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【毎週ショートショートnote】大嘘寺|ショートショート


町の外れに、**大嘘寺(だいおつじ)**という名前のお寺がある。
嘘みたいな名前だけど、歴史はそこそこ古くて、
地元の人には「まあ、名前で損してるお寺ランキング一位だな」と親しまれている。

今日は年末の大掃除の日で、私も手伝いに呼ばれた。

境内へ入ると、
掃き掃除をしている坊主頭の若いお坊さんが、
真っ赤な顔でこちらに手を振ってきた。
寒いからじゃない。
朝から張り切りすぎて、マスクの下が蒸れてるのだ。

「すみません!人気のお寺じゃないのに、手伝わせてしまって…」
と、彼はペコッと頭を下げる。

「人気じゃなくても、大掃除は来るよ」と私が笑うと、
お坊さんはさらに赤くなった。

「実はですね…
“こんなお寺でも掃除を手伝うなんて、あなたは徳が高い”
って檀家さんに言われまして。
その…ちょっと嬉しくて張り切りすぎました」

その言い方が可笑しくて、私はつい吹き出してしまう。

「いやいや、大嘘寺って名前だけど、中身はちゃんとしてるじゃん。
人気なんて関係ないよ」

「ええ……そう思ってもらえたら、ありがたいです」

そう言いながら、彼は煤払い用の棒を持ち、
天井に向かって思いきり振り上げた。

——ドサッ!!

大量の埃が落ちてきて、ふたりで真っ白になる。

「わっ!す、すみません!!」
慌てる坊主頭。ますます赤い。

私は笑いながら、肩についた埃を払った。

「大丈夫。ほら、これでまた一年スッキリするね」
「はい……!あの、来年も…よろしければぜひ…!」

彼の真っ赤な顔が、寒空の下でもほんのり温かく見えた。

大嘘寺の大掃除は、
大嘘でも大事件でもないけれど、
笑いながら終わるところが、なんだか好きだ。

   

煤払い


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