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新刊発売 │ 『薬箱とスパイス』

「字がきれいに書けないのは、頭の中にある “お手本”がきれいじゃないからなんです。
だから、理想の字を脳内にインストールする。きれいな字を書く第一歩です」


ずっと前に見た「美文字」がテーマの番組で、先生がこういったことを話していた。


これって、「字のきれいさ」に限ったことではないのかも。
ふとそんなことを思った。


私の頭のなかにあった "お手本” の食卓は、実家の母がつくるごはん。
毎食きちんと一汁三菜があって、レトルトやお惣菜が並ぶことなんてほぼなかった栄養と彩りにあふれたごはんだ。

料理はきらいじゃない。
けれどもいまの自分の生活スタイルや家族の好み、それから私自身の飽きっぽい性格といったさまざまな背景を考えたら、そのお手本はずっとハードルが高いところにある。

そのことに長い間気がつかずにいた。


私が大事にしたいのは、自分がむりなく続けられるバランスだ。
毎日コンスタントにきちんとした食事をつくれなくてもいい。

台所に必要なのは、薬箱と、それからスパイス──。



3月6日(金)に、インプレス NextPublishing
様より新刊を発売します。タイトルは『台所には薬箱とスパイスがあるといい』。




この本で出てくるのは、具体的な料理のレシピじゃない。
薬箱とスパイスという仕組みのつくりかたである。

自炊をはじめてから20年近い日々で気づいたことや、家事ブログを10年つづるなかで言語化してきたさまざまなヒントを、ラクになる「薬箱」、楽しくする「スパイス」という観点から厳選してまとめた。

原稿を書くときに大事にしたのは、どんな環境の人も置き去りにしないということだった。
困りごとを、自分で解決できるようになる、そのヒントになればいいと思っている。


というのも、私自身が数年前──幼児と乳児をワンオペで、見知らぬ土地で、買い出しすら行けない場所で育てる苦悩のなかですがるように読んださまざまな本を見て、途方に暮れたからだ。

強いメッセージには、人生を変えるパワーがある。
沼の底でぶくぶくと溺れて停滞していたのにぐっと一気に水面まで引き上げてもらえるような。

けれどもそれはあくまでも、その内容が自分の背景にカチリと当てはまっていれば、である。


けれども、そうじゃなかったとき──。
その言葉は逆に、孤独感を突きつけてくる。自己嫌悪につながってしまう。

それが実用書を書く時のむずかしさだとも思っている。

そんなわけで、なにを読んでも取り入れられることがほぼなかったあのころの、自分のような人に向けて、この本を書いた。

本の中では、私が実際に見つけた30個のコツをぎゅっと凝縮して書いている。

その内容にぴんとくるなら、ぜひそのまま取り入れてもらえたらうれしい。

けれども、上の私の感情のように「こんなのできないよ」っていうこともあると思うのだ。

本書ではぜひ、その「できない」に着目してほしい。

どんな人にでも100%ぴったり合う方法というものはない。
だから、ひとつの方法を見たら、それを自分なりの配合に調合していくという方法をおすすめしている。


最後に、ひとつお伝えしたいのは、「ごはんを手作りしてるだけでもすごい!」ということ。

つまり、自炊ができるというのは当たり前のことじゃない。
ものすごくセンスがあるか、あるいは努力しているか、その両方かということである。


この本を書くにあたって、1食ができるまでのタスクをみじん切りするように洗い出していったら、なんと30アクションも必要だということがわかった。
それを毎日、毎食こなしているのだとしたらとてもすごいことだし、むしろ、できなくても不自然なことではないのである。

働き方や生き方の多様性は認められているけれど、家事や料理といった生活にまつわるものは「できて当たり前」という固定観念が今もあるように思う。
自分のなかでも、それをなかなか壊すことができずにいた。だからこそ、この本を書くにあたって、自分の頭のなかの"お手本”も更新された気がしている。


母のようなきちんとしたごはん。それは理想として消すことはしない。
でも、一段ずつ階段を登っていくように、節目節目でインストールし直すのでもいいと思う。

自分の「好き」と「得意」のバランス。
「ラク」と「楽しい」のバランス。

それを調合してオリジナルの味をつくるみたいに、この本を楽しんでもらえたらとてもうれしい。


▼書籍の詳細やご購入はこちらから。

3月6日(金)発売『台所には薬箱とスパイスがあるといい』。
いまのあなたの台所の片すみに、そっと置いてもらえたらうれしいです。


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三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