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業界レポート 業務用機械器具製造業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「業務用機械器具製造業」を取り上げたいと思います♪
業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

こんにちは、佐々木正人です!
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(1) 市場概要

①  営業種目
‣ 計量器・測定器・分析機械・試験機
・測量機械器具・理化学機械器具製造業 
‣ 事務用機械器具製造業 ‣ 武器製造業
‣ 光学機械器具・レンズ製造業
‣ サービス用・娯楽用機械器具製造業
‣ 医療用機械器具・医療用品製造業
 
②  業界規模
総売上高 12兆6,882億円
上場企業数 56社
非上場企業数 9,692社
 
③  業界サマリー
業務用機械器具製造業には、業務用及びサービス提供のために使用される機械器具を製造する事業者が分類されている。営業種目は多岐にわたり、事業規模においては、医療用機械器具・医療用品が最も大きい。
以下に、営業種目と主な生産製品をまとめた。

(業界としての特徴)
‣ 取扱い商品の特性上、エンドユーザーは企業もしくは研究機関、医療機関が中心である。
‣ 受注生産型 : エンドユーザーの用途に適した製品を製造するため、受注生産型が一般的である。
‣ 専門性の高い製品を取り扱うため、取引先企業の業界動向に大きく依存する。
‣ 商品の受注から納品までの期間が長い。

(2) ビジネスモデル

【医療用機械器具製造業】
斯業種における事業規模の約4割を占める医療用機械器具製造においては、医療機器製造業者から製造販売業者・卸売販売業者を経てエンドユーザーである医療機関などに製品が供給されるという商流が一般的である。

医療機器の取扱いには、許可・登録・届出を行う必要があり、許可登録制度によって製造と販売が分離されているため、医療機器製造業の登録を受けている企業は、製造販売業者または製造業者への販売ができるが、直接的に販売業者やエンドユーザーに販売をすることは禁止されている。

一方、製造販売業者や販売業者は製品の製造を行うことは出来ないほか、医療機器の製造を行うためには、製造工場ごとに登録を受ける必要があり、医療機器の製造工程や「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」(薬機法)によって規定されている医療機器のリスクに応じたクラス分類によっても、必要な許可や申請が異なる。
 
【その他】
斯業種の取扱い製品は多岐にわたり、建設現場で使用される測量機や、研究機関等で使用される電気炉・遠心機などの汎用機器、様々な製造現場で使用される計量器や分析機器などが挙げられる。
 
製品ごとのエンドユーザーによって商流は異なり、代理店・卸売業を経由して販売を行うほか、リース契約方式も多く用いられている。業務用機械の性能向上は日進月歩であり、エンドユーザーにとっては、購入よりもリース契約の方がメリットを得やすいことから、斯業種の販売先としてはリース会社が多いが、大手企業においては全国に直販営業網を持ち、直接エンドユーザーに販売を行っているケースもみられる。


(3) 業界動向

業務用機械器具製造業の生産額は、2009年にリーマンショックの影響により落ち込み、以降は横ばいで推移している。一方、医療用機械器具の生産額は、同じく2009年に減少したものの、以降は徐々に増加し続け、特に2019年度には前年度比131.8%増と大きく増加している。
 
高齢化社会の進行に伴い、医療用機械器具の需要が高まっているほか、近年はAIやIoT技術を活用した高性能化によって、単価が上昇していることが一因であると考えられる。新型コロナウイルス感染拡大を契機に在宅医療へのニーズも高まっており、今後も生産額は増加基調が続くと見込まれる。
 
また、近年の画像処理技術の発達やビッグデータ解析の高度化などにより、医療機器の性能は飛躍的に高まっており、自動問診システム、生体データ測定、遠隔診断など、全国の医療機関でAIやIoT技術を利用した医療機器の利用事例が増加している。
 
医療用機械器具は人体に与える影響を考慮し、製品品質の安全基準が設けられており、法制度の改正によって安全基準が変更された場合には、自社製品が規格外となる恐れがある、また、保険制度の変更により保険適用を受けていた医療機器が、適用外になることで、製品の需要が落ち込んでしまう可能性があることから、法制度や政策方針の変更を注視しておきたい。

