実録丨【第3話】境界性パーソナリティ(BPD)傾向の後輩との関係を終わらせ、初めて“境界線”を引いた話
10. 嘘と責任回避が露呈した瞬間
関係が決定的に変わったのは、ある出来事がきっかけでした。
彼女が、ある話の中で、明確な嘘をついていたことが分かったのです。
■ 前段――Bという存在
回避型の彼と再会する4ヶ月ほど前。
今の拠点に着任したばかりの頃、
私は新しい業務に慣れず、かなり消耗していました。
環境も仕事も一新されて、どこか気を張り続けていないと立っていられないような、そんな状態でした。
そんな時期に、
自然と話すようになった男性の先輩がいました。
ここではBと呼びます。
Bとは休憩室でよく話すようになり、話していると、どこか心が温かくなるような感覚がありました。
この時点では、Bを人として好きなのか、
異性として意識していたのか、
自分でもはっきりとは分かっていませんでした。
ある日、彼女と休日に遊んでいたとき、
彼女がこう言いました。
「わたし、前から思ってたんですけど、Bさん絶対竜胆さんのこと好きですよ。」
その瞬間、なんとも言えない恥ずかしさと、
同時に、少しの嬉しさがありました。
以前の私は、第三者からそういうことを言われると、一気に意識してしまう癖がありました。
そしてここで、私の中の古い回路が作動します。
「自分を必要としてくれる人がいた」
そう思った瞬間、
手に入れたい
選ばれたい
自分の価値を証明したい
欠乏感を埋めたい
そんな欲求が、一気に立ち上がる。
いわば、ハンティングモードへの切り替えでした。
ここで脳が、一気に誤作動しました。
そして、その日を境に状況が少しずつ変わっていきます。
周囲の人たちから、
「Bさん、竜胆のこと気に入ってるよね」
「たぶん好きなんじゃない?」
そんな言葉を、あちこちで聞くようになりました。
最初はただの噂話のように聞いていました。
でも、繰り返し同じことを言われるうちに、
それは少しずつ「事実のようなもの」として、私の中に入り込んでいきました。
そう、妙にタイミングが合いすぎる形で。
まるで、どこかで意図的に流されているかのように、不自然なほどタイムリーに。
■ 噂と情報操作で人間関係が動かされる
実録1でも述べた通り、彼女の本質は
人間関係を“噂話”で動かすことにありました。
彼女は日常的に、
「◯◯さんがこう悪口言ってました」
「あなたってこう思われてるらしいです」
「誰と誰ができてます」
「〇〇さんから敵視されてますよ」
といった話を、事実と憶測を混ぜながら、
あたかも確定情報のように私に語っていました。
そして常に、
情報の出どころや責任の所在は曖昧なままにする。
■ 噂が“事実”になる構造
実際、私はその構造の中で、複数人を巻き込む“男女泥沼ストーリー”の登場人物にされていました。
「Bが私と仲良くなりすぎて、Bを好きな女性の先輩から竜胆さんが敵視されている」
そんなストーリーが社内に流れ、その情報を受けたフライングモンキーたちが噂話を広める。
私はその女性の先輩から実際に敵視され、誰が見ても分かる嫌がらせも受けるようになりました。
けれど今振り返ると、あの女性の先輩もまた、彼女が流した情報に巻き込まれた側の一人だったのだと思います。
おそらく先輩の側には、
「竜胆が、意中の人といい感じになっている」
「竜胆が、先輩に虐められていると言いふらしている」
といった、私に対して敵意を向けるような情報が流されていたのだと考えられます。
つまり、同時に、
私には「先輩に敵視されている」という情報が入り、
先輩には「竜胆が関係を壊している」という情報が入る。
互いに相手を警戒し、対立するように仕向けられていたのです。
そして厄介なのは、ここからでした。
実際に敵視され、嫌がらせが始まることで、
「私は虐められている」という状況は現実になります。
その相談を周囲にすることで、
「竜胆が言いふらしている」という構図もまた、事実として成立してしまう。
つまり、
最初は作られた情報だったものが、
