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二人で一つの○○

『修二と彰』然り『仮面ライダーW』然り、「俺たちは二人で一つ」的なキャッチフレーズは多くの人に浸透していることと思う。

性格や境遇などが違っても背中を預け合える、そんな相棒に憧れを持つ人も少なくないだろう。

僕には、ある意味でそういう立場の人間がいた。役場職員時代の同僚であるシュウジ(仮名)だ。

年が近い彼とは、公私ともに親しくさせてもらった。お互いにけっこうドライな部分があるので、僕の退職以来ほとんど連絡はとっていないが、当時はよく飲みに行ったり一緒に遊んだりしたものだ。



その日は、1泊2日の研修かなにかで、二人で札幌を訪れていた。

といっても、僕の目的はどちらかというとその後で、繁華街すすきのに繰り出すことしか考えていなかった。公務員の風上にも置けない。


1日目の研修を終えた僕らは、宿泊先のビジネスホテルにやってきた。

12月だったこともあり、札幌中のホテルに空きはほとんどない。そんな中、奇跡的に空室を見つけた僕は、すぐさま予約を入れたのだった。
1つの部屋にツインのベッドじゃ少し窮屈かもしれないが、宿があるだけマシだろう。

それに、相手がシュウジだ。相部屋になったことなんて過去に何度もあるし、親しい仲なら(よっぽどイビキがうるさいとかでなければ)気にするようなこともない。


チェックインを済ませ、部屋にやってきた。
不要な荷物を置いて、さっさと飲みに行こうではないか。

しかし、部屋の様子がおかしい。

奥へと進んでいくと、大きなベッドが1つ


・・・


・・・え、1つ?



シュウジの方を振り返ると、明らかに困惑している。うん、そうだよね。わかるよ。
おそらく僕も同じ顔をしていたと思う。

五度見くらいしたが、相変わらずベッドは1つ。目をこすろうと、頬をつねろうと、ベッドは、1つ。


やっちまった?


急いでスマホを取り出し、ホテルの予約サイトにアクセスした。予約内容を確認すると、

【大人2名、1部屋、ベッドタイプ:ダブル



やっちまった。



うっわー! やっちまったぞ! ツインベッドと間違えて、ダブルベッドの部屋を予約してしまった!

すぐにもう一部屋を確保しようと思ったが、先に述べたとおりどこもかしこも満室である。
そんな中、脳内のクールポコが「男は黙って!」「野宿!」と繰り返している。しかし、12月の北海道は極寒の大地。野宿なんてできるわけないだろ! いい加減にしろ!


ひとしきりパニくった後、その場でシュウジに陳謝した。その平身低頭たるや、格付けチェックで“絶対アカン”を選んでGACKTを“映す価値無し”に降格させたDAIGOさながらである。

ところが、シュウジは僕を責めなかった。「予約してくれたわけだし」と、寛大な御心でお許しをくださったのだ。かたじけない。

意気消沈する僕に「ま、とりあえず飲みに行こうぜ」とシュウジ。
僕は己の浅はかさ、軽率さ、思い込みの強さを恨みながら、シュウジとともに夜の街へと向かった。



失敗をアルコールで流すかのように、僕は何軒もの店を飲み歩いた。ホテルに戻ったのは、もう深夜の2時を回っていた頃だったと思う。

シュウジは、先にホテルへ戻っていた。そのため、カギをそーっと開け、なるべく音を立てないように部屋に入った。

深夜ではあるが、ここは繁華街すすきの。カーテンで覆われた大きな窓から、ネオンの明かりが差し込んでいる。

その光のおかげで、部屋の様子がうっすらと見えた。

ベッドの壁側に、さなぎのように縮こまりながら寝ているシュウジがいた。
ダブルベッドだというのに、5分の1くらいのスペースしか使っていない。


本当に、申し訳ない。



寝ているシュウジに心の中で再度謝り、僕はベッドの通路側から5分の1のスペースに寝転んだ。



あの日以来、僕はホテルの予約に余念がなくなった。

どんなに空席が少ないときでも、必ずベッドの数はチェックしている。

それもあってか、ツインとダブルを間違えるような大失態は、後にも先にもこのときだけとなった。


シュウジとは、その後もよく札幌へ遊びに行った。

しかし、なぜだろう。思い出した景色は、ダブルベッドの壁際に貼りついたように眠っているシュウジの姿だけだった。


#66日ライラン

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