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ガス欠した僕を、知らないおじさんが20分押してくれた話。

ベトナムでバイクに乗っていたときの話です。

その日は普通にバイクで走っていたんですが、

突然、

プスン……。

止まりました。

最初は、

「ん?」
と思ったんですが、すぐに原因が分かりました。

ガス欠です。

完全にやらかしました(笑)。
近くにガソリンスタンドも見当たらない。

仕方がないので、バイクを押しながら歩くことにしました。
暑いし、バイクは重いし、

最悪です。

そんな感じで歩いていると、一人のおじさんがバイクで近づいてきました。
そして僕に何か話しかけてきます。

もちろんベトナム語。
正直、何を言っているのか、ほとんど分かりません。

ただ、ベトナムに長く住んでいるので、

「まっすぐ」
「右」
「左」

このくらいの簡単なベトナム語なら分かります。

さすがに全部分からなかったら、
押してもらったところでガソリンスタンドまでたどり着けません(笑)。

おじさんの身振りと、聞き取れる単語。
それを合わせて考えているうちに、

「あれ……?」と思いました。

ベトナムではたまに、
隣を走っているバイクを、もう一台のバイクの人が足で押している光景
を見かけます。

もしかして、このおじさん。
「ガソリンスタンドまで押してやるよ」って言ってる?

……たぶん(笑)。

半信半疑のまま、おじさんの横にバイクをつけてみました。

すると、
本当に足で押し始めた。

おじさんは自分のバイクを運転しながら、片足を僕のバイクに当てる。
そして、そのまま僕のバイクを押して走ってくれます。

「おおお、やっぱりそういうことか!」
と、ここでようやく完全に理解しました(笑)。

あとは僕が、
まっすぐ。
右。
左。

知っているベトナム語で方向を伝えながら、
ガソリンスタンドを目指します。

ただ……

結構遠い。

5分くらいで着くと思っていたんですが、
全然着かない。

10分。
まだ着かない。

結局、20分くらい押してもらいました。

いやいや。
優しすぎるだろ。

見ず知らずの外国人ですよ。
たまたま道端で、ガス欠したバイクを押して歩いていただけ。

それなのに声をかけてくれて、
20分くらい自分のバイクで押して、
ガソリンスタンドまで連れて行ってくれた。

無事に到着して、ガソリンを入れました。

そして僕は、おじさんに
10万ドンを渡しました。

もちろん、おじさんから
「10万ドンくれ」と言われたわけではありません。

20分も押してもらったので、
さすがに何も渡さず、

「ありがとう!じゃあ!」とはできません(笑)。

おじさんは10万ドンを受け取って、
笑顔。
僕も笑顔。

最後は、
バイバイ。

それだけ。

名前も知りません。
何歳なのかも知りません。
何を言っていたのかも、結局ほとんど分かっていません(笑)。

もう二度と会うこともないと思います。
でも、この出来事は今でも覚えています。

ただ……

あとになって、ふと思いました。
あのおじさん、最初からお金目的だったのかな?(笑)

外国人がガス欠して困っている。
ガソリンスタンドまで連れて行けば、何かもらえるかもしれない。

……いや。

あり得なくはない(笑)。
本当のところは分かりません。

でも、僕は優しさだったと信じたい。

少なくとも、おじさんは10万ドンを要求してきたわけじゃない。
困って歩いていた僕を見つけて、向こうから声をかけてくれた。

そして20分も一緒に走ってくれた。
それは事実です。

ベトナムで暮らしていると、
「なんでそうなるんだよ」

とイライラすることもあります。
仕事で腹が立つこともあります(笑)。

でも、その一方で、
こういう知らない人の優しさに助けられることもあります。

道端で困っていると、知らない人が普通に声をかけてくれる。
言葉が通じなくても、なんとなく助けようとしてくれる。

そういうところを見ると、
やっぱり僕は、

ベトナム人って優しいよなぁ。と思います。

あのおじさん。
名前も知らないけど、

あのときは本当にありがとう。

そして最後に一つ。
みなさんはどう思いますか?

お金のためだったと思いますか?

それとも、

純粋に助けてくれただけだと思いますか?

僕は後者だと信じています。
「いや、これは普通に優しさだろ」と思った人。

スキを押してくれたら、

おじさんを信じる一票ということで(笑)。

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