人の感情と行動を通して、現実の出来事へと変換されていく。
こうして、互いに「相手が悪い」と確信する状態が出来上がる。
それは偶然ではなく、
最初から対立が生まれるように設計された構造でした。
そして、その中心にいたのが彼女でした。
■ 私はBにも怒っていた
そんな中、彼女やBを含めた複数人で飲んだときのことです。
この騒動の渦中にいるにも関わらず、Bがどこか他人事のような発言をしたことに、私は強い苛立ちを覚えました。
Bのことも心配してたし、自分も巻き込まれているのに、どこか楽観的で無関心な態度に見えてしまい、酔った勢いもあって怒ってしまいました。
今思えば、Bは騒動の中でも自分軸を保ち、「放っておけばいい」と巻き込まれない姿勢を取っていただけだったのだと思います。
けれど私はこのとき、絶賛アダルトチルドレン期でした。彼の問題も自分の問題のように捉えてしまっていたが故の感情だったのだと、今は振り返っています。
だからこそ、怒りという形で反応してしまった。
後日、彼女から「怒りすぎ」と言われ、
「謝罪も込めて、ご飯に誘ってみたらどうですか?」とアドバイスされ、私はBを食事に誘いました。
後日お誘いをしたところ、Bは少し戸惑いながらも、二人での食事を了承してくれました。
食事の場では、少し踏み込んだ話もしてみました。
けれどBは、のらりくらりとかわし、決定的な答えは出ませんでした。
※まあ、深く分析していないですが、恐らく彼も回避型寄りだと思います。(笑)
ただ、食事自体は楽しく、次の予定も取り付けることができました。
■ 期待を持たされ、しかし距離は閉じた
その間も、彼女だけでなく、複数の人から
「Bさん、竜胆のこと気になってるんじゃない?」
と言われ続けていました。
同じような言葉を何度も受け取るうちに、
「やっぱり自分の感覚は間違っていないのかもしれない」
そう思うようになっていきました。
だから私は、焦らずにいこうと思っていました。
変に動かず、この流れに任せていれば、自然に関係は進んでいくのだろうと。
けれど、その後、状況は一変します。
Bとは会社でもほとんど話さなくなり、一度約束していた予定も、体調不良を理由にキャンセルされました。リスケの打診はありませんでした。
さらに、複数人で予定していたレジャーもキャンセル。
それまでの空気感が、何の前触れもなく途切れたような感覚でした。
そのとき私は、
「あれ、あんなに良い感じだったのに、なんで?」
と、シンプルに困惑していました。
その間も、彼女は変わらず相談に乗ってくれていました。
だからこそ当時の私は、彼女のことを「ありがたい存在」だと思っていました。
そして、Bとの関係が曖昧なまま止まったあと。
私は、回避型の彼と再会し、流れに押されるようにして、急展開で付き合うことになります。
けれどその関係も、長くは続きませんでした。
短期間で終わりを迎え、
そのことを、私はBに相談することもありました。
正直に言えば、何度も思いました。
「Bだったらよかったなぁ」
と。
ただ、一度別の方向に進んでしまった以上、
以前のように距離を詰めることはできませんでした。
■ 私がいないところで、彼女とBは近づいていった
そんな中で、少しずつ違和感が増えていきました。
彼女は、私がいないコミュニティで、Bと頻繁に会うようになっていったのです。
飲み会やレジャー。
これまでは必ずと言っていいほど私も誘われていた場に、なぜか呼ばれなくなりました。
何度か「私も入れてよ」と伝えましたが、
そのたびにやんわりと断られる。
その時点で、すでに何かがおかしかったのだと思います。
それと並行して、彼女は私に対して、
ある種の情報を与え続けていました。
期待を持たせるものと、不安を煽るもの。
その両方です。
たとえば、
「Bが竜胆さんの話してましたよ」
「まだ脈あると思います」
そう言われたかと思えば、
「Bとあの人、怪しいです」
「あの人と付き合ってるらしいです」
「Bが竜胆さんのこと“喰った”って噂になってて、意図的に避けてるみたいです」
