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【緊急投稿】遠野なぎこさんの訃報を受けて【街の心理士】

【緊急投稿】遠野なぎこさんの訃報を受けて【街の心理士】
「サイコロジー・メンタルヘルス&日々のあれこれ」

 先日、かねてより消息が案じられていた遠野なぎこさんの訃報がありました。ご冥福を祈りつつ、摂食障害当事者の方、支援者の方にお伝えしたいメッセージを以下に記します。

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 精神科医療の経験の長い心理士です(すでに退職済み)。

 精神疾患は概してそうなのですが、摂食障害をもつ方の生活のしづらさは、目に見えにくいものです。摂食障害の場合、精神症状・心理特性そのものの苦しさに加えて、身体面への影響が大きく、体調を崩すことが生活のしづらさに直結しやすいものです。ほかの精神疾患・身体疾患を併せ持ってしまうこともあります。生活のしづらさを抱えるにもかかわらず周囲から「痩せていて羨ましい」などと言われたり、摂食障害の症状を細心の注意を持って隠さなければならないなどといった、心理面の負担を抱えてしまう場合も多いでしょう。

 ここでは特に、摂食障害をもつ方の孤独・孤立に触れたいと思います。体調が優れず通学や就労を全うできない、食事を共にすることなどを含む対人関係に自信が持てない、生活のしづらさが周囲に理解されにくい、などといった理由で、多かれ少なかれ孤独・孤立の状態に傾く方が多い印象を持っています。痩せたままであり続けたい当事者の方が、当事者同士の関りの中で低体重を競い合う関係に陥る危険性を指摘する意見もあり、当事者同士の安定した関係作りにも課題があることも示唆されています。心当たりのある方もいらっしゃることでしょう。

 さらに、発症から時間の経たない若年の、過度の低体重の当事者の方への関りは、生命・健康リスク回避の観点から、当事者の気持ちに共感することよりも(配慮しつつも)「体重の回復」を最優先させることを標準とします。そのため治療者・支援者は「分かってくれない」と感じ、心からは信頼できない、頼れない当事者の方が一定数いらっしゃることも、ここで孤独・孤立について触れる理由の大きな一つとなっています。

 このように、摂食障害当事者の方は、社会生活や友人関係、当事者同士の支え合いや医療者との信頼関係など、様々な面で孤独・孤立への陥りやすさを抱えています。遠野なぎこさんの訃報からも、彼女の孤独・孤立を感じ取ったのは、私だけではないでしょう。

 当事者の方にとって、身近に信頼して付き合える人を探すことは容易ではないかもしれませんが、医療者や心理士などの専門職との出会いが、そのきっかけになることはありうると思います。一般的に心理的ケアでは、摂食障害の症状(特に低体重やそれに伴う身体症状など)を緩和することは難しいとされています。けれども、摂食障害について充分に理解した心理士であれば、当事者の方の気持ちをほぐし、他者と関わることの困難を和らげ、生活の困りごとの相談に応じることは充分に可能です。身近な心理士の存在を思い出し、声を掛けていただければ幸いです。よい出会いがあると良いなと思います。私自身も、皆様の力になれるよう、今まで以上に取り組んで参ります。

桂浜の海岸線から少し離れた砂浜から、クオッカのぬいぐるみがお礼を申し上げます。お読みくださり、ありがとうございました。(撮影地・高知県・桂浜)

(おわり)

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