脳が育つ今だからこそ、大切にしたい心の習慣|シリーズ:子どもとマインドフルネス vol.2
こんにちは、マインドフルネス講師の野村りなです。
夏休み限定でお届けしているnote連載【子どもとマインドフルネス】。
第2回となる今回は、「なぜ小学生の今が、心の習慣づけにとって大切な時期なのか?」について、脳科学や発達心理の視点からお話ししたいと思います。
🧠 小学生の脳は、今まさに「つくられている」途中
子どもの脳は、大人のように完成されたものではなく、まだ発展途上です。
中でも、小学生の時期は「前頭前野(ぜんとうぜんや)」というエリアが急成長するタイミング。
この前頭前野は、
感情のコントロール
集中力や注意力
衝動の抑制
思考の整理や判断力
など、「心のハンドル」を握る大事な部分を担っています。
MRI研究によると、前頭前野は6〜12歳ごろにかけて急速に構造変化が起こり、思春期を迎える頃には大人に近づいていきます(Giedd et al., 1999)。
✨ 今の体験が、未来の「心のパターン」をつくる
この時期の脳には、もうひとつ大きな特徴があります。
それは、「神経のつながりがとても柔軟(可塑性が高い)」ということ。
脳の中では、日々「シナプス」という神経のネットワークが新しく作られたり、使われないものが削除されたりする「剪定」という現象が起きています。
つまり、どんな体験をし、どんな反応の仕方を覚えるかによって、
「こころのクセ」や「反応のパターン」が形づくられていくのです。
怒りをそのままぶつけるのか、「いまイライラしてるな」と気づいて深呼吸できるのか。
この違いが、日々の小さな積み重ねから生まれることを、私たちは忘れがちです。
🧘♀️ マインドフルネスは、前頭前野を育てる実践
マインドフルネスとは、「いまの自分の状態に気づき、あるがままに受けとめる」練習です。
たとえば——
呼吸に意識を向けて落ち着いてみる
気持ちの変化を言葉にしてみる
イライラしてることに気づくだけで終わらせる
こうした体験をくり返すことが、実は前頭前野の活動を高めることが、近年の研究で明らかになっています(Tang et al., 2012)。
「感じる → 気づく → 受けとめる」
というステップを、小学生のうちから無理なく身につけていくこと。
それが、将来の自己調整力やレジリエンスの土台になると考えられています。
📚 海外の実践と研究でも注目されています
マインドフルネスは海外の教育現場でも導入が進んでおり、実証研究も豊富です。
たとえば──
アメリカのSempleら(2010)は、小学生にマインドフルネス認知療法を実施し、
不安の軽減
情緒の安定
自己調整力の向上
といった効果を報告しています。
また、複数のレビュー論文(Zenner et al., 2014/Felver et al., 2016)でも、マインドフルネスを取り入れた教育が、注意力・共感力・学業パフォーマンスの改善につながることが示されています。
🌱 心の「非認知能力」は、早いうちに育てたい
最近では「非認知能力」という言葉も広く知られるようになってきました。
これは、テストで数値化できる「学力」とは異なる、
自己制御力
モチベーション
感情の調整
他者との関係を築く力
といった「生きる力」です。
この非認知能力を支えるベースが、「自分の気持ちに気づき、整える」という体験。
小学生期は、この力をやさしく、楽しく体験ベースで身につけるチャンスです。
🍀 まとめ|心の習慣は「静かな時間」から生まれる
子どもの心は、毎日忙しく動いています。
でも、その中に「ちょっと立ち止まる」「今の気持ちに耳をすませる」時間があるかどうかで、未来の安心感や柔軟性は大きく変わってきます。
マインドフルネスは、子どもにとっても無理なく取り入れられる、「こころの習慣」の入り口です。
🔜 次回予告
明日は、いよいよ講座の中身をご紹介!
小学1〜3年生向けの「こころとからだの声を聞いてみよう」講座の詳細とワーク内容をお伝えします。
「実際にどんなことをするの?」と気になっている方に、体験のイメージをお届けします。
📌 夏の体験講座の詳細はこちらから
「こころとからだの声を聞いてみよう|遊んで学べるマインドフルネス」(小学1〜3年生向け)
日にち:8月20日(水)
時間:午前10:40 ~ 12:10
場所:学習院大学南一号館(東京都豊島区目白1-5-1、JR山手線「目白」駅改札からすぐ)
対象:小学1〜3年生(保護者参観可)
内容:気持ちに気づくワーク/からだとこころをつなぐ体験/音の集中ゲーム/色を使った癒しの時間 など
講師:野村里奈(Lay株式会社代表取締役/マインドフルネス講師)
主催:学習院さくらアカデミー
お申込みはこちら
「自分にも周りのみんなにも優しくしてみよう|思いやりを育てるマインドフルネス」(小学4〜6年生向け)
日にち:8月20日(水)
時間:午後13:15 ~ 14:45
場所:学習院大学南一号館(東京都豊島区目白1-5-1、JR山手線「目白」駅すぐ)
対象:小学4〜6年生(保護者参観可)
内容:共感・感情の調整・自己受容・セルフ・コンパッション・思いやりのワーク
講師:野村里奈(Lay株式会社代表取締役/マインドフルネス講師)
主催:学習院さくらアカデミー
お申込みはこちら▼
参考・引用文献
Felver, J. C., et al. (2016). A systematic review of mindfulness-based interventions for youth in school settings. Mindfulness, 7, 34–45.
Giedd, J. N., et al. (1999). Brain development during childhood and adolescence: a longitudinal MRI study. Nature Neuroscience, 2(10), 861–863.
Semple, R. J., et al. (2010). A randomized trial of mindfulness-based cognitive therapy for children. Journal of Child and Family Studies, 19(2), 218–229.
Tang, Y. Y., et al. (2012). Mechanisms of white matter changes induced by meditation. PNAS, 109(26), 10570–10574.
Zenner, C., et al. (2014). Mindfulness-based interventions in schools—a systematic review and meta-analysis. Frontiers in Psychology, 5, 603.