真逆の情報が、同時に投げ込まれてくる。
当時の私は、まだカウンセリング初期で、自分軸も弱く、その情報をそのまま受け取ってしまっていました。
何が本当なのか分からないまま、
感情だけが揺さぶられる。
その状態で、Bと向き合おうとする。
当然、言動も不自然になります。
結果として、Bとの距離はさらに開いていきました。
ただ、今振り返ると、見え方はまったく違います。
あのとき起きていたのは、単なるすれ違いではありませんでした。
彼女は、
・私に対しては断片的で矛盾した情報を与え続ける
・一方で、別の場所でBとの接触を増やしていく
その両方を同時に行っていた。
さらに、「Bが竜胆を喰った」というような噂が周囲に出回っていたことも含めて考えると、
その情報がどこから流れたのかは、ほぼ明白です。
そしてB側の状況も重なっていました。
もともと彼自身にも噂があった中で、
さらに面倒な話に巻き込まれる可能性が出てきた。
そうなれば、関わりを避けるという選択は、
むしろ自然だったのだと思います。
結果として、
私は避けられ、
状況は悪化し、
その理由も分からないまま、
関係だけが崩れていった。
当時の私は、それを
「自分に何か問題があったのではないか」
と受け取っていました。
でも今は違います。
あれは、個人の問題というよりも、
“関係の中で情報と立ち位置が操作されていた構図”でした。
■ 「彼女ができた」という決定的な遮断
そんな中、彼女はこう言いました。
「Bに彼女できたみたいです。本人から直接聞きました。」
それを聞いたとき、衝撃を受けました。
そして珍しく、
「これ、絶対誰にも言わないでくださいね。」
と口止めされました。
動揺しながらも私は、「Bがそれで幸せならいいか」と思い、完全に気持ちを切り替え、無謀な回避型の彼との復縁に意識を向けるようになりました。
■ 違和感の正体が見え始めた
けれどその頃から、ずっと感じていた違和感の正体が見えてきました。
彼女は、以前から私と会うたびに、
“Bの話ばかりしていた”のです。
ただ、その時の彼女には別の相手もいました。
だから私は、「気のせいだ」と思うようにしていました。
その後、彼女は本社へ転勤しましたが、週に一度は夜遅くに電話がかかってきて、相変わらず感情の処理を担わされていました。
ある時、結婚式出席のために、こっちに泊めてほしいと言われ、私は了承しました。
当日、Bも同じ結婚式に参加していたらしく、帰ってきてからもずっとBの話をしていました。
そしてついに彼女は言いました。
「私、Bのこと好きかもしれません。」
その時の私は、「やっぱりそうか」と思いました。
ただ、私はすでに気持ちを切り替えていたので、
「そうなんだ。けど彼女いるんじゃないの?」
と聞きました。
その時は、
「まあ、いますけど」と濁す感じでした。
■ 恋愛相談として進められる話の前提が崩れた瞬間
東京に帰ったあとも、ほぼ毎日Bの相談に乗っており、とりあえず次名古屋に来るときに二人でご飯に行ってみるという話になり、彼女からLINEを送ることになりました。
BもOKし、お誘いが成功したので、私も「良かったね!」と素直に喜びました。
Bとの約束の日が近づくにつれて、彼女のテンションが上がっていくのが見えました。
ある日も夜電話がかかってきて、彼女は、
「彼とご飯行く日、そのあと竜胆さんの家に泊めてもらえますか?」と聞いてきたので、それも了承しました。
けれど、ご飯に行った後の話になると、彼女はその先どのように関係を進めていくか、次の展開ばかりを語っていました。
本来であれば整理されるべき前提
――彼に彼女がいるという問題――
が解決されないまま、次の打ち手だけを求めてくる。
その話の進め方に、私ははっきりとした違和感を覚えました。
だからこそ、一度立ち止まって現実的な話をしようと思い、こう聞きました。
「落ち着いて。Bには彼女がいるから、そこクリアにならないと難しくない?」
と聞きました。
すると彼女は言いました。
「彼女なんて最初からいませんよ。嘘です。嘘。」
