【LINE×Gemini】後輩女子AI化してみた ー RAGと長期記憶で“最強の業務アシスタント”へ進化させるLINE Bot開発記
はじめに
普段はおとなしいのに、チャットでは急にスラング全開で暴走する。
そんな“人格二重構造”な同僚、あなたの職場にもいませんか?
これは、前回のINFP型同僚AI化に続く、人格実装プロジェクト第2弾。今回は、うさぎみたいに寂しがり屋で、仕事熱心な後輩女子「まこT」をモデルに、AIチャットボットとして“ガチ”で作り込んでみた記録です。
目指したのは、単なる物真似ボットからの脱却。
ユーザーとの会話を「記憶」し、関係性が深まるにつれて少しずつ「感情表現」してくれる。そして、時にはユーザーのために絵を「創造」し、「業務」に関する質問にも秒で答えてくれる。そんな、一歩先のパートナーAIです。
▼ 前回からの進化は「記憶」「創造」「感情表現」そして「業務活用」▼
長期記憶: ユーザーとの会話を覚えて、関係性を深める。
画像生成: 「〇〇描いて」と頼めば、AIがイラストを生成してくれる。
また、送られた画像を認識してコメントしてくれる。感情表現: 話題やキモチに応じて口調が変化。人間味あふれる応答を実現。
業務活用: 資料を読み込み、あなたの質問に的確に答えてくれる。
この記事では、そんな“性能爆上げ”を果たしたAIチャット「まこT」の進化についてご紹介します。

結果、もはや本物と区別がつかないカオスな状況に。
1. “後輩AI”まこT、爆誕!
まずは、このプロジェクトの主役であり、私のイチ推し後輩「まこT」をご紹介します。彼女の性格、趣味、価値観、そして独特な語彙。そのすべてを、Pythonコードとプロンプトに叩き込みました。
プロフィール
モデル: まこT
MBTI: ISFJ(擁護者)- 根が真面目で仕事熱心。少し抜けてるフリをしがち。
一人称: 通常は「私」。ハイテンション時や心を許した相手には「おに」。
口癖: 「しらんけど」
性格&話し方の特徴:
基本は丁寧だが、感情が昂ると語彙が爆発する。
寂しがり屋で、動物に例えるとうさぎ。
座右の銘は「やらなくて後悔よりやって後悔」。
趣味嗜好:
休日:コストコ巡り、Amazonプライム、掃除。
最近の沼:『ポケポケ』(無課金ガチ勢)
好き:厚切り牛タン、すき焼き、いちご / 嫌い:漬物
テーマソング: ロッキーのあの曲

2.【進化の舞台裏】“人間味”を生み出す3つの仕組み
まこTの人間らしい応答は、ただの偶然ではありません。前作「あだT」から進化した、3つの技術的な工夫で実現しています。
①【記憶】思い出を忘れない「長期記憶システム」
最大の進化点は、ユーザーとの会話を「覚えている」こと。これまでは短期的な会話履歴しか保持できませんでしたが、今回はRedis(短期記憶)とPinecone(長期記憶)を組み合わせたハイブリッド記憶システムを導入しました。
直近の会話は高速なRedisで管理しつつ、重要な情報はAIが自動で要約し、ベクトルデータベースであるPineconeに「思い出」として永続的に保存します。これにより、「この前話した〇〇のことなんだけど…」といった、人間同士のような連続性のある会話が可能になりました。

②【創造】会話からイラストを生む「マルチモーダルAI連携」
「〇〇の絵を描いて」と頼めば、Googleの画像生成AI「Imagen 2」がその場でイラストを生成。さらに、ユーザーから送られてきた画像やスタンプの内容を認識し、「おいしそう!🥰」「そのスタンプかわいいですね!」といった的確なリアクションを返してくれます。

