Blue Wins! 第3話

 記者会見を開いた弘樹は人物の名前を告げる。
 最近起こった女子生徒失踪事件、悪人が次々と殺される連続殺人事件。その犯人の名前だ。

「我が娘......黒金陸華である!」

 犯人の名前に驚く人は少ない。陸華は殺人以外にも多くの犯罪を犯している人物で、政府から指名手配されるほどの大犯罪者である。
 だが、みんなが驚いているのは陸華が弘樹の娘である。この世界の秩序を護る世界最強の魔導師の娘。それが世に知れ渡ればどうなるかは弘樹自身分かっていた。
 あえて、この場で発言したのは何故だろうか。それは弘樹のみが知る事。

「この度は私の身内による事件だという事を深く深くお詫び申し上げます」

 頭を下げる。
 報道陣から罵声を浴びさせられる。
 それをテレビで見ていた海奈のスマホが鳴る。電話でみくるからだ。

「海奈! テレビ見ているか?」

「うん」

「おそらくだが、マスターは世界の王としての役目を終えるつもりだ」

「......マスターが引退するって事?」

「あぁ。マスターなりのけじめだろうな」

 世界の秩序を護ってきた世界最強の魔導師だからこそ、犯罪率が下がっていた。しかし、そんな彼がいなくなれば、世界の犯罪率が大幅に増える。
 それだけは防がなければならない。
 弘樹はカメラに向かって指を指す。

「次はお前だ。後は任せたぞ」

 そう言って弘樹は記者会見を後にする。番組が終わり、通常のバラエティーが始まる。

(マスター......私に任せて!)

 海奈には弘樹の言った言葉の意味が分かる。次期世界の王となるから。

「海奈、これから世界の秩序を護るのはお前だ。信じているぞ」

 みくるは電話を切る。
 そこに曜歌がやって来る。ここにいる事をNIENで伝えてあった。

「曜歌」

「海奈先輩! 今、ネットで騒がれている事って!?」

「うん。マスターだよ。我ら世界の王である伊南川弘樹だよ」

「やっぱり! これからどうなっちゃうの?」

 海奈は立ち上がって曜歌に近づき肩に手を置く。

「大丈夫だよ。マスターの事は私に任せて。陸華を捕まえよう」

「海奈先輩がそう言うなら......陸華を捕まえようね!」

 ある日の喫茶店。猫耳と尻尾を生やした桃髪の少女が来店する。

「いらっしゃい」

「あの、ここに行けば依頼を受けてくれると聞いたんですけど」

「どうぞ、こちらへ」

 海奈は少女を案内してカウンター席に座らせる。コーヒーを出して机に置く。

「あの......注文していませんが」

「サービスです。ご用件は?」

「ミミコ・マーベルと申します。実は......私の住んでいる所にドラゴンが住み着いて困っているんです。どうにかしてくれませんか?」

 ミミコが住んでいる場所は学園都市の北区にある。本来、ドラゴンが生息する範囲ではない。そこに住み着いているのはおかしい。

「私にお任せを!」

 どや顔をする海奈。余程自信があるのだろう。
 曜歌に連絡してミミコが住んでいる場所へ向かう。
 学園都市北区。その西側にある町。不気味な魔力が漂っている。

「この魔力......異様すぎる」

「海奈先輩! あれ!」

 海奈とミミコは曜歌が指した方へ見ると1頭の龍がいた。

「グルルル」

 龍は唸って海奈たちを見つめる。ゆっくりと近づく。

「ただのドラゴンじゃない!? ミミコ! 曜歌! 逃げて!」

「海奈先輩は!?」

「私が引き付けるから、その間に!」

「逃がすと思うか?」

 海奈たちが見知らぬ声が聞こえた方に向くと銀髪の片目を隠したツインテール少女がライフル銃を担いで、四つ足に背中から翼が生えた龍の頭に立っていた。

「黒金海奈だな。あたしにリリカを渡せ!」

「渡すと思う?」

 海奈はアサルトライフル銃を構える。

「ほぅ。あたしとやる気か? 良いだろう! ナルガ・ジンリュウが相手してやる」

 ナルガは龍から飛び降りて海奈に向かう。ライフル銃を振るう。
 海奈はアサルトライフル銃で防ぎ弾く。ナルガは後ろに跳んで距離を取る。
 ライフル銃の銃口が変形して剣のような刃になる。
 海奈がアサルトライフル銃で撃ち続けるが、ナルガは避けながら近づく。
 ライフル剣を連続で振るう。全て避ける海奈。
 そんな中、龍が曜歌とミミコに襲いかかる。

