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明けない夜に思い悩む時に読むエッセイ

目の前には何も見えない。

昼間に見た海は暗闇に包まれて、黒一色に変わっていた。

かもめが飛び交っていた、さざなみが見えていた、水平線の近くには船が浮かんでいた。

それなのに・・・、夜になるとあのきれいな景色が一変してしまう。

ある海辺での昼と夜の光景だ。

同じものとはとても思えない。


人生に挫折して、目の前が真っ暗になったことが、何度かあった。

かなり昔のことだから、ぼくの頭の中から消されかけていた記憶・・・

目の前の暗い海を見ていると、ふとそんなことを思い出した。

何度あったかなぁ。

受験に失敗した時がそうだったかなぁ。

就職した会社が潰れそうになった時がそうだったかなぁ。

親父に莫大な隠し借金が発覚した時がそうだったかなぁ。

再就職した会社が実はブラック企業で、休みなく働かされて、精神を壊した時がそうだったかなぁ。

目の前が真っ暗になって、どうすればいいのだろうかと途方に暮れた。

その暗闇が一生晴れないような気持ちになった。


視界はない、ピューピューと風の音だけが無気味に聞こえて、恐怖心しか感じない。

こんな暗闇の中に、希望なんて見つけられるはずもない。

前に進もうなんて気にもなれない。

耳を押さえて、うずくまっている他に何もできない。

しかし、しかしだ。

長い、長い、夜は必ず明ける。

水平線の向こうから、赤く染められた海が見え始めたかと思うと、視界は一気に拡大していく。

いつの間にか、辺り一面はいつもの昼間の景色に戻っている。



ぼくの長い夜は、どれくらいの長さだっただろうか。

長かった気もするし、短かった気もする。

手探りで道を探して彷徨ったこともあれば、暗闇の中で立ち尽くしていたこともある。

しかし、気が付けば長い夜は明けていた。

明けてしまえば、絶望の夜はもうただの思い出でしかない。


何度、長い夜を潜り抜けただろうか。

暗闇が明けていつもの景色が見てたかと思うと、また暗闇に包まれてしまう。

こんなことを繰り返して来た。

これが人生というものなんだろうな。

しかし、はっきり言って、もううんざりもしている。

いつか夜のない、ずっと海を眺めていられる世界に行ってみたいものだ。

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鈴々堂 / 昭真 小説を読んでいただきありがとうございます。鈴々堂プロジェクトに興味を持ってサポートいただけましたらうれしいです。夫婦で夢をかなえる一歩にしたいです。よろしくお願いします。