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【戦争について深掘り③】太平洋戦争で日本は何を目的とし、どのような勝ち筋を見込んでいたのか

今日の最高気温は予報を超えて36℃まで上がりました。常に誰かに抱きつかれているのと同じようだというと、暑苦しさが伝わるでしょうか。

さて、……。


はじめに

8月に入った。これからの2週間は、15日の終戦の日を前に太平洋戦争についての特集記事や番組が多くなる時期でもある。これまでに以下の記事を書いた。

あなたは太平洋戦争に関わって

  • 日本が何を目的としてアメリカやイギリスとの戦争に踏み切ったのか

  • どうすればその戦争に勝てると思っていたのか

を答えられるだろうか。今改めて振り返ると、分かりにくい部分が多いと思う。今回は、これについて私なりに解明してみたい。


一、日本が掲げた開戦の主な目的

1. 経済封鎖(石油の禁輸)を打破するため

  • 当時、中国へ進出していた日本に対し、アメリカやイギリスなどは石油の全面禁輸などの厳しい経済制裁を行った。

  • 日本国内の石油備蓄は限られており、このままでは軍隊だけでなく経済や社会全体が麻痺してしまうため、南方の油田地帯を武力で奪い取るしかないと考えた。

2. 「自存自衛」のためという大義名分

  • 指導者たちは、「このままアメリカの言いなりになって経済封鎖を受け入れれば、国が滅びてしまう」と危機感を抱いていた。

  • 自分たちの国を守り、生き残るためのやむを得ない自衛の戦争であるという大義名分を掲げて開戦に踏み切った。

3. アジアにおける独自の勢力圏(大東亜共栄圏)の確保

  • 欧米列強が長年植民地として支配してきたアジアから彼らを追い出し、日本を中心とした経済的・政治的な自立ブロックをつくるという野心的な目標もあった。

  • 欧米と対等に渡り合える大国としての地位を維持したいというプライドも働いていた。

一、のまとめ

結局のところ、最大の目的は「経済封鎖で干からびる前に、南方の資源を奪って生き残り、アメリカに短期で音を上げさせて自分たちに有利な講和を結ぶこと」にあった。

しかし、それは相手の底知れぬ工業力を見誤った、きわめて危うい賭けであった。しかも、戦う以外の外交や取引等について全力を挙げていたと評価できる点も見当たらなかった。


二、日本の指導者が考えていた勝利のシナリオ

戦争を始めるとき、負けることを想定して戦い始める国はない。勝つ見込みがない中で戦いを始めるのは、まさに無謀のひとこと。

しかし、太平洋戦争において、日本がどのような勝算や方針を描いていたのかを即座に答えられる人は少ない。ここでは、この点について深掘りしてみる。

当時の日本指導者の戦略は、大体以下のように整理できると思う。

長期戦や総力戦となると、どうしても国力の差による影響が大きく出てくる。さすがに彼らも物量的な不利は認識しており、これを補うため、主に短期決戦や政治的交渉による早期終結を目指していた。

1. 短期決戦による米国の戦意喪失

  • 日本は、アメリカ軍がアジア太平洋地域へ本格的に戦力を展開する前に、初期の作戦で南方資源(石油やゴムなど)を迅速に獲得し、防衛線を固める計画を立てていた。

  • 広大な占領地域を確保して要塞化することで、アメリカに多大な損害を与え、「これ以上戦争を続けるのは割に合わない」と判断させ、講和(和平交渉)に持ち込むシナリオを描いていた。

2. 日独伊三国同盟と国際情勢の利用

  • 開戦時には、ヨーロッパで盟友ドイツがイギリスやソビエト連邦に対して優位に戦争を進めていた。アメリカは二正面作戦を強いられ、日本との戦争に全力を注げなくなると期待していた。

  • また、日ソ中立条約を利用してソビエト連邦との背後からの衝突を避け、イギリスの勢力をアジアから駆逐すれば、孤立したアメリカが交渉に応じざるを得なくなると考えていた。

3. 明治期(日露戦争)の成功体験の踏襲

  • 日清戦争や日露戦争のように、強大な敵が相手であっても、日本軍の精神力や組織的な夜襲、奇襲攻撃によって初期の勝利を重ねれば、相手の戦意を挫くことができるという過去の成功体験が戦略の根底にあった。

  • 物資の生産力や経済力の差(総力戦能力)よりも、精神力や戦略的奇襲の効果を過大評価する傾向があった。


二、のまとめ

  • 実際には、アメリカの工業生産力は日本の予測をはるかに超えており、物量を背景にした反攻作戦に出た。その結果、日本が描いた「短期決戦による講和」のシナリオは早期に破綻した。

  • アメリカにも精神はあり、日米交渉を続けながら真珠湾を奇襲するという「だまし討ち」にアメリカ国民は怒った。強い敵愾心をかき立てた結果、アメリカが早期に講和を求める状況ではなくなった。


終わりに

戦争は本来避けるべき国家行為である。人命は言うに及ばず、莫大な経済損失をもたらすものだから当然である。

今回改めて考えてみたが、日ソ中立条約も、日米交渉も、いずれも将来の戦争を前提としたものでしかなく、戦争しか日本の取るべき道はなかったのかを深く考えた形跡が見当たらない。

また、勝利のシナリオをきちんと描けていたのかも心許なく、自存自衛と言いながら、ドイツの勝利に期待する他力本願がなかったとは言い切れない。

やはり戦うべきではなかったとの思いを強く感じている。

お読みいただき、ありがとうございました。

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辻六道🥚 読んで頂いただけでも十分嬉しいです。サポートまで頂けたなら、それを資料入手等に充て、更に精進致します。今後ともよろしくお願い申し上げます。