■ 完全にフリーズした瞬間
「え」
私は完全にフリーズしました。
Bに彼女ができたという話を信じたからこそ、
私はこれまでの気持ちを手放したのです。
それでも彼女の恋を応援していた。
なのにその前提が、ただの嘘だった。
そしてその嘘は、私(ChatGPT)に現実的なアドバイスをさせる上で邪魔になったからという理由で、あっさりと覆されました。
私は「なんで嘘ついたの?」と聞きました。
すると彼女は、少しの間を置いて、こう言いました。
「すみません、もう竜胆さん、Bのこと気にしてないと思ったから、嘘つきました。」
それは、説明ではありませんでした。
あれだけ感情を揺さぶる情報を与え続けておいて、
自分の都合で人の感情を決めつけ、最後にその前提ごと書き換える。
しかも理由は、
「あなたがBを気にしてないと思ったから」
――つまり、嘘をついた理由の中に、
また責任の半分を私に背負わせる言い回しでした。
■ すべてが繋がった
その瞬間、すべてが繋がりました。
彼女は一貫して、情報をコントロールしていたのです。
・希望を持たせる情報
「Bは竜胆さんのこと気があると思います」
・不安を煽る情報
「あの人とB、怪しいですよ」
「付き合ってるって噂あります」
「竜胆さんとの噂を気にして避けている」
・決定的な遮断
「Bに彼女できたみたいです」
それらをタイミングよく投下し、
人間関係を操作していた。
さらに決定的だったのは、嘘の“使い方”でした。
普通の嘘は、
自分を守るため
その場をやり過ごすため
に使われるものです。
しかし今回の嘘は違いました。
他人の感情と行動を操作するためのツールであり、
不要になった瞬間に躊躇なく回収されるものだった。
そこには、事実も一貫性もありませんでした。
■ 私は“人”ではなく、機能だった
そして何より、私は彼女にとって“人”ではありませんでした。
感情を受け止める装置
思考を整理する装置
恋愛戦略を出す装置
必要なときに呼び出され、必要なものだけを引き出される。
その象徴が、あの一言でした。
嘘を認めた直後に、
「で、どうやったら振り向かせられますか?」
普通は成立しない会話です。
そこには、最初から私の感情が存在していない前提がありました。
そして私は、はっきりと思いました。
自分の都合で、私の感情がなかったことにされた。
それだけは、どうしても許せませんでした。
■ 壊れたラジオのような責任回避
私は言いました。
「もう何も思ってないって言ってないし、回避型の彼と別れたあともBとの話はしていたよね?
けど、彼女出来たからって聞いてそれで私はBを完全に諦めたんだけど……」
けれど、彼女はまるで壊れたラジオのように、
「ほんとすみません、もう竜胆さんBのこと好きじゃないと思ったので」
を繰り返すのみで、論点をずらされ続けました。
いつもの、謝っているけれど謝っていない。
これで逃げ切るやり方でした。
さらに彼女は、言い訳のようにこう言いました。
「Bが、周りに色々言われるの面倒だから、もう彼女がいることにしといて、そう言っといてって言ってたので」
と、嘘をついた責任をBにまで転嫁してきました。
それが本当かどうかは分かりません。
ただ私は言いました。
「それが本当なら、Bのこと好きなら、その嘘は最後まで貫くべきだったと思うよ。私以外にも公にその嘘が真実になっているのであれば、その嘘は彼のために守らないといけないよ。」
彼女は不服そうに相槌を打っただけでした。
■ その瞬間、構造が完全に見えた
その瞬間、すべてが繋がりました。
私の感情も、経緯も、傷ついたことも、すべて無かったことにされ、ただ「使える情報ツール」として扱われていた。
そして私は、はっきりと理解しました。
私は彼女にとって、相談相手ではなく、
やはりChatGPTのような“出力装置”だったのだと。
そして、振り返ってみると、もっと恐ろしい構造が見えてきました。
私がBに興味を持つように仕向ける
彼女がそれを把握する
情報を操作して距離をコントロールする
私が離れたタイミングで、自分が接近する
