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【シロクマ文芸部】花びらを|エッセイ


タイトル:桜の舟に乗せて

花びらを、ひとつ手のひらに受け止めた。

やわらかくて、すぐに風にほどけてしまいそうな軽さ。
それなのに、なぜか胸の奥に、少し重たく残る。

教室の窓から見えていた桜を思い出す。

黒板の文字、
友達の笑い声、
なんでもない会話。

あの頃は、それがずっと続くと思っていた。

でも今はもう、
同じ教室に戻ることはできない。

同じ席も、
同じ時間も、
同じ空気も。

すべて、過ぎてしまったものになった。

風が吹いて、花びらが舞い上がる。

ふと、思う。

あれは、桜の舟なのかもしれない。

春を乗せて、
過去の記憶をそっと運んでいく舟。

届く先は分からないけれど、
きっとどこかで、静かに浮かんでいる。

私はもう、そこには戻れない。

でも、あの頃の自分は、
ちゃんとこの春の中にいる。

だから、少しだけ前を向く。

花びらは、手のひらから離れていった。

それでも、
あの教室の春は、
まだどこかで揺れている気がした。


*下記企画に参加させて頂きました*



↓↓↓こちらは前回の作品です。


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