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【毎週ショートショートnote】七夕の歩幅|ショートショート
タイトル:七夕の歩幅
七夕の夜にしか開かない「天の巻物」があった。
その巻物には、未来ではなく、人と人の心の距離が映し出されるという。
見習い星の番人ソラは、巻物を広げて驚いた。
天の川を挟んで立つ彦星と織姫の歩幅が、毎年少しずつ違っていたのだ。
「歩幅が合わないと、会えてもすれ違ってしまう。」
古い言い伝えにはそう記されていた。
困ったソラの前に現れたのは、金色の羽織を着た、やたらとチャラい妖精だった。
「まっかせな!恋愛なら俺、得意っしょ!」
軽い口調とは裏腹に、妖精は巻物へ魔法の粉を振りかける。
すると、巻物には一つの言葉が浮かび上がった。
「相手に合わせて歩く者こそ、星に愛される。」
その夜、彦星は少し歩幅を狭めた。
織姫は少し歩幅を広げた。
たったそれだけで、二人は天の川の真ん中で笑顔になれた。
その笑顔が空いっぱいに広がると、地上ではケンカばかりしていた夫婦が自然と手をつなぎ、仲直りを始める。
人々はその奇跡を「夫婦円満の流れ星」と呼んだ。
ソラは巻物を閉じながら、小さく笑う。
本当の魔法は、大きな奇跡じゃない。
ほんの少しだけ、お互いの歩幅を思いやること。
それが、七夕の夜にだけ星々が教えてくれる、一番やさしい魔法だった。
了

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