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マリカーしてただけなのに、部屋がどんどんきれいになる話

ソファのすぐ横で、猫たちがまどろんでいる。

私はコントローラーをカチカチと鳴らしながら、ぼんやりとテレビ画面に目をやっていた。

ソファの横に投げ出したスマホが、ピコンと通知音を鳴らした。

娘が「学校を出発した」という通知が表示されている。


「やばい、もうこんな時間だ……」

画面の中で、ピーチ姫がコーナーを曲がりきれずに壁にぶつかった。


マリカーは楽しかった。
でも、こんなはずじゃなかったのだ。


そろそろ花の時期が終わりだから安くなっているはずの苗を調達しにいこうか悩んでいた。

それはブランドもののビオラ。一年草だと考えてみると、とても手が出せない値段だったのだ。

それとも、書斎で書きものをしようかな。

よく作るレシピをまとめたいと思いつつ、ずいぶん時間が経ってしまって、毎回Instagramを開いて、保存したところからレシピの投稿を探していたのだった。


読書もいいな。
子どもたちに添い寝をしていると、真っ暗でなにもできないから、読みたい本がたくさん溜まっていた。

ーーこんなふうに、朝起きたときは、いろいろな ”ルート”を考えていたはずなのに。


今朝は寝坊してしまったから、仕事をしに出る前片づける余裕がなくて、床にはおもちゃが散らかったまま。シンクには洗いもの……。

お昼を食べて1時間好きなことをして、それからまとめて片づけようと思っていた。
でも、もう数分で娘が帰ってくる。

時間をむだにしてしまった気がして、罪悪感が残った。


一度はじめたら、なかなかやめられない

それは、一人でゆっくりとスケジュールを立てる時間さえなかった春休みが終わり、やっと自分の時間が持てるようになった時期だった。

昼まで仕事をして、かんたんに昼食を済ませたら、ちょっと動くのが億劫になった。

「マリカー、ちょっとだけしようかな」

コントローラーのホームボタンを押す。Switchの繋がれたテレビに、見慣れたオープニング画面が表示された。

そして、気がつくと、小学2年生の娘が家に着く直前まで、ゲームに明け暮れてしまったのだった。


子どものころから、ゲームをはじめると、なかなかやめられないタイプだった。母にはよく雷を落とされた。

親の目がなくなると、やめ時をうまく見つけられなくて、さらに悪化した。


「やめられない」のは、ゲームだけじゃない。

漫画もドラマも、一度没頭すると、やめられない……。

やめられないというか、勉強やピアノの練習など、「やらなくちゃいけないこと」も一度はじめてしまえば長時間できたので、とにかく「今集中していること」から離れるのが”面倒”という感覚が近いのかもしれない。


そんな自分のことがわかっているからこそ、子どもが生まれたのをきっかけに、スマホの中からゲームアプリをすべて削除し、家庭用ゲーム機にも距離を置いていた。

ところが、去年あたりから、子どもたちも少し大きくなってきて、マイクラやマリオなどのゲームをするようになった。


「ママ、いっしょにマリカーしようよ!」

そう誘われて、一緒にゲームをすることも出てきていた。

たのしかった!

だから、子どもが学校に行っている間や眠ったあとなどに「仕事や家事の合間の休憩タイムに」と一人でやってみたら……。

おとなになったから、親になったからといって、もともとの性格は変わっていなかったのだ。

ようやく手に入れたひとり時間が、ゲームだけで消えていくむなしさに悩まされていた。

──でもこれは、数ヶ月前までのこと。

その後、良い方法を見つけて、今はむしろ「ゲーム」のおかげでどんどん家がきれいになっていく不思議体験をしている。

ゲームは「タイマー」の代わりになる


「ゲーム」を「タイマー」代わりに使うことで、楽しみながら、ぼんやりしている間に家がきれいになる。

ここではゲームで紹介しているけれど、最初に書いたように、熱中しているさまざまなこと、媒体で応用が効く。

チェックしたいのは、そのゲーム(または熱中していること)に「待ち」の時間があるかどうか。

「待ち」時間がない場合、この方法は使えない。

「待ち」時間とは何か?

「待ち」の時間の一例をあげてみる。

・セーブするのに時間がかかる
・ロード時間がとても長い
・一度スタミナ(?)がなくなると回復まで待たなければいけない

イメージがしにくければ、テレビで考えるとわかりやすい。地上波のテレビだと、必ずある「待ち」の時間。それは「CM」。

YouTubeでも、有料契約をしていなければ長い広告がある。無料で読めるマンガアプリにも、広告をクリックして待つ時間が存在する。

こうした「待ち」の時間が20秒以上あれば、今回紹介する方法が生きてくる。

ここでは、わたしが普段やっている「マリオカート」のオンライン対戦を例としてあげて、どんなふうに「待ち」の時間を使っていくか紹介したい。

マリカーのオンライン対戦をすると「待ち」時間で部屋がきれいになる


わが家のSwitchは、テレビに接続してあり、テレビ画面を見ながらコントローラーを使ってマリカーをしている。

マリオカートにはいくつかのモードがあり、オフラインの場合はこの方法が使えない。

実際にどんなふうにやっているかを紹介していく。

1.ゲームを起動して、オンライン対戦モードにする

「インターネットで」を選択。

キャラクターや車の装備を選ぶ。
すると、メンバーを探すのに十数秒~1分程度かかる。

参加できるレースが見つかるまでの画面。

メンバーが見つかっても、すでにゲームがはじまっていて「観戦」というモードになることがある。その場合は、待ち時間が1~3分も必要に。

2.レースをしたいコースを選ぶ

全員がコースを決めたあとに、ルーレットで決まる感じなので時間がかかる。

ここが「待ち」の時間!

