これであなたも澤井希子の虜です。【創作大賞2026 もりあげ広場 特別編】(#創作大賞感想)
こちらは、【創作大賞2026 もりあげ広場】に集まった応募作品の感想を書いていく『感想企画』のコーナーです。
今回は特別編ということで、灯火杯 6th 2026Spring~春のエッセイ祭り withアルロン~で見事アルロン賞を掴み取ったコッシーさんへの副賞になります。
もりあげ広場に寄せていただいた創作大賞2026応募作品、その感想記事を単独で書かせていただきました。
※ちなみに、副賞はもうひとつあり、それは「アルロンが『3月9日』(レミオロメン)を熱唱している動画を送りつける」というおよそ罰ゲームにしか思えないものですが、こちらはすでに完了しております。
#コッシーさんは喜んでくれてました
FS-自害対策センター支援員 澤井希子-/コッシー
お仕事小説部門に応募されているこちらの作品。
その魅力として、
リアリティーの高い設定
ていねいな描写
主人公の強烈なキャラクター
の大きく3つが挙げられる。
魅力① リアリティーの高い設定
まず、タイトルにもある「自害対策センター」という実在しそうで実在しない組織。作中に書かれているように、他の組織とは一線を画す「最後の砦」として、単なる悩み相談などではない直接的な介入を以って自害対策を進めている。
この部分について、あらすじを読んだ時点で非常に興味を惹かれた。
「具体的にはどんなことするんだろう」
「絶対的エースのやり方ってなんだろう」
と、物語に没入する準備があらすじによってすでにつくられていたのかもしれない。
構成としては馴染みのあるシンプルなものだが、この「自害対策センター」というキーワードが強い独自性を持っているのでありきたりな感じはせず、むしろ構成をシンプルにしたからこそ堅い言葉の多い本作でも非常に読みやすくなっていると思う。
また、現代の社会問題が反映されている題材でもあり、映画化・ドラマ化されそうな世界観である。後述するが、地の文の描写がていねいなので、映像として頭に浮かんできやすかった。
魅力② 主人公の強烈なキャラクター
一瞬だけ、テンション変えます。
いっやあ、澤井希子のキャラクターいいよねえええええ!
失礼いたしました。テンション戻します。
大門未知子を彷彿とさせる冷徹なリアリスト、というのが所感。自害を止めるためなら手段を選ばず、嘘も演技もお手の物。「あの子が明日も明後日も生きていられるのなら、その中身が真実かどうかなんて、私にとってはクソほどどうでもいい」という決め台詞(?)も、彼女の信念を如実に表している。その冷徹さの奥にある過去が、物語の進行とともに明かされていく展開が熱い。普段は口が悪く、緒方のことを「お花畑」と蔑称しているのもいい(断っておくと、アルロンがドMだからだとかそういうことではなくて、キャラクター性の強さとして魅力的だと申し上げています)。
思うに、物語の看板たる主人公のキャラクターが強いと、それだけで大きな魅力になる。逆に言えば、どれだけ素晴らしい物語でも、主人公を上手く描けていないと魅力的に映らない。
本作の主人公はそれだけ強烈なキャラクターとなっており、この柱を中心に緒方や松本といったサブキャラクターがいい塩梅で配置されている。
もうドラマとして脳内で放送されてたもん。個人的には澤井希子役は齊藤京子かな。年も近いし。ちょっと陰のある感じが合ってるかなと。
それにしても……いっやあ、澤井希子のキャラクターいいよねえええええ!
魅力③ ていねいな描写
読み始めて真っ先に思ったこと。それは「描写すごくない?」ということ。
風景の描写に圧倒され、人物の所作の細やかさに息を呑んだ。コッシーさん、こんなにレベルの高い表現力をお持ちでいらっしゃるのかと。
先に述べたように、映像として容易に脳内再生される。だからスムーズに読めたし、ドラマを鑑賞したような読後感があった。
しかも、ただ抒情的なフレーズを羅列しているわけではない。情景が物語をより色濃くする役割をしっかり担っており、人物の心理とリンクしてシーンに見合った相乗効果をもたらしているように感じた。これはなかなかできる芸当ではない。
繰り返しになるが、本作は映像として頭に流れる。文字だけの世界でそれを可能にしているのは、本当にすごいことではないだろうか。
このように、「FS-自害対策センター支援員 澤井希子-」はとても素晴らしい作品だと思う。
濃厚なストーリーでありながら淀みなく進んでいくので、「もっと読みたーい! 続編はよ! スピンオフはよ!」ともっと楽しんでいたい気持ちもある。
未読の人はぜひ読んでみてほしい。
そして「いっやあ、澤井希子のキャラクターいいよねえええええ!」と一緒に叫んでほしい。
#それは迷惑すぎるだろ
(おしまい)
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