「ミミコちゃん、魔法使える?」

「もちろんよ! 私の町から追い出してやるんだから!」

 ミミコは猫の耳と尻尾の先に炎を灯し、両手に爪状の炎を纏う。
 龍は咆哮をして、空から複数の雷を降らす。曜歌とミミコは避けながら、龍に近づく。

「黒鉄!」

「火爪(ファイアークロー)!」

 曜歌は呪力を纏った右拳を、ミミコは右手を振るう。
 しかし、龍には効果ない。龍は体を1回転して吹き飛ばす。
 二人は上手く着地する。

「ダメージがないなんて......どうすればいいのよ!?」

(ただの竜じゃない? こいつは一体何?)

 龍は舞い上がる。口に雷撃を溜める。そして、その雷撃を放つ。
 曜歌とミミコは間一髪の所で避けた。その跡を見ると地面がえぐられていた。

(えぇぇぇ!!? 地面がぁぁぁ!!?)

 二人は目を飛び出して驚く。
 龍が空中から襲いかかる。二人は必死に逃げ惑う。
 海奈とナルガ。アサルトライフル銃とライフル剣をぶつけ合って相殺させている。

「あのドラゴンは?」

「あぁ。あいつは陸華の愛するドラゴンさ。古代から存在する自然の力を扱うドラゴンの一種、龍さ」

 竜は君たちが知っている爬虫類だとすると、龍は完璧なドラゴンと言える。
 龍については未だ不明な点が多くあり、不思議な生物である。そもそも生物である事すら見直されており、生物でありながら生物ではないと見解されている。

「何故、リリカを狙う?」

「何でも教えると思うか? まぁー、陸華の姉であるお前に特別に教えてやろう。エターナルエメラルドの在処をリリカなら知っていると見込んでいるからだ」

「なら......なおさら」

 海奈はライフル剣を弾く。右足でナルガの腹を蹴る。
 ナルガは後ろへ足を引きずるが耐える。

「リリカを渡す訳にはいかない。次期世界の王としてね」

「このあたしを怒らせたようだな。いい度胸だ!」

 ナルガは冷気を全身に纏う。辺りが冷え始め凍り出す。
 ライフル剣は銃へと戻る。その銃を海奈に向け、冷気を集束して溜める。その冷気をビーム状に撃つ。
 海奈は避けるが、胸苦しさに襲われ左足が凍ってしまう。

(しまった!? うっ!)

 海奈は息切れが激しくなり、吐き気してきてしまう。
 ナルガは海奈に近づき、ライフル銃を海奈の顔面に向ける。

「どうやら、お前は運が悪かったようだな。死ぬが良い」

 また冷気を集束して溜める。海奈は諦めていない表情をしている。
 それもそのはず、曜歌が逃げながら海奈に向かって走って来ていたのだ。

「海奈せんぱぁぁぁーーーい!!!」

 曜歌は跳んで右足に呪力を纏って飛び蹴りする。ナルガは顔面を蹴られて飛ばされ転がる。
 立ち上がるナルガは顔面を擦る。

「いてて。何するんだよ! てめぇ!」

 曜歌は海奈の近くに着地して海奈を立ち上がらせる。

「海奈先輩、ここは私に任せて、ミミコちゃんをお願い」

「うん。分かった」

 海奈はミミコの所へ向かう。曜歌は両手に呪力を纏う。

「てめぇが相手だと? 調子に乗りやがって......ふざけるじゃねぇ!!!」

「ふざけてないよ。至って本気だよ」

 プチンと何かが切れたみたいに怒りがナルガに込み上げてきた。

「あたしを怒らすとどうなるか教えてやる......地獄を見せてやらぁ!!!」

 海奈はミミコの所へやって来る。ミミコは泣きながら海奈に抱きつく。

「会長ぉぉぉ。あんなのどうやって倒せばいいのですかぁぁぁ?」

「私が来たから大丈夫だよ。2人で倒そう」

 ミミコは泣き止み、龍の方へ向く。覚悟を決めた表情をしている。

「会長がそう言うならやってみます!」

「その域だよ。さぁ、さっさとぶっ飛ばして陸華の居場所を教えてもらおうか」

 曜歌とミミコは構える。龍は咆哮をして舞い降りる。
 その際に雷撃が空から落ちる。
 異様な魔力はこの龍から感じる。闇のオーラを纏っており、不気味すぎる。
 曜歌、海奈、ミミコはナルガと龍に勝てるのだろうか? 気になる勝敗はまた次回。

#創作大賞2024 #漫画原作部門

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