「物理的な距離が、私たち親子の心を『近づけた』本当の理由」
「行ってらっしゃい」
そう声をかけたあの日のことを、今でもよく覚えています。
専門学校に通うため、息子が東京に行くことを決めたとき、
私は一緒に部屋を探し、美容室にも挨拶に行きました。
本人が決めた道だから、応援したい。そう思っていたけれど——
その気持ちの裏側には、やっぱり心配と不安がたくさんありました。
まだ高校を卒業していない年齢。
まわりの友達は制服を着て学校に通っているような時期に、
息子はひとり、知らない土地で生活を始めようとしている。
「本当に大丈夫かな」
「ひとりでごはん食べられるかな」
そんなことを考えながら駅で見送られた帰り道、
私は電車の中でひとり、こっそり泣いてしまいました。
あのときの私の涙には、
きっと、寂しさと、心配と、少しの誇らしさが混ざっていました。
でも、上京してからも、息子はときどきLINEをくれたり、
電話をくれたりして、
東京での暮らしやアルバイト、美容室でのことを話してくれました。
「頑張ってるよ」
そんな何気ない言葉が、どれほど私の心を支えてくれたことか。
ひとりで住む部屋を探して、
ネットで美容室を調べて、自分で連絡を取って、
面接をしてもらい、現場で働きながら学ぶ——。
まだ高校生と変わらない年齢の息子が、
自分の力で踏み出したその姿は、私にはとてもまぶしく見えました。
もちろん、きれいごとばかりではなかったはずです。
新しい環境での生活には、きっと戸惑いや疲れもあったと思います。
でも、それでも頑張る姿に、私は何度も励まされました。
離れて暮らすようになって初めて気づいたこともあります。
「そばにいないからこそ、できる応援があるんだな」って。
何もしてあげられないもどかしさの中で、
それでも私の中にはいつもひとつだけ、変わらない気持ちがありました。
——どこにいても、あなたを応援しているよ。
息子が選んだ道。
その道を、遠くからでも信じて見守ることが、
私にできる一番のサポートだったのかもしれません。
次回予告
次回は、上京後に訪れた転機と
息子が「美容師以外の道」に気づくきっかけを描いていきます。
親として、その選択をどう受け止めたのか…。
よければ、また読みにきてくださいね。
通信で学びながら、自分の道を進もうとする息子。
がんばる姿に、こちらが励まされることもあります。
皆さんのお子さんの“がんばり”エピソードも、よければ教えてください。