すべてが、あまりにも綺麗に繋がっていたのです。
ここまでくると、もはや偶然ではありませんでした。
■ それは悪意だったのか
ただし、それが“悪意だったのか”というと、少し違う気もしています。
意図はあったと思います。
けれど、それは必ずしも自覚的な悪意ではなく、
自分の欲求を優先する
他人の感情を“情報”として扱う
都合よく現実を組み替える
そういう在り方が、彼女にとって“自然なやり方”だったのだと思います。
■ 私が巻き込まれたのは異常ではなかった
そして、ここもはっきりさせておきたいことがあります。
私は、かなり巻き込まれていました。
けれど、それは異常なことではありません。
情報が継続的に入る環境
信頼関係が前提にある状態
そこに感情が絡む
この3つが揃えば、誰でも判断は狂います。
ただ、それでも一つだけ確かなことがあります。
私は途中で、違和感に気づいていた。
それを言語化しようとしていた
ここだけは、はっきりと自分の中に残っています。
11. 言葉を尽くしても、届かない構造
電話を切ったあと、私は強い違和感と限界を感じていました。
もうこの頃には、カウンセリングを通して、自分軸と境界線がかなり育ちつつありました。
以前の私なら、「仕方がない」と飲み込み、そのまま彼女のChatGPTのような役割を続けていたと思います。けれど、もう無理でした。
それでも私は、関係を完全に壊したいとは思っていませんでした。
あのやり取りのあとも、こちらの気持ちをきちんと伝えたうえで、理解してもらい、そのうえで応援できる形に戻れないかと考えていました。
だからこそ私は、感情をぶつけるのではなく、言葉を選び、文章として伝えることにしました。
彼女が論点をずらした部分については、これ以上言い訳で逃げられたくなかったため、できるだけ逃げ道が残らないように整理しました。
何が問題だったのか
どこに違和感を覚えたのか
どの部分で信頼が揺らいだのか
自分はどういう関係でいたいと思っていたのか
それらを一つずつ整理しながら、できる限り冷静に、丁寧に書きました。
責めるためではなく、関係を壊さないために。
そして最後に、
関係を終わらせたいわけではないこと
これからも友情を大切にしたいと思っていること
も、はっきりと伝えました。
丁寧に書きすぎたぶん、長文にはなってしまいましたが、ここはどうしても誤魔化したくありませんでした。
けれど、LINEで返ってきたのは、まったく別の方向の反応でした。
「はっきり言わない方が悪い」
「なんで電話で言わなかった」
「後出しジャンケンみたいで気分悪い」
「バカ長い文章読むこっちの気持ちも考えろ」
彼女は、文章の“中身”には一切触れませんでした。
何が書かれていたのかではなく、
“長文だったこと”
その一点だけに焦点を当て、それを理由に、すべてを否定してきました。
彼女は、キャリアアップのために私の言語化能力を必要としてきました。それは、彼女自身の中にある曖昧な思考や感情を、外に通用する形へと整えるためのものでした。
面接対策や自己PRの場面では、私の言葉は彼女にとって「自分をよく見せるための手段」として機能していたのだと思います。
実際、彼女はその力を使ってキャリアの機会を掴みました。
けれど、その構造は最後まで一貫していました。
彼女は、言語化そのものを嫌ったのではなく、自分に不利なかたちで現実が言語化されることを嫌ったのだと思います。
しかも皮肉なのは、彼女がキャリアで上がれた一部には、まさにこの能力が使われていたという点でした。
私の言語化能力は、彼女の中にあった可能性を、社会に通用する形へと翻訳していた。けれど同じ能力が、今度は彼女の責任回避や関係の操作性を、そのまま輪郭として浮かび上がらせてしまった。
その瞬間、彼女は前者を受け取り、後者を拒絶したのだと思います。
あの長文は、単に長かったから否定されたのではありません。そこに書かれていた内容が、曖昧にしてきたものを明確にし、逃げ道を塞ぎ、都合よく書き換えることを難しくするものだったからです。
