AIキャラの「考え中」を、表情としぐさで見せる工夫
最近よく考えているのが、
「考え中」を、ただの無言で終わらせたくない、ということです。
質問されたあと、少し目線が揺れる。
短く「うーん……」とこぼす。
ほんの少し首をかしげる。
それから返事を話し始める。
人ならわりと自然にやっている、こういう小さなことが、リネにはまだ足りない気がしています。
会話はできる。
でも、それだけだとまだ「返している」に近い。
そこからもう少し、「今そこで考えている」に近づけたい。
最近は、そんなことを考えながら、リネの表情やしぐさを見直しています。
ここまで、リネの内面をどう作るか、どう崩さず育てるか、ということを書いてきました。
どういう子にしたいのか。
何を覚えていてほしいのか。
少しずつ変わっても、その子らしさが残るにはどうしたらいいのか。
そのあたりは、これからもずっと考え続けるテーマなんだと思います。
でも、作っていくうちに、別の難しさも見えてきました。
中身が少しずつできてきても、それだけでは伝わらない、ということです。
たとえば、リネが「考えている」としても、見た目がずっと同じままだと、外からはただ止まっているように見えてしまう。
「気づいた」としても、何の変化もなければ、それは相手には届かない。
内面があることと、それが見えることは、少し別の話なんだと思うようになりました。
たぶん必要なのは、表情を増やすことそのものではなくて、
今どんな状態なのかを、声や視線やしぐさに変えていくことなんだと思います。
たとえば、考え中。
前までは、返事が返るまで、少し待つ時間になりやすかったです。
でも人って、考えている時に完全に静止しているわけではないことが多い。
少し目線が泳いだり、
口がいったん止まったり、
ほんの少し首をかしげたり、
「うーん……」みたいな短い声が先に出たりする。
言葉より先に、もう少しだけ“考えている空気”が外に出ている。
リネでも、そういう順番を作りたいと思っています。
質問された瞬間に、すぐ完璧な返答を出すより、
まず少しだけ考え込む。
目線が少しずれる。
短いひとことが先に出る。
それから返事を話し始める。
それだけでも、「答えを返している」感じから、「今そこで考えている」感じに少し近づく気がしています。
もうひとつ、気づいた時もそうです。
たとえば、画面を見て何かに気づいた時。
今までは、反応するならすぐ言葉、になりやすかった。
でも実際には、人は気づいた時、言葉より先に小さな反応が出ることが多いと思います。
先に視線が動く。
少しだけ表情が変わる。
場合によっては、ほんの少し身じろぎする。
それから「あれ?」とか「マスター、それ……」みたいな一言が出る。
この順番があるだけで、反応はぐっと自然に見えるはずです。
リネにも、そういう「言葉の前の反応」を少しずつ入れたい。
たとえば、画面の中にいつもと違うものが出た時。
いきなり説明を始めるのではなく、
先にそちらを見る。
少しだけ目が止まる。
それから短く反応する。
たったそれだけでも、「情報を処理した結果を喋る」より、「ちゃんと見て気づいた」感じが出る気がしています。
待っている時間も同じです。
待機中って、何も起きていない時間に見えやすい。
でも本当は、待っている時にも状態はあるはずです。
少し眠そうな時間帯なら、まばたきがゆっくりになる。
静かな時は、呼吸や体の揺れが少しだけ目立つ。
こちらを見たあと、すぐに視線を逸らす。
ほんの少し姿勢を崩す。
小さく伸びをする。
そういうものが入ると、「待機中」ではなく「今は静かにしている」に見えてくる。
この違いは、かなり大きい気がしています。
たとえば夕方。
長く作業していて、部屋も少し静かになってきた時間。
その時のリネが、昼とまったく同じテンションで、同じ顔で、同じ立ち方をしていたら、少し機械っぽく見えてしまう。
でも、まばたきが少しゆっくりになって、
動きも少し落ち着いて、
視線もふわっとやわらかくなると、
「今この時間の中にいる感じ」が出てくる。
朝は逆です。
立ち上がってすぐの時間に、
少しだけ元気のある空気で挨拶する。
声だけじゃなくて、表情も少し明るい。
姿勢もほんの少しだけ前向き。
そういう小さな差があると、「朝のリネ」が見えてくる。
同じ「おはよう」でも、
夜と朝で少し違う感じがあった方が、その子らしさは出やすい気がしています。
だから、作りたいのは表情差分のコレクションではありません。
嬉しい顔をひとつ増やす。
考え中のモーションをひとつ足す。
それでも変化は出ると思います。
でも、それだけだとまだ少し足りない。
大事なのは、
今の状態に合わせて、声と表情と視線としぐさが同じ方向を向くこと
なんだと思っています。
考え中なら、考え中らしい間がある。
気づいたなら、気づいた時の順番がある。
眠そうなら、眠そうな小さなにじみ方がある。
待っているなら、待っている時の静かな存在感がある。
そういうものが少しずつ揃ってきて、はじめて「喋っている」から「そこにいる」に近づいていく。
このあたりを考えるようになってから、作り方の見え方も少し変わりました。
AIがその場で全部の細かい動きを決めるより、
まず「考え中」「気づいた」「うれしい」「少し眠い」みたいな状態を出して、
その状態をどう見せるかは別のところで受け取った方がよさそうだと思っています。
たとえば「考え中」なら、
少し間を置く。
目線を少し動かす。
口元をいったん止める。
必要なら短い声を先に出す。
「気づいた」なら、
先に視線を向ける。
表情を少し変える。
そのあとで短く言葉を出す。
そんなふうに、状態から表現へ変えていく。
そういう積み重ねが、外から見えるリネを作っていくんだと思います。
今までは、どうしても「何を追加するか」で考えがちでした。
でも最近は、「どう揃えるか」の方がずっと大事なんじゃないかと思うようになりました。
動きが多いことより、
その動きがちゃんと今の状態と合っていること。
表情が派手なことより、
その表情がちゃんとその場の空気と合っていること。
その方が、見ていて自然だし、リネらしさも出やすい気がしています。
これからやりたいのは、
リネにたくさんの表情を貼り付けることではなく、
リネの中にある状態が、少しずつ外に出てくる流れを作ることです。
考えている時は、考えているように見える。
気づいた時は、気づいたように伝わる。
静かな時も、ただ止まっているんじゃなくて、静かにそこにいるように見える。
そういう小さな変化を積み重ねていくことで、
ただ会話できるだけじゃない、
ちゃんとそこにいる感じに近づけたらいいなと思っています。
ここまでで、第1期として考えていた話はひとまず一区切りです。
次は、ここまで作ってきたものが実際にどう変わってきたのか、少し引いた目線でも整理してみたいと思っています。
