考察丨ACが境界線を作った時に起きる人間関係の変化
AC(アダルトチルドレン)回復の過程で、
ほぼ必ず起きることがあります。
人間関係が変わる。
これはかなりの確率で起こります。
まず最初に起きる変化は「性格」ではありません。
境界線の出現です
そして不思議なことに、
境界線を持ち始めると、
こう言われることがあります。
「最近、冷たくなったね」
「前はもっと優しかったよね」
「裏切り者」※これはよっぽど酷いケースw
私はこれを経験したとき、最初は少し戸惑いました。
でも、今は理由がはっきり分かります。
■ACは境界線が薄い
ACは幼い頃から、境界線を尊重されない環境で育つことが多いです。
例えば
・感情を否定される
・プライバシーがない
・親の機嫌でルールが変わる
・子どもが親の感情をケアする
こういう環境では、子どもは生存のために
「自分の感情より、相手を優先する」
これが普通になります。
だから大人になっても、
・頼まれたら断れない
・嫌でも受け入れてしまう
・相手の機嫌を気にする
・自分の違和感を無視する
こういう行動が、ほぼ無意識で起こります。
つまり、境界線が薄い状態が“普通”になっている。
■境界線を引くと、何が起きるか
回復の過程では、少しずつ変化が起きます。
・NOを言う
・違和感を無視しない
・距離を取る
・頼み事を断る
一言で言うと、
自分を優先し始める。
すると当然、関係の構造が変わります。
今まで
頼めば引き受けてくれた人
嫌な顔をしなかった人
空気を読んでくれた人
その人が突然、
「それはできません」と言うようになる。
当然、戸惑う人も出てきます。
ここで多くのACが思うことがあります。
「嫌われたのではないか」
でも実際には、少し違います。
多くの場合、関係の構造が変わっただけです。
これまでの関係は、こうでした。
【AC側】
我慢する
受け入れる
空気を読む
【相手側】
頼めばやってくれる
否定されない
衝突が起きない
つまり、バランスがAC側の我慢で成り立っていた。
境界線を引くと、このバランスが変わります。
そして変化に戸惑う人が出てくる。
それだけのことです。
■境界線は、関係を壊すものではない
ここで一つ、大事なことがあります。
境界線は、関係を壊すものではありません。
むしろ逆です。
境界線がない関係は、長く続きません。
なぜなら、片方が消耗するからです。
言いたいことを言えない
断れない
違和感を飲み込む
これを続けていると、いつか限界が来ます。
突然距離を取る
関係を切る
強い怒りが出る
そうやって関係が終わることも少なくありません。
だから本来、境界線は
関係を壊すものではなく、守るものです。
■境界線はテイカー検知器でもある
もう一つ、境界線には大事な役割があります。
それは、テイカーを炙り出すことです。
境界線を持つと、自然と次の行動が増えていきます。
嫌なことは嫌だと言う
できないことは断る
違和感を無視しない
言葉にすると、簡単そうに見えるかもしれません。
でもACにとっては、これがなかなか難しい。
長い間、
我慢する
空気を読む
相手を優先する
それが当たり前の行動になっているからです。
だから最初からうまくできなくても、まったく問題ありません。これは才能ではなく、練習です。
筋トレと同じで、少しずつ慣れていくものです。
私自身も、かなり苦労しました。
最初の頃は匙加減が分からず、
違和感や矛盾を指摘しすぎてしまい、結果としてテイカー気質の人を追い詰めてしまったこともあります。
それまでずっと飲み込んでいたものが、
一気に表に出てしまったのだと思います。
常に周りの目を気にして、相手に合わせていた私が、急に反撃してくる。
さぞかし驚いたでしょうし、困惑したと思います。
そして、人は不思議なもので、
今まで従順だった人が自分の意見を言うだけで、
不快感を覚えることがあります。
境界線は、強すぎても弱すぎてもうまく機能しません。
だからこそ、少しずつ調整していく必要があります。
ただ一つ言えることがあります。
境界線を引いたときに
怒る人
不機嫌になる人
あなたを責める人
そういう人がいたとしたら、
その人は、あなたの境界線に問題があるのではなく、あなたの「無防備さ」に慣れていただけ、あなたの「優しさ」に寄りかかっていただけなのかもしれません。
境界線は、人を遠ざけたり関係を壊すためのものではありません。
むしろ本来は、関係を健全に保つためのものです。
ただし結果として、
搾取的な関係は続かなくなります。
あなたを大切にしない関係が自然と残らなくなるだけです。
そういう意味では、境界線は
ある種の「テイカー検知器」なのだと思います。
なお、私自身の経験では、
いわゆるテイカーと呼ばれるタイプの人の中には
・境界性パーソナリティ障害
・自己愛性パーソナリティ障害
に該当する可能性が高い人も少なくありませんでした。
もちろんすべての人がそうとは限りませんが、
境界線を越えてくる行動パターンには、
ある程度共通した特徴があるようにも感じています。
このあたりの具体的なエピソードについては、
また別の記事で綴ろうと思います。
■それでも離れる人はいる
ただし、正直に言うと
境界線を引いたときに、離れていく人はいます。
でもそれは、
あなたが悪いからではありません。
その人にとって
境界線のないあなたの方が都合がよかった
それだけの可能性もあります。
そしてこれは、ACの回復過程では珍しいことではありません。
むしろ、かなりよく起きることです。
■回復とは「人間関係の再編成」
ACの回復とは、自分の心を癒すことでもありますが、もう一つあります。
人間関係の再編成です。
今までの関係が、少しずつ変わる。
距離が変わる
残る人もいる
離れる人もいる
でもその中で、
本当に安心できる関係が残っていきます。
■最後に
ACにとって、境界線を引くのは簡単ではありません。
長い間、
・我慢する
・合わせる
・空気を読む
それが普通だったからです。
だから最初は怖いと思います。
嫌われるのではないか
関係が壊れるのではないか
そう感じるのも、自然なことです。
でも一つだけ言えることがあります。
境界線は、あなたを守るものです。
そして境界線を尊重してくれる人だけが、
これからの人生に残っていきます。
それは決して、悪いことではありません。
むしろ
とても健全な変化だと、私は思っています。