(4) 財務指標分析

(安全性分析)
 業務用機械器具製造業は、製造業全体に比べて自己資本比率が約20ポイント低く、固定比率は製造業と比較して約30ポイント高くなっている。特に医療用機械器具の製造においては、高度な生産設備を備える必要があるため、多額の設備投資が必要であり、借入金が増加しやすいことが要因であると推察される。
 
(収益性分析)
 製造業全体と比較して、売上高総利益率は2.4ポイント、営業利益率は1.1ポイント高くなっている。斯業界の製品は、直接依頼を受けて製造設計を行う受注生産が多く、高付加価値製品が多いことから、収益性が高くなる傾向にあると推察される。
 
(効率性分析)
 製造業全体と比較して、棚卸資産回転期間や売掛債権・買掛債務回転期間が長期化している。斯業種は、受注生産が多く、高額な商品を取り扱う場合が多いため、製品の受注から納品までの期間が長く、仕掛品の計上が他企業と比較して大きくなる傾向があることが要因であると思料される。

(5) 与信限度額の考え方

■与信限度額の設定方法
 与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
 実際の取引において、必要となる与信金額。業務用機械器具製造業者に対して発生する与信取引としては、完成した商品などの「売買取引」が挙げられる。

大型の機械器具である場合は、高額なスポット取引になる場合がおおい。一方で小型製品の場合には継続取引となるため、取引企業の取扱い製品とその販売比率に関して確認を取ることが重要である。必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

 与信金額 = 取引金額 × 回収サイト

 取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。

 業務用機械器具製造業に対する平均的な与信金額 = 月間の取引金額 × 1.2か月

●基本許容金額(安全な限度額)
 基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。

一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。  

 基本許容金額 = 自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A格10%、B格5%、C格3%、D格0.5%、E格0.3%、F格0%)

●売込限度額(安全な限度額)
 販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

 売込限度額 = 買掛債務額 × 信用力に応じた割合 
(例 : A格30%、B格20%、C格15%、D格10%、E格6%、F格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率(26.0%)と買掛債務回転期間(1.2か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

  買掛債務額 = 売上高/12[月商] ×(1-0.260)[原価率] × 1.2(か月)[買掛債務回転期間]
= 売上高 × 0.074
(例:売上高100億円・A格の場合:100億円×0.074[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=2.22億円)

(6) 与信管理のポイント

業務用機械器具製造業は、取り扱う製品が多岐にわたるため、取扱品の種類やエンドユーザーを把握することが重要である。また、特定の業界向けに特化した製品を扱う企業も多く、エンドユーザーの業界動向によって業績が左右されやすいため、直接的な販売先の業績だけではなく、エンドユーザーにも注目することが、与信管理における大きなポイントとなる。
 
医療用機械器具は、他の機械製品に比べて人体に与える影響が大きいことから、製品の安全基準が高く設けられており、精巧な技術力を要する。また、薬機法により医療機器の製造には許可が必要であるほか、製品の販売先が医療機器製造販売業者に限定されており、新規参入障壁が高い。

また、製品の安全基準は、法制度の改正によって定期的に変更されることから、基準に適合させるため、突発的な設備投資を要することがある。法改正の動向を常にチェックし、手元資金や借入余力などの資金需要に対応できる財務余力を有しているかについても確認すべきであろう。
 
 斯業種は、新製品製造のため大規模な先行投資が必要であることから、製造機械の稼働状況のほか、投資金の回収状況や回収可能性等の観点から事業性を評価することが重要である。

大手企業においては、新製品の開発など研究開発費の割合が大きく、設備投資資金需要が発生することが多い。中小企業においては資金繰りの状況、大手企業においては投資金額のバランスや投資効果にも注意を向ける必要がある。

【参考資料】
財務庁「令和2年中小企業実態基本調査(令和1年度決算実績)」
業種別審査事典(一般社団法人 金融財政事情研究会)
厚生労働省「薬事工業生産動態統計年報」
 

業界レポート 業務用機械器具製造業 2022.04

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