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看護と介護の訪問30分。その中に「記録」の時間はありますか


昨日訪問したお宅の冷蔵庫に、ヘルパーさんの予定表が貼られていました。

【月曜日】
佐々木
10:40〜11:40

外出準備 5分
買い物同行 45分
帰宅後の整理と片付け 5分
記録 5分


これを見て、「すごく大事な視点だ」と感じました。


予定表に「記録 5分」ときちんと書かれている。


当たり前のようでいて、実はそうでもありません。


記録は「見えない業務」になりやすい


訪問看護や訪問介護には、“記録を書く時間”があります。けれど現場では、その時間が「見えない業務」になっていることが少なくありません。



利用者さんからすれば、


「それは訪問時間に含まれるの?」
「サービス時間が短くなっているのでは?」


という疑問や不満につながることもあります。



ですが、記録は単なるメモではありません。



訪問看護・訪問介護における記録は、

• ケア内容の証明
• 状態変化の共有
• 事故防止
• 多職種連携
• 介護報酬請求の根拠


として必要不可欠な業務です。



実際、記録の作成・保存は制度上も求められています。そして労働法上も、業務として求められる記録作成は、本来労働時間として扱われるべきものです。


「あとでまとめて」が常態化すると


私自身、バイトで複数の訪問看護ステーションに入ったことがありますが、記録の扱いは異なりました。


ひとつは
「訪問時間内に記録まで終わらせる」事業所。


もうひとつは
「記録はあとでまとめて入力する」前提の事業所です。


後者では、移動時間・昼休み・訪問終了後といった“隙間時間”に記録を詰め込んでいくことになります。


もちろん、急変やイレギュラー対応でその場で記録できないことはあります。

でも「記録は後でやるもの」が常態化すると、結果的に“見えない労働”になりやすいのです。


日々の訪問記録以外にも、報告書や計画書の作成も必要です。さすがにそこまで訪問時間内に行うことは難しいでしょう。

だからこそ、せめて訪問時の記録は、きちんと訪問時間に組み込んでほしいと思います。



報告書・計画書については、AIが自動で作成してくれるツールを導入する事業所も増えてきています。

在宅ならではの難しさ


在宅では、“どこまで情報を家に残すか”も事業所によってかなり違います。


• 訪問看護専用ノート
• バイタル記録ファイル
• 多職種連絡ノート


これらがそろっているところもあれば、まったく置いていない、あるいは置いていてもほとんど空欄、というところもあります。



おそらく「訪問時の記録を必ず利用者宅へ残さなければならない」という統一ルールがないからでしょう。

実際の運用は、
事業所文化・管理者の考え方・多職種連携の強さ・ICT導入状況・地域性などによって大きく変わる印象です。



そして在宅医療の記録が大変なのは、単純に“書く量が多い”だけではありません。



ひとつの出来事を、複数の手段で、複数の相手へ伝えなければいけないことです。

たとえば、

• 利用者さん宅のノートへ手書き記録を書く
• スマホやタブレットでSOAP入力する
• 必要時は医師・ケアマネ・家族に電話報告する
• MCSやLINE WORKSへ送る



同じ出来事を、何度も形を変えて伝えている。


病院のように全員が同じ電子カルテを見ているわけではないからです。

在宅では「誰に」「どの手段で」「どこまで」「いつまでに」共有するかを、その都度考えなければいけません。

私の勤務先での実際


私が勤務している訪問診療では、前回の診療レポートを次回訪問時に印刷して持参し、ご自宅のファイルに綴じています。
内容は、カルテに記載した診療内容そのものです。


ケアマネージャーへは、その日のうち、もしくは翌日までにFAXで共有します(これは居宅療養管理指導費のため、どの訪問診療も必ず行います)。

薬剤変更・処置変更・体調変化があれば、ご家族へのメモ、自宅内ファイルへの記載、MCS、LINE WORKSなどを使って連携職種へ共有しています。


訪問診療にも、診療レポートを患者自宅に置くという決まったルールは存在しません。



なぜ診療レポートをご自宅に置くのか。
院長に尋ねると、こんなふうに話してくれました。


• 患者さんやご家族が、今どんな状態で何のために治療をしているのかを把握できる。だから納得して治療を続けられる。

• 以前、急変して救急搬送された患者さんがいて、ご家族がレポートのファイルも一緒に病院へ持っていってくれた。搬送先で病状や服用中の薬がすぐにわかったおかげで、適切な治療を選んでもらえたと聞いている。

• ヘルパーさんや訪問看護師さんが、ご自宅にいるその場で治療状況や飲んでいる薬、その根拠までわかるほうが、関わり方を工夫できる。


理由を聞いてみた時、なるほどと思いました。



ご家族や他職種に「情報を残す」ことが、患者さんを守ることにも、チームで関わることにもつながっている。だから、院長は手間を惜しまずレポートを自宅に置いているのだと腑に落ちました。


記録の時間も含めてケアを設計する



だからこそ私は、「記録の時間も含めてケアを設計する」という視点が、もっと広がってほしいと思っています。



30分訪問なら、30分で提供できるケア。
60分訪問なら、60分で提供できるケア。



そこには、観察・処置・コミュニケーション・片付け・情報共有・記録までを含めて考える必要があるのではないでしょうか。


もちろん「訪問時間の中に記録を含めてよい」と制度上明確に書かれているわけではありません。

ただ、記録は訪問サービスに付随する重要業務であり、本来は勤務時間の中で完結できる体制が望ましいはずです。


だからこそ、契約時や初回訪問時から、

「最後に5分ほど記録のお時間をいただいています」


と丁寧に説明しておくことも大切だと思います。

記録時間を“見えない残業”にしない


記録時間を“見えない残業”にしない。最初から、ケアの一部として共有する。

それは単なる業務効率化ではなく、

• 看護師・介護職の離職防止
• 持続可能な在宅医療
• ケアの質の維持
• 利用者さんとの信頼関係


につながる、大事な仕組みなのかもしれません。



訪問看護、訪問介護の読者の方、
みなさんの事業所では、ご自宅にどこまで情報を残していますか。


ケアの記録を共有する工夫があれば、ぜひ教えてください。

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