あなたは「あなた」という本を出版しました!
「いい学校に行くこと」が、本当に幸せなのでしょうか。
子どもが生まれた日。
親は誰もが願います。
「元気に育ってほしい。」
それだけで十分だったはずなのに、子どもが成長するにつれ、その願いは少しずつ変わっていきます。
いい幼稚園。
いい学校。
いい成績。
いい就職先。
いつの間にか、「幸せ」よりも「世間で評価される人生」を求めてしまう。
でも私は、ある出来事をきっかけに、その考えが大きく変わりました。

息子の人生は、ある日突然変わりました。
息子がまだ小さかった頃のことです。
遊んでいた拍子に、ソファから真っ逆さまに落ち、コンクリートに頭を強く打ちました。
私は、その瞬間の様子を今でも忘れることができません。
「大丈夫だろうか。」
そう思いながらも、どこの病院を受診すればよいのか分からず、とにかく頭を冷やし、その日は様子を見ることしかできませんでした。
数か月後、息子の様子に変化が現れます。
周りの子どもたちが当たり前にできることが、なぜかできない。
事故の影響だったのか。
それとも、生まれ持った特性だったのか。
今となっては分かりません。
私は36歳で息子を出産しました。
しかも予定より早く、妊娠9か月で破水し、生まれてきた子でした。
「あの事故だったのだろうか。」
「早産だったことも関係しているのだろうか。」
答えの出ない問いを、自分自身に何度も繰り返しました。
「もしかしたら……」
幼稚園の未就園児クラスに通い始めた頃のことです。
先生が話をしている間も、息子だけは後ろを向き、ピアノの陰に隠れて一人で遊んでいました。
周りの子どもたちは先生の話を聞いているのに、息子だけが違う世界にいるようでした。
先生から、こんな言葉をかけられました。
「お母さん、もしかしたら……。」
その続きを聞かなくても、何を伝えようとしているのか分かりました。
小学校へ入ってからも同じでした。
運動会の練習の日。
みんなが運動靴で集まる中、息子は長靴を履いて登校し、スタートの合図で一人だけ反対方向へ走っていったそうです。
担任の先生からは、
「一度、専門の先生に相談されてみてはいかがでしょう。」
そう勧められました。
親として、その言葉を受け止めるのは決して簡単ではありませんでした。
それでも、この子は成長していきました。
現在、息子は高校生です。
地元でも伝統のある合唱部に所属し、昨年はコンクールで金賞を受賞しました。
もちろん、これから先の人生がどうなるかは誰にも分かりません。
でも、一つだけ確かなことがあります。
あの頃、「この子の将来はどうなってしまうのだろう」と泣いていた私には、今の姿は想像できませんでした。
子どもは、親の予想どおりには育ちません。
でも、親の予想を超えて成長してくれることがあります。
民生委員として見えてきたもの
現在、私は民生委員・児童委員の主任児童委員として活動しています。
地域の子どもたちや保護者の方々と接する中で、強く感じることがあります。
少子化によって学校の統合が進み、先生の数も足りない。
不登校の子どもたちは増え続けています。
そして、親御さんが本当に苦しんでいるのは、不登校という事実だけではありません。
「この先、この子はどうなるのだろう。」
「働けるようになるのだろうか。」
「一人で生きていけるのだろうか。」
そんな見えない未来への不安です。
私も親です。
その気持ちは痛いほど分かります。
私が伝えたいこと
昔は、「いい学校へ行けば、いい会社へ就職できる。」
そんな時代だったのかもしれません。
でも、今は違います。
社会は大きく変わりました。
必要なのは、学歴だけではありません。
自分で考える力。
人とつながる力。
困ったときに助けを求められる力。
そして、自分らしく生きる力です。
私は、この本の中で「学校へ行かなくても大丈夫」と伝えたいわけではありません。
「勉強しなくてもいい」と言いたいわけでもありません。
伝えたいのは、もっとシンプルなことです。
あなたは、あなたでいい。
誰かと比べなくていい。
誰かの人生を生きなくていい。
親の夢を背負わなくてもいい。
あなたには、あなただけの人生があります。

私は、いつか先に旅立ちます。
親は子どもより長く生きることはできません。
だから私が本当に願うのは、
「いい学校へ行くこと」ではありません。
「いい会社へ入ること」でもありません。
私がいなくなったあとも、
自分で考え、
自分で選び、
笑ったり泣いたりしながら、
自分の足で人生を歩いていける人になってほしい。
それが、私の願いです。
この本に込めた想い

そんな想いを一冊にまとめたのが、**『あなたはあなた』**です。
この本は、子育ての正解を書いた本ではありません。
子どもを「普通」にするための本でもありません。
親が子どもを信じる勇気を持つための本です。
そして、子ども自身が「自分の人生を生きていい」と思えるようになることを願って書きました。
もし今、お子さんの進路や不登校、発達のこと、将来への不安で眠れない夜を過ごしている方がいるなら、この本がほんの少しでも心の支えになれたら、これほど嬉しいことはありません。
あなたのお子さんは、誰かになるために生まれてきたのではありません。
その子らしく生きるために、生まれてきたのです。
そして、その願いは、きっと親であるあなた自身の願いでもあるはずです。
