エッセイ:だって、踊りたかったから。
近所でちょっと早い夏祭りがあった。
お昼からやっており、夕暮れ時になると、
盆踊りが始まった。
小学生1年生になったばかりの娘の友だちも何人か来ていた。
娘にとっては、初めての盆踊りだった。
もちろん踊り方なんてわからない。
「踊ってきたら?」と声をかけた
「ううん、友だちも踊ってないし」
そう言って、じっと見ていた。
確かに、大人がメインで踊っているところに混じって踊るのは勇気がいるだろう。
何でもきちんとやりたい娘には、
少し難しいのかもしれない、
と無理強いはしなかった。
盆踊りも終盤に差し掛かり、残り数曲となった。
もう一度、声をかける。
「踊ってきたら?」
娘は、ちらっと友だちを見た。
友だちは、どうしても行きたくないようで、ママの後ろに隠れていた。
娘は少しだけ考えて、それから輪の中へ歩いていった。
楽しそうに、見よう見まねで踊っていた。
その様子を見て、娘が少し成長した気がした。
子どもが何かに挑戦する姿は、どうしてこんなにも胸を打つんだろう。
たかが、盆踊り。
でも、あの輪に一人で入るには、ちょっと勇気がいるものだ。
お祭りが終わった帰り道で、楽しかった?と聞くと、
笑顔でうなずいた。
「何で?」と聞いた。
「だって、踊りたかったから。」
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