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【3つのお題に空想のひらめきを第61回】天国行きの最終列車.百年後に届く宝箱.記憶を運ぶ蝶|ショートショート


タイトル: 三日月駅の記憶便

天国行きの最終列車が出るのは、誰も知らない真夜中の駅だった。

ホームには時計がひとつ。

針はいつも、三日月の形をしている。

私はその駅で、一匹の蝶に出会った。

銀色の羽を持つ蝶は、誰かの記憶を運んでいるという。

忘れたくない思い出。

言えなかった「ありがとう」。

もう一度だけ伝えたかった言葉。

蝶はそれらを小さな宝箱に詰め、百年後の誰かへ届ける。

「百年後なんて、遠すぎない?」

そう尋ねると、記憶を運ぶ蝶は三日月の下をひらひらと飛んだ。

やがて最終列車が到着する。

扉が開くと、車内には無数の宝箱が積まれていた。

私は一つだけ、淡い光を放つ箱を見つけた。

蓋には、こう書かれている。

『百年後のあなたへ』

中に入っていたのは、一枚の写真だった。

そこには、今の私が笑っている。

不思議だった。

まだ訪れていない未来の自分が、今の私へ笑いかけている。

写真の裏には、短い言葉があった。

「今日を大切にしてくれて、ありがとう。」

その瞬間、蝶が宝箱を閉じた。

そして列車の汽笛が、夜空に響く。

百年後に届く宝箱

それは未来への贈り物ではなかった。

今日という一日を、未来まで生き残らせるための箱だったのだ。

列車が走り去る。

ホームに残った私は、三日月を見上げた。

いつか私の記憶も、誰かのもとへ届くのだろうか。

そう思ったら、明日がほんの少し楽しみになった。


おしまい


*下記企画に参加させて頂きました*




過去の作品はこちらです↓↓↓


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