蛇口から、こぼれたのは しあわせでした。
蛇口から、ぴゅーっと出てきたのは、水じゃなくて―笑い声。
「つめたい!つめたいよー!」
夏の陽ざしが照りつける公園。
すべり台の下にある、ちょっとくたびれた銀色の水道の前で、
3歳の娘がびしょぬれになって笑っています。
顔をしかめながらも、また蛇口をひねる。
またびしょびしょになる。
そして、また笑う。
「もういっかい、やっていい?」
そんなの、決まってる。
何度も繰り返されるこのやりとりが、
なぜだか愛おしくて、
それをそっと詩に残してみたくなりました。
蛇口から
蛇口から
つめたいおみず ぴゅーっ!
きゃはは
にげるみず つかまえた!
ひとさしゆびで ちょん
ほっぺにも ぴたっ
シャツのおなかに しみこむしあわせ
「まほう みたいね」
おててでつくる シャワーのトンネル
じょうろもバケツも ぜんぶおともだち
びしょぬれのスカートも
おひさまが だいすきっていうから
だいじょうぶって わらってる
もういっかい! もういっかい!
おみずが こたえるみたいに
また ぴゅーっ!
蛇口から
きょうも たのしいが こぼれてく
子どもの「いま」を言葉に残せるって、
ほんとうに幸せなことだなと思います。
小さな手でふれた水の感触。
その冷たさや重さ、はじける音も、
今この瞬間しか味わえない“感覚”なのかもしれません。
それでも言葉にしておけば、
きっと、どこかに残る。
今日こぼれた「たのしい」が、
誰かのこころにも届いたら、うれしいです。
#シロクマ文芸部 さんのお題で綴りました。
「蛇口から」
この一言から始まる世界を、3歳の娘が見せてくれた「水遊びのきらめき」と共に描いてみました。
毎日見ている、当たり前の光景の中に、
こんなにも発見とよろこびが詰まっているんだなぁと、
娘の笑顔を見ながら感じることがよくあります。
ここまで、お読みいただきありがとうございます💖
喜木 拝
いいなと思ったら応援しよう!
サポート頂けると飛んで喜びます!
本を買う代金に充てさせて頂きますね〜
感謝の気持ちいっぱいです!!