”運命の花”を見つければ、流されない自分がつくれる
好きな色が、わからない──。
目を閉じるとホワイトベージュの、学校の机が浮かぶ。その上にはカラフルでポップなキャラクターが描かれたプロフィール帳。
わたしはポムポムプリンのシャーペンをとんとんと揺らしながら悩んでいる。ドラえもんのメモ帳を出してきて、下書き気分で書いてみるものの、やっぱり思いつかない。
ずらりと並ぶ質問を埋められなくて、頭を抱えたことをよく覚えている。
好きなこと、得意なこと、自分の考え方……。
幼いころのわたしには、自分ではなにも思いつかなかった。
たとえ、好きな色というそれだけのことでも──。
5歳のころはピンクが好きだった。みんなが好きだというから。
6歳のころ、水色好きに変わった。みんなと同じがつまらないから。
15歳のころ、真っ赤なパーカーを買ってみた。新しい自分になりたかったけれど、服に着られていた。
18歳のとき、ピンクのトレンチコートを買った。友だちが着ていた辛子色のコートが素敵で、色のきれいなものを着たいと思った。
20歳。ピンクを封印した。彼氏(今の夫)がピンクはきらいだと言うから──。
23歳。やっぱりピンクに惹かれる。
26歳。どんどん年齢を重ねるばかりなのだからと、ピンクをふたたび封印して、黒を纏った。
わたしの”運命の花”は、ビオラ
ここ10年ほどのわたしは、好きな色を問われたら迷わず答えられる。
それは”ビオラ”の色。

冬になると雪に閉ざされて、花とは無縁になる街で生まれ育った。
雪国を出たわたしは、冬でも花があることに驚く。
椿や山茶花の赤は、わたしには少し鮮やかすぎて眩しい。梅の白や濃いピンクも臘梅の透き通った黄色も素敵だ。けれども、なぜだかしっくり来ない。
そんなある日、わたしは、運命の花に出会った。
街路樹を取り囲むように植わっていたビオラだった。
可憐だけれど、しっかりとした存在感がある。小さくてささやかながらも華やかに目をひくその姿が好きだ。
ビオラは品種改良を重ねて実際にはさまざまな咲き方や色味のビオラがある。黄色、白、黒、赤にピンク。

でも、定番カラーである淡い紫が好き。
少しピンクがかったものも素敵だし、青みの強いものも心惹かれる。

ビオラの花は、ずっと探し求めていた片割れを見つけたかのように、わたしの心にじゅわりと染み込んだ。
いつからかわたしの周りにあるものはビオラを連想させるものばかりになっていた。
淡い紫のスカート。
金色の、ビオラの花みたいな形をしたイヤリング。
くすんだモーヴピンクのポーチ。
青み紫の便箋。
ビオラを模したマスキングテープ……。

インテリアだってそうだ。
ビオラのようなイメージを無意識に探している。
これは必ずしもビオラ柄やビオラ色ということではない。
そうじゃなくって、ビオラという”モチーフがもつイメージ”を言葉にしたものがわたしの芯になったのだと思う。



かわいいけれど、キュートってことじゃない。
凛としている。でもクールという意味ではないのだ。
華やかだけど、ゴージャスまではいかない。
それがビオラの花にわたしが持つイメージ。

可憐で、ささやかで、それなのにしっかりした存在感がある。
そういうものが好きだ。
これは、わたしの生き方の道しるべになった。
選ぶもの、こと、考え方……。すべてにビオラが根を伸ばしていった。

わたしにとってのビオラのような存在を「テーマフラワー」と呼んでいる。「生き方」と「もの選び」の指針になる運命の花のことだ。
夫は今でもピンクがきらいだ。
でも、今日、ピンクと紫の中間のような色の服を買った。
あなたのテーマフラワーを見つけるには?
テーマフラワーの探し方について、話してみたいと思う。
じつはわたしは、”わたし”としてのテーマフラワーだけじゃなくって、”家族”のためのファミリーフラワーもつくったりしている。
そんなわけで、さまざまな角度からじっくりと考えてきたこともあり、自分にぴったりのテーマフラワーを見つける方法を3つ紹介しようと思う。
1. 花言葉で選ぶ
言葉の意味から、自分にしっくりくるものを探す。
2. 色や花姿で選ぶ
好きな色や形の花は、あなたの個性を映すものかもしれない。
3. シンプルに「好き」で選ぶ
理屈ではなく、見た瞬間に心がときめく花を選ぶのもいい。
それではここで練習問題。
次の5つの花の中で、あなたならどの花に惹かれるだろう?
1.薔薇
2.百合
3.チューリップ
4.ひまわり
5.竜胆
どの花も、それぞれの魅力がある。
すこしだけキーワードを足してみる。
1.薔薇 ─ 華やかで気品がある
2.百合 ─ 凛として清らか
3.チューリップ ─ 明るく愛らしい
4.ひまわり ─ ポップで元気なかわいさ
5.竜胆 ─ 静かで奥ゆかしい
もし「これだ!」と思う花が見つかったなら、それを自分の指針にしてみるのもいいかもしれない。
この5つが「なんとなく違う」と思った人は、記事末尾をチェックしてみてほしい。
もっとたくさんの花を用意してみた。
花が、人生の道しるべになる
テーマフラワーを持つことは、単に「好きな花を決める」ことではない。 それは「自分らしさを知ること」であり、「選択の軸を持つこと」でもある。
日々の暮らしの中で、あるいは人生の岐路で迷うことがあったら、そっと自分の花を思い出してみる。
私にとってのビオラのように。

『出先でビオラの鉢植えを見つけて、凛花さんを思い出しました』
数年前、フォロワーさんからこんなコメントをもらった。
わたしのテーマフラワーのビオラは、いつの間にかわたし自身を表す"モチーフ"に変わっていた。
いまなら答えられる。好きな色は薄紫。
夜明けのグラデーションの中から取り出したような色味で、ほんのりピンクがかっている。
可憐で繊細なのに、目を引く華やかさがある。
そんな花のような生き方を、わたしはしていきたい。

あなたのテーマフラワーは、何ですか?
#創作大賞2025
#ビジネス部門
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