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家事がきらいな理由は”そんなこと”かもしれない。


実家は本の森だった。
ものすごい数の蔵書が家じゅうの本棚に詰まっており、入り切らないものは積み重ねられていたくらい。けれど、わたしが読めるものはそれほど多くはなかった。

子ども向けの本をだいたい読み終えたあとは、父のビジネス書や母の主婦雑誌にも手を伸ばした。

その中で『ESSE』にハマった。


心が躍ったのは”収納”の特集。小学生にとっても、場所によっては身近なテーマだった。

足の踏み場もない子ども部屋をなんとかしようと、ページをめくりながら、牛乳パックや空き箱で収納ケースをつくる記事を再現して楽しんでいた。



でも、家庭を持ってみて、気づいた。

「わたし、家事がきらい……なのかも?」

ショックだった。

誌面に登場する主婦たちのように、家事に”クリエイティブなたのしみ”を見出したいと思っていたのに。

けれども現実は単純作業のくり返しだった。汚れた衣類を洗い、汚れた食器を洗い、ほこりをそうじして……またすぐに汚れる。
その無限ループで、家事をどんどんきらいになっていった。クリエイティブさの欠片も見当たらなかった。


そんな私が「とっておき家事」を始めたのは、10年前のことだ。洗いものや洗濯のような”くり返す家事”以外のことを、1年間で365個やろうという取り組みだ。

そして、ようやく気づいた。

「家事をクリエイティブにするかどうかは、自分次第だ」と。

作業そのものは変わらない。でも、「どうすれば楽しめるか」「どうすれば楽になるか」を探ること――その試行錯誤が、私にとってのクリエイティブさだった。

「とっておき家事」を10年間毎日、ブログに記録し続けてきた。


今でも洗いものを溜めてしまうことはある。
家事そのものが好きになったわけではない。でも、溜めてしまった時の対処法は、わかっている。

たとえば、私が洗いものを嫌いな理由は、手が汚れたり濡れたりすることだった。雨の日と粘土と泥をとてもきらう子どもだったので、すとんと落ちる理由だった。

ゴム手袋を使えばその問題は解決した……と思いきや、手袋が合わなくてさらにストレスを感じる時期も。
サイズを見直したり、素材を変えたりすることで、少しずつ不快感を減らすことができた。


洗いもの自体はやめられない。
でも、どうすれば”楽”にできるのか。それを探り、試行錯誤を重ねることにはとても心惹かれた。

クリエイティブな家事は、家事をらくたのしくするための”実験”だったのだ。


(1,000字)



ひとりでこつこつ実験を続けていたら、いつの間にか、家事本の著者になっていた──。


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