友達の手土産で、深まる6年越しの謎「幻のスフレ」
もう6年前の話になるんだけど、
(最近、昔話ばっかりなんですが汗)
私が専業主婦になる直前の年の春、私が当時働いていた部署に、
新採用の職員さんが入ってきました。20代の男性職員さんでした。
新しい職場で初日って、挨拶に手土産(お菓子)を持ってくる職員さんが多いですよね。
私は毎年異動のある職場で働いていたので、毎年春は、
新しい職員さんの手土産を何気に楽しみにしていました。
♢
その職場では、私はただの非正規雇用の雑務をするポジションだったので、
お菓子などのお土産を部署の皆さんに配るのも、もちろん私の仕事。
その新採用くんも、礼儀正しい人で、初日にお土産を持ってきてくれて、
「◯◯さん(私)に渡せば、皆さんに配っていただけると聞いたんですが」
と、私にお土産を持って話しかけてくれました。
「そういうのは、私が配りますよー」
って受け取ったお菓子が、なんと生菓子だったんですよね!
おなじ部署は20人くらいいて、要冷蔵と明日の賞味期限のシールが付いている
ケーキとか入ってる箱を2つほど渡されて、中身を見たらスフレでした。
同じようなポジションの仕事をしたことある方はわかるかもしれませんが、
生菓子をたくさんの人に配るのって、けっこう至難の業ですよね笑
普通のお菓子なら、不在の人でもデスクの上にメモをつけて置いていくだけでいいんですが、
生菓子は冷蔵保存が多いので、配る時点で席にいる人にしか渡せなくて、
不在の人の分は冷蔵庫に行くんですよね。
一応、不在の人に「冷蔵庫にあります、賞味期限短いです」ってメモを一人一人に残しておくんですが、
半分くらいの人には忘れられる。
さらに、席にいた人もすぐに食べないで冷蔵庫に入れる人もいるんですね。
それで、そのまま冷蔵庫に入れたことを忘れる人もいるんですよ。
部署内の目につくところに冷蔵庫があるといいんですけど、
その職場は、給湯室に他の部署の人たちも使う冷蔵庫が一つあるだけ。
お弁当や飲み物を冷やすのとかに使われてたけど、使ってる人もごく一部で、
お茶汲みのある非正規雇用の雑務係はしょっちゅう出入りしてるけど、
職員さんは用もない限り、出入りしないんですよね。
だから、生菓子が一度冷蔵庫に入ってしまうと、高い確率で忘れられて、
時間が経ってから、発掘されるという事件が、しょっちゅう起こっていました。
♢
新採用くんの持ってきてくれたお菓子も、たぶんそうなる…
ドキドキで入ってきて、一番最初に持ってきた生菓子が賞味期限切れても、
冷蔵庫の中で放置されてるのを見たら、どう思うんだろう?
いきにり出鼻をくじかれたみたいになったら可哀想だなと、
心配が尽きない私は、給湯室でお茶を沸かしながらそのスフレを食べさせてもらったんだけど、
こーんな、うまいものがこの世にあるんか?!って思うくらい
口の中でジワっと溶けていくような美味しいスフレだったんですよ!