コースを選んだらすぐに立ち上がり、限られた時間内でできることを進めていく。

コース選びは、全員が決めたあとにルーレットで決まるため、他の人がコース選択を終えたかどうかで、その都度時間が変わる。

私が実際にやってみたところ、すぐに決まってしまう最短時間の場合でも、ゲームをしているソファから5mほど歩いてキッチンへ行き、お皿を5枚くらい拭いて、また5mほど歩いて戻ってくることができた。


移動せずに、近くでできることをやればもっとたくさんのことが終わる。

でも、移動するのは、それはそれで便利。

すぐに立ち上がって歩く! という動作がルーティンとしてしみ込んでくると、気持ちを切り替えやすくなる。その結果、集中して短時間にたくさんのことを終わらせられるようになった。

家事の本を書いているけれど、すべての家事が好きではない。とくに洗いものはなかなか好きになれなくて後回しにしがち。

でも、読み込みが長かったり、他の人が選ぶのに時間がかかれば、たった一度の待ち時間でも4人分のお皿が1/3くらいは拭けてしまう。

3.レースに参加する

レースはだいたい3分くらい。

4.立ち上がる

レースが終わって、この画面になったら「コントローラーを持って」立ち上がる。

「2.」に戻って、あとは、ゲームがはじまるまでにとにかく動く!

5.またゲームをする。

この方法で、3分程度のゲーム、1分前後の家事、3分程度のゲーム……をくり返していくと、気晴らしをしながらも、確実に家事は進んでいく。

「気晴らし」しながら家事をするからしんどくない

この「気晴らし」こそが、おすすめポイント。

先ほど書いたように「ひとり時間がゲームで浪費されていく」のは嫌だった。でも、だからといって、たとえば夜子どもたちが寝たあとに、一人で散らかった家を片づけていくのもやりたくなくて。

片づけやすい工夫をしてあるのに、毎日部屋を元通りにしているのに、毎日毎日毎日、床にばらまかれたものを拾っていく日々……。


家事って、「自分だけがやらされてる感」もしんどさにつながっているのだと思っていて。

だからこそ「ゲームのついでに片づけていく」だと、自分だけがやらされている感じがなくなって、ぜんぜん苦痛に思わなくなっていった。

1分には魔力がある

オンラインの合間にする家事は、1回あたり1~3分程度の短い時間だ。だから、それを見ている夫からは「意味なくね?」といつも言われている。

でも、夫は1分には魔力があることを知らない。

1分あれば、たとえばこんなことができる。

・数枚のお皿拭き
・数枚の洗濯もの畳み
・数枚の洗濯もの干し
・床に落ちているものを拾う
・テーブル拭き掃除
・どこでも拭き掃除

などなど。

「やりきる」のがむずかしいシーンは多いけれど、何セットかやれば終わる。だから意外とあなどれないし、「1分」という時間制限があることで、自然と動きが早くなるのもポイント。

時間があるとついゆっくり動いてしまうので「たっぷり時間があったはずなのになぜかあまり終わっていない」ということが私はよくある。

でも、この合間にする場合は、短時間しかやっていない気がするのに、なぜかどんどん片づいていく!という錯覚のようなことが起こる。

最近は、ゲームをしたい!というよりも、ぼーっとしながらもどんどん家事が終わっていく楽しさでゲームをしているような気がする。

(この画像を用意したころから比べるとレートも相当上がり、今は10000を超えている……)

ゲーム以外の媒体で活用するアイディア

このようにゲームをやめたくてもやめられない場合、逆に「タイマー」として活用するのをおすすめしている。

ここではゲームを紹介したけれど、最初に書いたように、YouTube動画や地上波テレビ、漫画アプリなどでもできるかも……。

・マンガアプリ

「広告を見る」時間が発生する。一度みはじめたら、決まった時間が来るまで次の画面に進めない。だから、そのタイミングで立つ。
時間制限がないので、意外とそのまま長時間動けたり、そのままマンガアプリを読むのをやめたりできる可能性もある。

・YouTube動画

有料契約をしていなければ、動画にも広告がある。この時間がとてもむだに思えて気になっていた。

・電子レンジ

「なんにもやりたくないなあ」というときには「レンジで温かい飲み物」を作るのもおすすめ。

そう、ここでも「待ち」時間が! 温め終わるまでの1分くらいだけなら動いてみようと思えるし、温かいものを飲むことで気分もリセットできる。

ろいろなことがやめられずに悩んでいる人は、むりにやめなくてもいい。

ハマりがちなものの中から「待ち時間」を探す。それだけで、部屋はどんどん片づいていく。

電源をつけると、ぼんやりしてる間に部屋が綺麗になる

それは、もうすぐ夏休みがはじまりそうだという、ある日のこと。


午前中仕事をして、昼食を簡単に済ませた。
ダイニングもキッチンもそのままで、Switchの電源を入れる。

オンライン対戦をんだわたしは、ソファから立ち上がった。

ダイニングの上を片づけ、マリカーをする。
朝のほんのわずかな時間で床じゅうに散らばったおもちゃをかき集め、もう1戦。
掃除機をリビングの半分かけてキングテレサで走り、もう半分を終わらせる。

部屋は、ひと通り綺麗になった。
わたしは最後の1戦を終えて、Switchの電源を切った。



ソファの横に投げ出したスマホが、ピコンと通知音を鳴らした。

娘が「学校を出発した」という通知が表示されている。

わたしは、一時間ほど読みふけっていた本をパタンと閉じて、おやつを作るためにキッチンに立った。

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三條 凛花 最後までお読みいただき、ありがとうございます♡