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【風まかせ文芸部】初夏|エッセイ


タイトル:初夏の途中

初夏、という言葉が好きだ。

夏ほど強くなく、
春ほど頼りなくない。

季節が、
少しだけ輪郭を持ちはじめる頃。

半袖にするか迷う朝。
開けた窓から入る風。
白くなり始める日差し。

全部が、“途中”にある感じがする。

初夏には、
まだ余白がある。

真夏みたいな覚悟もいらないし、
春みたいな不安定さだけでもない。

だからなのか、
人の気持ちも少し軽くなる。

散歩したくなったり、
アイスコーヒーを飲みたくなったり、
どこかへ行きたい気分になる。

特別な理由はない。

でも、体のどこかが
「動き出してもいい」と言っている気がする。

初夏の夕方も好きだ。

昼間の熱が少し残っていて、
空がまだ明るい。

その時間には、
一日を急かさない空気がある。

頑張りすぎなくてもいいような、
少しくらい立ち止まっても許されるような。

季節には、それぞれ温度がある。

初夏の温度は、
“これから”に近い。

何かが始まりそうで、
まだ間に合いそうな感じ。

だから毎年、
この季節になると少しだけ呼吸がしやすくなる。

人生もずっと、
初夏くらいの気温だったらいいのにと思う。

熱すぎず、
冷たすぎず。

少しだけ未来に期待できる、
そんな温度。


アイスコーヒー


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