木ノ下翔からのアドバイス
開成中2026年度理科では、大掛かりな計算を続けるよりも、必要な情報を早く選ぶことが重要でした。
大問1では表の末尾。
大問2ではグラフの交点。
大問3では像と法線。
大問4では一定時間内の個数。
見る場所が定まれば、処理は短くできます。
ただし、「作業を減らす」ことと「考えずに飛ばす」ことは同じではありません。なぜその数値だけで判断できるのか、なぜその補助線でよいのかを説明できることが必要です。
過去問を解き直すときは、正解した問題でも、自分が行った計算や作図のうち、本当に必要だったものを見直してください。減らせる作業が見つかれば、それも一つの成長です。
詳しい全問解析は、ホームページの記事にまとめました。
https://学問のすすめ.jp/science-lab/rika-school-strategy/kaisei-science-2026/
