不幸の根源にされた話
高校時代、扱いの悪さには定評のあったこの僕。
「まじバカだな~」「まじKY(空気読めない)かよ」みたいに、
「まじアルロンだわ~」
といわれたこともあった。
そうだよ、僕はアルロンだよ。なんだい人を悪口の一種みたいに。
部活のとある先輩に至っては、僕を呼び止めたので「はい」と返事をしたら、
「〇ね!」
だってさ。
自分から呼び止めたくせに、なんでそんなこというかね?
※冗談の範疇です。
でも、一番ムカついたのは、これだな。
確か高校1年の頃だったと思う。バドミントン部の練習が終わり、片付けをしていたときに、同級生のナガタニが僕を呼んだ。振り返ると、彼女はケータイのカメラを構えている。
「先輩たちに写メ送るから、撮らせて!」
その日は、一部の部員が全道大会(県でいうところの県大会)に出場するため、遠征に行っていた。僕やナガタニらは居残り組で、普段どおり部活に励んでいたのだ。
その遠征組にエールでも送ろうということなのだろう。弱小選手の僕にできることは少なかったが、写真くらいならお安い御用だ。
「満面の笑顔でね!」
ナガタニの言葉に乗せられた僕は、思春期の恥じらいを投げ捨てて笑顔を見せた。ナガタニがすかさず撮影ボタンを押す。「カシャーアッ」というシャッター音が体育館に響いた。

人に写真を求められたことはほとんどなかったが、意外と悪くないな。
・・・ちょっと恥ずかしかったけど。
照れくささが残るニヤけ面のまま、僕はバドミントンネットを器具庫へ持って行った。
ふう、今日の部活が終わった。さあ帰ろう。
学ランに着替え、ケータイを確認すると、メールが届いていた。それも1件ではなく、4件も5件もだ。僕にメールなんか送る暇人なんてそうそういないのに、こんなに届くなんて何事だ。もしかしてモテ期か!?ついにモテ期が来たのか!?
ドキドキしながら1通目のメールを開く。するとそこには、
【この画像を見た人は、一週間以内にこのメールを5人に送らなければ・・・】
的なことが書いてあった。
チェーンメールかよ!!
チェーンメール:電子メールを受け取った人が次々に知人に電子メールを転送することで、ねずみ算式に広まっていく電子メールのこと。
要するに、『不幸の手紙』のメール版が届いたということである。ズコー。
当時はガラケー全盛期だったので、連絡手段といえばキャリアメールが主流だった。と同時に、迷惑メールの類が横行していたのもまた事実。
暇な奴もいたもんだ、と半ば呆れながら、チェーンメールの続きを読んでみた。
【この画像を見た人は、一週間以内にこのメールを5人に送らなければ、背がちっちゃくなっちゃうよ!】
なんだそのしょーもない不幸は。こちとら160cm未満(高校1年当時)じゃい。元々ちっちゃいんじゃい。チェーンメールがなんぼのもんじゃい!
メールには「この画像」と書かれているだけあって、画像データが添付されていた。
それを見てみると・・・

俺やんけ。
っざけんなよナガタニィ!!
人の写真をチェーンメールの素材にしやがって!!
しかも恥じらいを捨てて臨んだ全力の笑顔のやつを!!
幼気な高校男児のハートを踏みにじったその悪行、てめぇの命をもって償わんかいクソボケハゲコラァ!!
しかも届いたメールのすべてがこれ。みんな律儀に転送してんじゃないよ!!
あとこれ不幸の根源に送ってどうすんの!!意味あんの!?いや誰が不幸の根源だよ!!
みんなしてチビをいじめやがって!!なにが「ちっちゃくなっちゃうよ!」だ!!ふざけんじゃねぇっ!!
行き場のない怒りをまき散らしながら、届いたチェーンメールを全て削除した。
幸い、バドミントン部内の冗談ということで、その日のうちに転送祭りは終わったし、後々大きな問題になることもなかった。
断っておくと、ナガタニとは今も親交があり、僕にとっては一番の女友達である。
それに、今やこの出来事も過ぎ去りし青春時代の1ページだ。かけがえのない思い出の一つであることに変わりはない。
だが心の中では、「俺はぜってー忘れねぇからな!」とハライチ・岩井のように叫び続けている。
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なんと アルロンが おきあがり
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