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shiro_no_tanpopo
【3つのお題に空想のひらめきを第20回】|おばあちゃんの鈴.消えた写真立て.はじめて泣いた日|ショートショート
タイトル:涙で鳴る鈴
古びた引き出しの奥から、小さな鈴が出てきた。おばあちゃんの鈴。
赤い紐はほどけかけて、金色の表面には細かい傷がいくつも走っている。
振ってみると――音がしなかった。
「これ、鳴らないね」
そう言うと、風がふっと部屋を抜けた。
その瞬間、机の上に置いてあったのに消えた写真立て。
おばあちゃんの笑顔が映っていた、あの写真。
「……え?」
部屋は少しだけ温かくなって、鈴が小さく震えた。
――チリン。
鈴の音が響くと、見慣れた庭の梅の木の下に、光の粒が集まっていた。
その中に立っていたのは、おばあちゃん。
でも、少し若い姿だった。
「泣かないでね」
その声に、胸がぎゅっと締めつけられた。
「だって…また会えたのに……」
おばあちゃんは微笑んで、鈴を指差した。
「その鈴、あなたの涙で鳴るのよ」
気づくと、頬を伝って涙がこぼれた。
――チリン。
透明な音が空にのぼっていく。
「はじめて泣いた日、あなたは優しさを知ったの」
そう言って、おばあちゃんの姿は光の中に溶けていった。
手の中の鈴は、もう鳴らなかった。
でも、その静けさの中に、確かにあの声が残っていた。
了

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