技術のホンダには”科学”が無かった3
ホンダは中国市場のリスクを完全に見誤ったと思う
トヨタは中国人の張社長(1999~2005年)に期待しましたが、中国市場制覇に失敗し、フォルクスワーゲン(VW)に市場を奪われました。2010年代には圧倒的に中国市場はVW車だったのです。しかし、VWは中国との合弁企業で車作り、特に車体製造のノウハウを中国に提供したのが、後々大きく響いてきます。2020年になると、”中国のEVのノウハウ”を載せた車体が中国の補助政策も相まって爆発的に売れ始め、欧州市場にも影響が出てきました。同時期、2015年9月18日、VWディーゼル車の排ガス偽装が発覚し、主力であったディーゼル車がダメージを受け、慌てたVWほかドイツ車、欧州車全体までも、深く考えず、こぞってEV製造に全振りしてしまったのですが、中国政府から大量の補助金を受けている中国製EVの低価格に対抗できず、欧米は中国製EVに市場を奪われていきます。中国は、レアメタルでも、世界制覇を目論み、精製時の副産物であるウランやトリウムという放射性廃棄物を一つの村に貯めこみ、発癌村になってでも、レアメタルで世界を制するという共産主義のメリットを利用する国です。中国は、次世代の交通をEVで世界制覇しようと、国家を挙げて推進していますから、外国製EVが売れる要素など最初からない市場なのですが、それを無視して、中国市場に打って出たのが先代社長の八郷氏であり、三部氏が中国市場にEVを投入するという愚行に出てしまったわけです。
◆元々、1990年代にホンダは二輪車の世界で、「カブ」という本田宗一郎氏の不朽の名作を世に送り出しましたが、中国生産においては、コピーされ放題で、中国市場の10%も占有できなかった過去の実態を把握していたのでしょうか?
また2004年、中国に新幹線を輸出したら、その後、完全にパクられてしまったJRの失敗をどう見ていたのでしょうか?こういう過去の経験がありながら、中国市場に特化した先代の八郷社長は、数年先にはどうなるかを予想できなかったのでしょうか?
2013~2014年のタカタのエアバック事件の際も、危機管理がトヨタに比べ大きく劣っていることが発覚し、伊藤社長が辞任する羽目になったあたりから、”科学の無い”ホンダの技術と社会との乖離が表面化し、この時期からホンダの経営に陰りが見えてきたと思います。
運転して楽しい車、良い車を作れば売れる、という過去の成功体験に捕らわれている経営陣が、時代を読み間違えているとしか言いようがありません。中国市場では、車はすでにメカよりも、ソフトの充実と、整合性が重要になっていることに気付いてなかったのです。実際に輸入されたBYD車の足回りを見ると、走りよりもコストダウンが優先されていること如実に表れています。
しかし、テスラがアメリカ市場にEVを送り出したのは、2003年のことです。オンラインで車の状態を管理しならが、自動的にアップデートされている状態が日常化していく”車はソフト”が重要となる過程で、ホンダの幹部はこの20年間、何を感じていたのでしょうか?
遼東の豕
創業者の本田宗一郎氏は『哲学』からくる先見の明と、『夢』がありました。先見の明としては、戦後復旧中の日本において、自動二輪車、続いて四輪自動車の需要を先読みしていました。また、『夢』は、鉄腕アトムのように動き、空を飛ぶロボットを作ることでした。地道にロボットの開発を続け、『ASIMO』という二脚歩行のロボットを作り、覆面の中には、ミリ波カメラを入れることで、透視能力も身に着け、ついには人工知能AIも導入され、動作確認も終わっていました。和光の研究所内で、自立して散歩しながら、警備役を務めていた程です。しかし、ヒト型ロボットでインターフェイスが軍事用としてあまりにも優れていたため、各国からの問い合わせや、機密漏洩のリスクが高まってきました。結局、私はアメリカの圧力だと思いますが、テロリストの手にわたる前に製造中止したものと想像していますし、代わりに、ホンダジェットの米国内販売の許可をもらったのではないかと推測しています。このホンダジェットの躍進は、翼にエンジンを載せたことで、機内スペースの確保や静音性、低振動などを一気に実現したことで達成できたものです。しかし、当時の、あるホンダ関係者によると胴体部分にエンジンを設置しないのは、空飛ぶ鉄腕アトムのイメージが生かされているそうです。アトムは足の裏から噴射していますから、全く同じとは思えませんが、エンジンを胴体から離して設置するところなのでしょうか…。
しかし、創業者の『夢』の部分は、地道に開発が続けられていました。
しかし、いつの間にか、大会社となり、跡を継いだ経営者たちは、『哲学』も『夢』そして『科学』も無く、現実社会の流れを見失うことになってしまったと思うのです。
例えば、三部社長は、広島大学工学部から大学院卒です。私の地元は広島ですからわかりますが、地元ではエリート中のエリートです。自動車なら、地元のマツダに就職する人が多いと思いますが、1983年からホンダは本格的にF1参戦を始めたことから、『夢』のあるホンダを選んだのではないかと思います。しかし、機械というハードに対し、ソフトはそれを補う存在として考えていた概念に固執してしまった結果、EVとEVを取り巻く環境の想定を誤ったと思います。2024年になり、極寒の中、EVの化けの皮が剥がれた途端に発覚した事実があります。EVを製造し、使用する電力を発電段階から計算すると、HEVよりもエコとは限らないことが発表されましたが、こんな簡単な計算さえしないでEV一択を決断してしまったことが、ホンダの行く末を暗示しているように思えます。
昔、小学校6年生の時の担任が、やはり広島大学出身のエリートでしたが、彼は私に「世の中は広いから、遼東の豕にならないように。」と教えてくれました。一方、未来を予想するコンサルタントの友村晋氏は、広大を出た後、東大の大学院に行き、そこで、数多くの天才たちに会い、自分よりも優秀な天才たちを世界に求めることで、AI社会など未来を正確に予想しようとしています。いままでの分析から想像するに、残念ながら、三部社長には、創業者のような『哲学』、『夢』そして『科学』もなく、激変する社会状況を把握できず、目の前の『嘘』に飛びついてしまったとしか言いようがないのです。
⇒4へ続く
