息子よ…まだ信じてたん?
ボールペンを分解すると出てくるバネを手のひらに隠し、息子の耳の横でモゾモゾする。
それからバネを見せて
「わぁ大変!頭のバネが出ちゃったよ」と言ってみた。
幼稚園生だった息子は
「ぇ?! なんで?」とびっくりしていた。
さらに追い打ちをかけるように、耳元でヒソヒソと
「あのね、本当は君、ロボットなんだよ」と教えてあげた。
「ぇぇぇえ!! 戻してよぉ!バネ戻してよ!」
そう言う息子に「わかった、戻すよ」と、
また耳元でモゾモゾする。
「ほら、戻った ♪」と手のひらを見せると、ほっとする息子。
その後も、思い出すと時々
「ママ、もう1回バネ出して」と言というようになった。
——
それから数年たち、バネの話題もすっかりでなくなった頃。
小学校中学年になった息子が、神妙な顔で言った。
「ママ…僕ってほんとにロボットなの?」
すっかりバネのことなど忘れていた私は、思わず「はっ」とした。
……息子よ……
まだ信じてたのか……
そう思いながら、最後にもう一度、耳元でモゾモゾとする。
「大丈夫。ちゃんと人間だよ」
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