不憫男子〜フビダン〜【職場編】
せっかくスノーゴーグルを買ったのに。なんてザマだ。
◇
しんしんと雪が積もる冬の北海道で、僕は除雪の仕事をしている。
昨シーズンから始めた仕事なのだが、雪かきは道民の日課。体力と装備さえあればなんてことはない。
2年目になり、このたび2つの装備を新調した。
一つはフェイスマスク。顔全体を覆い、寒さからお肌を守ってくれる。見た目はVガンダムのクロノクル・アシャーみたいになるが、これがあるのとないのとではやはり違う。
そしてもう一つ。
仕事中は、吹雪がやってくることもめずらしくない。つべたい雪がWHITE BREATHのPVさながらにびゅーびゅー当たる。裸ジャケットじゃなくても寒い。寒いというか、痛い。目が開けられないので、心の眼で見るしかない。うん、まっくら。
そんなあなたにこちら、スノーゴーグルですよぉ! 見てください、このかっこいいボデェー!
ネットショッピングで購入したこちらの商品、届いてから装着してみるとちょうどいいフィット感。メガネにも対応してるし、レンズは曇りにくい性質となっている。うむ、いいじゃないか。
実際の仕事でも大活躍だ。吹雪からの防護だけでなく、サングラスとしての役割まで果たしてくれる。素晴らしい、素晴らしいぞゴーグルちゃん。
◇
その日も、僕はゴーグルちゃんを装着し、雪をなんやかんやしていた。
ひと段落ついたので休憩に入ろうとしたら、ミノハラさん(仮名)と会った。ミノハラさんは、除雪車の運転をしている、愛想と恰幅のいい古希のおじさんだ。
ゴーグル装着姿の僕を見たミノハラさんは、すれ違いざまにこう言った。
「おー、銀バエみたいだなー! はっはっは!」
……ぎ、ぎんばえ…………
(おしまい)

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