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【3つのお題に空想のひらめきを第48回】深夜0時の観覧車.空とぶ喫茶店.虹色の切符|ショートショート
タイトル:虹色切符は夜空をめぐる
深夜0時になると、
街外れの観覧車はもうひとつ回り始める。
昼間には存在しない、
夜だけの観覧車。
誰にも気づかれないまま、
静かに空へ近づいていく。
その頂上に、
“空とぶ喫茶店”が現れるという噂があった。
私は半信半疑のまま、
古びた遊園地へ向かった。
人気のないゲート。
止まっているはずの観覧車。
でも、0時ちょうど。
かちり、と音がした。
ゆっくり回り始める。
「お待ちしていました」
頂上のゴンドラの中に、
小さな喫茶店があった。
ランプの灯り。
星色のクリームソーダ。
窓の外には、夜空。
本当に空を飛んでいる。
「こちらをどうぞ」
店員が差し出したのは、
虹色の切符だった。
光にかざすたび、色が変わる。
「どこへ行く切符ですか?」
聞くと、店員は少しだけ笑う。
「“本当の自分”へ向かうための切符です」
答えになっていない。
でも、その言葉はなぜか胸に残った。
観覧車は、
ゆっくり夜空を回っていく。
窓の外には、
眠った街。
誰にも見せていない気持ちや、
言えなかった言葉たちが、
星みたいに浮かんで見えた。
「本当の自分って、何なんでしょうね」
思わずつぶやく。
店員はコーヒーカップを磨きながら答える。
「探している時点で、もう途中までは辿り着いていますよ」
虹色の切符が、
小さく光る。
深夜0時の観覧車は、
急がない。
本当の自分へ向かう旅は、
たぶん、ゆっくりでいいのだ。
空とぶ喫茶店は、
今夜も静かに夜空を巡っている。
おしまい

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