手土産に持ってきたのが、すごくわかった。
そして、冷蔵庫には大量のスフレが残っている。
スフレが配られたのは、運悪く水曜日。賞味期限は木曜日。
土日が休みだから、最低でも金曜日に冷蔵庫から持ち出さないと、
月曜日に冷蔵庫で発見されたら、さすがに新採用くんもショックを受ける。
どうしようって思って、とりあえず金曜日に帰る前にまだ残ってるスフレと
誰が食べてないかは把握していたので(怖い)、その人のデスクにもう一度メモを貼って帰った。
♢
月曜日、朝イチで冷蔵庫を開けたら、残ってたのよ。賞味期限切れのスフレ。
3つあった。
とりあえず、私のお弁当入りの保冷バッグに回収して、
全部食べられましたよみたいな、隠蔽工作をしておいた。
その賞味期限切れスフレを、家に帰って取り出してみると、
見た目も匂いもまだ大丈夫そうだったので、自己責任で3つ食べました。
味は少し落ちてたけど、美味しかった。お腹も壊さなかった。
火曜日の朝、仕事に行ったら、給湯室に同じ部署の男性職員さんがいて、
「新採用くんのお菓子、忘れてたんだけど、もう冷蔵庫にないんだよね」
って言われて、やべーやべーやべーって思った。思い出した人3名中1名。
まさか、私が食べましたとは言えないから、
「賞味期限切れで、見た目が変だったので、昨日のうちにこっそり処分しました。勝手にすみません」
と咄嗟に嘘八百。
「そうだよね、先週のやつだもんね」
「新採用なので、残ってるの見たら、ショック受けるかなって思って」
「いい、いい、それでいい」
新採用くんが聞いてるといけないので、小声で話して、
給湯室で怪しい密会みたいな状況になってる。
スピーカーみたいなおばちゃんに見られたら、
変な噂広がりかねないレベルのコソコソ話。
ちなみに残り2名は、記憶の彼方に行ってしまったらしく、問い合わせなし。
♢
席に戻ると、係長が部下の職員さんに冗談半分で怒っていて、
「聞いてよ◯◯ちゃん(私)、コイツね、俺が去年の夏に買ってやったアイス、
まだ冷凍庫の中に入れてるんだよ、ショックだよねー!」
この職場ではよくある話なんだけど、このタイミングでやめてくれー!って、
新採用くんの席を横目でさりげなく見たけど、空席でホッとしたりして。
人生には、なぜかよくわからないタイミングで非常にまずいことが重なる瞬間がある。
♢
でもね、あのスフレの味がすごく美味しくて、いまだに忘れられない。
新採用くんに飲み会のときに聞こうと思ってたんだけど、
いつも違うアホみたいな話しちゃって、買った店の名前を聞くのを忘れちゃって、
そのまま仕事を辞めてしまった。
新採用くんは、あの職場に来る直前に大阪の大学を卒業してた。
コロナ禍で緊急事態宣言が出る直前だったから、県外から来たってことで、
毎朝、職場で体温測ってた。
大阪の店のものだったのか、こっちに来てから買ったものなのかも不明で、
記憶にある見た目を思い出しながら、大阪も地元もいろんなお店を検索してみたけど、
どれも違うような気がして、謎に包まれたままである。
旦那に、新採用くんに仕事で機会があったら(旦那はそこの職場の正職員)、
新採用で部署に来た初日に持ってきたスフレをどこのお店で買ったのか聞いてくれ
と伝えてたけど、旦那も聞く機会を逸して、そのまま異動になって、
今、新採用くん(もう新採用じゃないけど)がどこの部署を回ってるかも不明。
スフレは幻と化していた。
♢
だけど、状況は一変した。
先日、友達を家に呼んだ時に、お土産に持ってきてくれたスフレ。
チョコ味だったんだけど、包装されてる感じや見た目が私の探している
あのスフレにそっくりだった!
新採用くんが持ってきたのはプレーンだったんだけど、
チョコ味を食べたら、なんとなく食感もあの時に近い!
「ねえ、これどこのお店?プレーン味もあるよね?」
って聞いたら、
「プレーンも買ってあるよ」
と、チョコ味のスフレの下に隠れていた。
ついに、運命の再会!?って思ったら、プレーン味のスフレは、
上がちょっと焦げ目がついてて、ベイクドチーズケーキ風だった。
見た目がまず違う。そして味も、やっぱり違った!!
でも、それも美味しかった。
もしかしたら、この店のスフレなのかな?でも、なんか違う気がする。
そもそも6年前に数個食べただけなので、もう記憶も曖昧なのかもしれない。
幻のスフレは、まだまだ幻のまま続きそうです。
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