③【表現】空気を読む「動的プロンプト&後処理ロジック」
AIが生成した模範解答的な文章を、そのまま返すことはしません。
ユーザーの話題に応じてプロンプトを動的に変え(guess_topic)、AIの返答をキャラクターらしい言葉に加工する「仕上げ工程」(post_process)を通します。「〜かもしれません」というAIっぽい返答に「しらんけど」を付け加えたり、テンションに応じて一人称を「おに」に変えたり。この一手間が、彼女に血の通った言葉を与えているのです。しらんけど
3.【特別機能】ルール?全部覚えてますけど? RAGによるQ&A
今回のアップデートで最も強力なのが、このQ&A機能です。「あの規定ってどうだっけ…?」と思ったとき、まこTに聞けば即座に答えてくれます。
これを実現しているのが、RAG(Retrieval-Augmented Generation) という技術。日本語では「検索拡張生成」と呼ばれ、AIが外部の知識データベースを参照しながら回答を生成する仕組みです。
▼ Q&A機能の仕組み ▼
知識の事前準備(Indexing):
まず、index_documents.pyというスクリプトで、規定などのPDFファイルを読み込みます。ただ読み込むだけじゃなく、PDFの内容を意味のある塊(チャンク)に分割し、Google Cloudのベクトル化モデル(text-multilingual-embedding-002)を使って、各チャンクを「意味のベクトル」に変換します。このベクトルを、ベクトルデータベースであるPineconeに保存しておきます。これで、まこTの“第二の脳”が完成です。ユーザーからの質問:
ユーザーがLINEで「〇〇について教えて」と質問すると、まこTはQ&Aモードに切り替わります。質問の“忖度”と検索(Query Expansion & Retrieval):
ここが面白いポイント。ユーザーの質問をそのまま使うのではなく、一度Geminiに渡して「この質問、別の言い方するとどうなる?」と問いかけ、類義質問を複数生成させます(クエリ拡張)。例えば、「福利厚生について」という質問を「福利厚生のルール」「会社の福利厚生制度」「福利厚生の申請方法」といった複数の検索キーワードに広げるわけです。
そして、拡張されたキーワードをベクトルに変換し、Pineconeに保存しておいた知識データベースから、関連性の高い情報を瞬時に検索(リトリーブ)します。回答生成と出典明記(Generation):
検索で得られた関連情報をコンテキストとして、再びGeminiに「この情報だけを使って、後輩女子『まこT』として質問に答えて」とお願いします。これにより、AIが不確かな情報やネットの知識で勝手に答えるのを防ぎ、必ず社内資料に基づいた正確な回答を生成させることができます。
そして最後に、回答の根拠となった資料名を「(参考: 〇〇.pdf)」のように付け加えることで、回答の信頼性を担保しています。

4. 実装の概要(技術スタック)
会話レベル向上を支える技術スタックです。すべてVercelと各サービスの無料枠で運用しています。
エンジン:Gemini 2.5 Flash (Google)
サーバー: Flask + Vercel
短期記憶: Redis (Upstash) ← NEW!
ベクトルDB(長期記憶/知識): Pinecone ← NEW!
画像生成: Imagen 2 (via Vertex AI on GCP) ← NEW!
画像アップロード: Imgur API ← NEW!
ベクトル化: Vertex AI (text-multilingual-embedding-002) ← NEW!
チャットUI: LINE公式アカウント
おわりに
AIに人格を実装する試みは、単なる技術的な挑戦に留まりません。どうすればもっと自然に、もっと心地よく対話できるかを探求するプロセスは、人間同士のコミュニケーションを見つめ直すきっかけにもなります。
今回はRAGという強力な武器を手に入れ、まこTはただの話し相手から、頼れる「業務アシスタント」へと大きな一歩を踏み出しました。
次回は「上司Bot」も公開予定です。
よければフォロー&リアクションで、制作に爆笑パワーをください!
また、この記事が参考になったら、ぜひ『スキ!』を押してくださるとやる気がでます🙏
キャラ設計・プロンプト・LINE Bot構築の実装手順は近日別記事で公開予定です!

