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受験−1分小説551作目−

「ああダメだ。また大学に落ちた」
 ケイヤが頭を抱えていると、黒ずくめの男が声をかけた。
「何かお悩みですか。私でよければお話しください」

「実は、ぼくはマトフ大学を目指してるんです」
「世界一位の大学ですね」
「そうです。ですが、落ちてしまって……ボクはマトフ大学に現役で入学して、みんなから賞賛されたかったんですが……」
「現役で合格できる方法がありますよ」

 ケイヤが力なく笑った。
「何いってるんです。もう現役合格は絶対に無理です」
「タイムループをすれば可能です。時間を一年前に戻して、勉強してもう一度受験する」
「そんなことができるんですか?」

「ええ、落ちてもまた時間を戻ればいい。何度もくり返せば、いつかは受かるでしょう」
「やってみたいです」
「ただし戻れるのはちょうど一年前です。さらに受かるまで時の輪から出られず、必ずマトフ大学を受験しなければならない。それでよければ時間を戻しますよ」
「かまいません」

 ケイヤは男の能力で時をさかのぼった。しかし実力はないので、またマトフ大学に落ちてしまう。二度目、三度目の挑戦をしても同じだ。

 勉強しては落ちてまた勉強しては落ちる……どんどんケイヤはおかしくなり、千回目のループで絶望のあまり、自らの命を絶った。
 男がクツクツと笑った。

「やはり自分の器以上の望みをもつことほど不幸なことはない」


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浜口倫太郎 作家 よろしければサポートお願いします。コーヒー代に使わせていただき、コーヒーを呑みながら記事を書かせてもらいます。