だから彼女は、中身ではなく形式を攻撃しました。「長い」「気分が悪い」「後出しだ」と。
それは反論ではなく、受け取ることのできない内容を、最初から無効化するための反応でした。
逆に言えば、
あの長文は、確実に届いていたのだと思います。
本当にどうでもいいものであれば、ここまで強く拒絶されることはありません。
読まれ、理解され、そして受け入れられなかった。
だからこそ、中身に触れず、形式だけを理由に否定するしかなかった。
そのときの感覚は、今でもはっきりと残っています。
高性能な鏡を借りてメイクをしておきながら、最後に「その鏡が気に入らない」と床に叩きつけるようなものだった。
鏡に問題があったのではなく、映ってしまった現実の方が、受け入れられなかったのだと思います。
そして私は、その瞬間にようやく理解しました。
彼女が見ていたのは、私という人間ではなく、
「自分にとって役に立つかどうか」という機能だったのだと。
■ 電話で露呈した“対話不能”の本質
LINEでも、こちらの文章の本題には触れず、論点から外れた揚げ足取りのようなメッセージばかりが続き、まったく埒が明かない状態になっていました。
そんな中、彼女から突然、着信がありました。
電話に出た瞬間から、そこにはすでに
感情による支配と、対話の破壊
が待っていました。
彼女は感情を使って、対話そのものを成立させない状態を作っていました。
怒鳴る。
遮る。
早口で詰める。
泣く。
理性的な会話を不可能にし、「話し合い」ではなく「圧」で関係を動かそうとする。
その背景には、
自分の否を受け入れられないこと
コントロールを失うことへの恐怖
現実よりも「自分が正しい状態」を優先する構造
があったのだと思います。
そして結果的に、「冷静に話す側」が不利になる構造が作られていました。
さらに彼女は、今回の長文について
「後出しジャンケンみたいで気分悪い」
「なんであのとき言わなかったのか」
と、繰り返し責めてきました。
けれど実際には、私は嘘をカミングアウトされた電話の段階で、何度も説明し、伝えていました。
・嘘をついたことそのものではなく、
なぜ今になってそれをカミングアウトしたのか。
・ずっとBのことを気にしていた私が、その嘘によって気持ちを手放さざるを得なかったこと。
・自分の恋愛を進めるうえで都合が悪くなったからといって、その前提を覆したうえで「じゃあ手伝ってほしい」と求めるのはおかしくないか、ということ。
そうした点を、私はきちんと伝えていました。
けれどそのたびに彼女は、
「すみません、もう竜胆さんがBのこと気にしてないと思ってたので」と繰り返し、私の話を全く聞かず論点をずらし続け、話の本質を受け取ろうとはしませんでした。
その結果として、私は口頭では意思疎通が成立しないと判断し、文章という形に切り替えたのです。
つまり、言わなかったのではなく、受け取られなかっただけでした。
そのことも、私は電話の中で説明しようとしました。けれど、説明しようとするたびに遮られ、その内容が聞き入れられることはありませんでした。
このやり取りが象徴していたのは、
「伝えられていない」という前提を作ることで、
自分が受け取らなかった事実そのものを無効化する構造でした。
そこからは、もはや会話ではなく、
感情による圧力と人格への攻撃が、一方的に投げつけられる状態
でした。
「あんたって上から目線で偉そうなんですよ」
「被害者ぶってる」
「性格直せ」
「あなたって本当、謝れない人間だ」
私が言葉を選んで説明しようとすると、
遮られ、話すことすら許されませんでした。
そこにあったのは、
対話ではなく、封じるための言葉でした。
さらに、「あんたはいつも長文送って人間関係壊してるでしょ!」と覚えにない話を決めつけられたので、
私は「壊したって誰と?いつ?具体的に何を指してるの?」と聞きました。
すると彼女は言葉に詰まりながら、
「い……いっぱい壊れてるじゃないですか!」
と、見覚えのないことを叫びました。
