イチゴ大福は、甘い嫉妬の味。
娘が生まれて1000日目。喜ぶべき節目のはずなのに、私はちょっぴり複雑な気持ちになりました。2歳の娘は、イヤイヤ期真っただ中。
ひと言目は、とりあえず「やーだーよー」だったのですが、近頃は、「パパがいい!」と主張するようになりました。
私が「お風呂に入ろう」と声をかけると「イヤ!パパがいい!」と叫び、夫が手を差し伸べると嬉しそうに駆け寄ります。絵本を読むときも「ママじゃなくてパパ!」と指名。まるで私が透明人間になったかのようです。
私の手を振り払って夫の元へ駆け寄る娘。その後ろ姿が、やけに遠く感じました。「いやいや、私はあなたを生んで、毎日お世話しているんですけど!」と、心の中で叫ぶのですが、もちろん娘には届きません。そんなことを考えている自分の器の小ささを感じながらも、どうしてもモヤモヤしてしまいます。
先日、保育園の帰り道、和菓子屋さんの前を通ると、イチゴの写真が載っているのぼりを見つけ、娘が「食べたい!」と言い出しました。つやつやと輝く大きくて真っ赤なイチゴが、ふんわりとした真っ白な大福の中から顔をのぞかせています。これは絶対においしいに違いありません。
3個入りが売り切れてしまっていたので、2個入りのイチゴ大福を2つ買いました。娘はイチゴが大好きなのです。家に帰ると、娘が袋をのぞき込んで「わぁ!」と目を輝かせています。小さな手を伸ばし、ピョンピョン跳ねながら言いました。
「ママ、これ、食べていいの?」
「もちろん」と答えようとした、その瞬間でした。
夫からテレビ電話がかかってくると、すぐさま娘が覗き込みました。
「パパ、イチゴ大福食べていい?」
……え。
私の言葉は宙に浮いたまま消えて。
夫の画面越しの顔がほころぶ。「いいよ、どうぞ」と優しい声が響く。すると娘は、まるで大事な許可をもらったかのように満面の笑みを浮かべ、イチゴ大福を頬張りました。
その笑顔が、なんとも言えず可愛い。
でも、その可愛さが、余計に私の心をざわつかせました。
娘は「おいし~!」と満面の笑みで頬張ります。夫も「かわいいねぇ」と優しく微笑みます。その様子を見ていたら、なんだか悔しくなってきました。
この気持ちは何なのでしょう。
そう、嫉妬です。
夫に娘をとられたような気がして、娘に夫をとられたような気もして、なんとも複雑な気持ちになります。
ほんの数か月前までは「ママがいい!」と泣いていたのに。
あの頃は、トイレに行こうとするだけで泣かれて、息苦しさすら感じていました。それなのに、いざ「ママじゃなくてパパ!」と言われると、どうしようもなく寂しくなります。
今のこの状況も、もしかしたらほんの一時のことなのかもしれません。
とはいえ、やっぱりちょっと悔しいです。
「ママもイチゴ食べたいな」
そう言ってみると、娘はしばらく考えてから、小さな指先で、最後のひと口を差し出しました。口の中で、イチゴの甘酸っぱさが広がるのでした。
喜木 拝
#嫉妬祭り #フィードバック希望
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もっとドロドロした嫉妬を書くつもりでしたが、母の複雑な心情になりました。
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