けれどそれは、事実に基づいた発言ではありませんでした。そうであってほしいという願望を、そのまま現実のように言い切っているだけでした。
■ 投影と“投影同一視”という構造
さらに特徴的だったのは、彼女の発言の多くが、現実の私ではなく、彼女自身の内面を語っているように見えたことです。
「あなたって謝れない人間だよね」
→ 実際には、彼女自身が謝罪できず、論点をずらし続けていた
「被害者意識強すぎ」
→ 被害者ポジションを手放せなかったのは、彼女自身だった
「長文で人間関係壊す人」
→ 彼女が対話を避けた結果、文章でしか伝えられなかった事実を“攻撃”に変換していた
「その性格直した方がいい」
→ 問題を出来事として扱えず、“自分の不都合さ”を相手の人格の欠陥として押し付けていた
「上から目線で偉そうなんですよ」
→ 自分が劣位に立たされる感覚やコントロールできない不安を、相手の“傲慢さ”として外在化し、関係の主導権を取り戻そうとしていた
これらに共通しているのは、
「自分の中にある受け入れがたい感情を、相手のものとして扱う」
という構造でした。
これは単なる誤解ではなく、投影です。
そしてさらに、その言葉を受け続けることで、
一瞬でも「本当に自分が悪いのではないか」と感じさせられる。
これは、相手の内面をこちらに押し付け、その役割を引き受けさせる
――投影同一視に近い状態だったのだと思います。
私には、彼女が私に向けて吐いた言葉のすべてが、
本当は自分の中にあるけれど受け入れられないものを、外に押し出しているように見えました。
まるで、
「それは自分では受け入れられないんです!!!」
と、必死に叫んでいるようでした。
■ 関係の支配構造と謝罪の強要
さらに彼女は、現在の問題には向き合わず、話題を人格や過去へとすり替えていきました。
事実ではない話をその場で作り、議論を「出来事」から「人格」へと引きずり下ろす。
そこでは、何が起きたかではなく、
「あなたはどういう人間か」という方向にすべてがすり替えられていきました。
これは対話ではなく、
支配のための構造でした。
同時に、これまでの関係性そのものも書き換えられていきました。
「私があなたを支えてた」
「あの1年なんだったの?」
「あんたを信じて相談していた私が馬鹿みたいです」
本来存在していた支援や積み重ねはすべて消され、
逆に「自分が被害者だった」という構図へと置き換えられていく。
説明しようとすると遮られ、論点をずらされる。
その結果、こちらが混乱して言葉に詰まると、
「説明できない=悪い」とされる。
そして関係の評価も、極端に切り替わっていきました。
「あなたは一番信頼できる」
↓
「性格悪い」
「人間関係壊す人」
関係は、
理想か否定か
0か100か
そのどちらかでしか存在していませんでした。
電話の最後も同じ構造でした。
彼女は、「謝ってほしいわけじゃない」と言いながら、
「私は謝ったよね? あんたは?」
「謝れとは言ってないけど、私は謝った、あんたは?」
と壊れたラジオのように同じ言葉を繰り返し、
わざと沈黙を作って謝罪を強要してくる。
説明の機会は奪うが、謝罪だけは求める状態でした
一旦謝らないと電話を切らせてもらえない空気の中で、私は「長文で配慮足りなくてごめんね」とだけ言いました。
すると彼女は少し落ち着いたのか、
「また連絡します。」
と一方的に言い、電話を切りました。
その日は、それで終わりました。
■ 電話を切ったあとの身体感覚
正直、電話を切ったあとも動悸が止まりませんでした。
町中で突然、変質者に暴力を振るわれたような。
それか、今まで一緒にいた人が急にゾンビになって、言葉も通じないまま一方的に襲いかかってきたような。
実際にそんな経験はありませんが、きっとこういう感覚なのだろうと思いました。
それくらい、
言葉が通じない相手に、感情のまま襲われる恐怖
がありました。
そしてこのとき、私は初めて理解しました。
これは、すれ違いでも、理解不足でもありませんでした。
そもそも、
対話が成立しない構造だったのだと。
(実録4/考察へ続く)
