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業界レポート 飲食料品小売業

今回は弊社独自で行っている業界レポート「飲食料品小売業」を取り上げたいと思います♪
業界レポートとは、リスクモンスターの心臓部であり、格付などの与信指標を生産・保守を行う「データ工場」が集計・分析しており、業界ごとの市場概要や業界動向、与信管理のポイントなどをまとめたレポートです。

こんにちは、佐々木正人です!
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(1)市場 概要

① 営業種目
‣各種食料品  野菜・果実 食肉 鮮魚 酒 菓子・パン
‣その他の飲食料品

② 業界規模
総売上高5 3 兆 364 億円
上場企業数26 社
非上場企業数81,453 社

③ 業界サマリー
飲食料品小売業は、専門食品小売店(八百屋 魚屋、精肉店など)と食品スーパー、コンビニエンスストアなどであり、業種 全体の 売上高の 約 58 %が専門食品小売店と食品スーパーを含む「各種食料品小売業」、約 28がコンビニエンスストアを含む「その他の飲食料品小売業」 となっている。

「専門食品小売店 」
専門食品小売店は、八百屋や 魚屋、精肉店など、同一種類の飲食料品を中心に小売する事業所であり、長期にわたって地域の生活インフラとしての役割を担い、飲食料品小売業の中心であった。

現在は、食品スーパー や コンビニエンスストアの台頭により、店舗数、販売額ともに減少傾向にある。

‣「食品スーパー 」
食品スーパーは、1店舗内で様々な飲食料品を購入できるという利便性とセルフサービスによる低価格性を強みとしている。取扱商品は、生鮮三品(青果・鮮魚・精肉)、日配食品(たまご、牛乳など)、惣菜、その他一般食品に大別され、中でも生鮮三品と日配食品は、消費者ニーズが高く、品揃えや価格設定が業績を大きく左右する。

生活必需品を取り扱う食品スーパーは、景気変動の影響を受けにくい業種であるが、近年はコンビニエンスストアやドラッグストア等との競争が激しくなっている。

‣「コンビニエンスストア 」
コンビニエンスストアは、長時間営業を強みとしている。コンビニエンスストア店舗の多くは、フランチャイズシステムを採用しており、フランチャイザーとしては、 セブン イレブン・ジャパン、ローソン、ファミリーマートの3社で国内シェア9割 を占めている。

フランチャイザーのブランドイメージの下、各店舗は均一的に運営されており、商品は定価販売が原則となる。店舗毎の差別化が難しいことから、コンビニエンスストアの収益は、立地条件が大きく左右する。商圏人口の多い地域には、コンビニエンスストアの出店が集中するため、同業者間の競争も激 しい。

(2)ビジネス モデル

■食品スーパー
食品スーパーは、食品製造業者から商品を仕入れ、個人客へ販売するビジネスモデルであり、立地条件、品質、品揃え、価格、ロス管理が重要なポイントとなる。

【立地条件】
飲食料品は、消費者の生活圏内で購入することが一般的であることから、立地が業績を大きく左右する。駅周辺や幹線道路沿いなど好立地が望ましいが、賃貸料が高額になりやすく、競合店が出店するリスクも高い。

【品質・品揃え・価格】
食品スーパーにおいては、主力である生鮮三品と日配食品が重要であるが、近年は弁当や惣菜などの中食市場が拡大しており、中食の拡充も競争力を左右する要素となっている。生鮮三品や中食は、消費期限が短く、鮮度管理が重要であることから、精緻な販売予測や客数予測に基づく効率的な仕入・在庫管理が求められる。

【ロス管理】
食品スーパーでは、売れ残りによる廃棄ロスをいかに低減するかが重要である。多くの店舗では、見切り(値引き)販売を行うなどしてロスの最小化を図っている。

■コンビニエンスストア
【立地条件】
コンビニエンスストアの商圏は半径500m以内であり、食品スーパー以上に立地が重要なポイントとなる。

【人材確保】
近年、コンビニエンスストア業界では人手不足が大きな問題となっている。人件費は売上高の約15%を占める最大の経費であり、安定した収益確保のためには、可能な限り低い価格で人材を確保したい。しかし、景気回復による他業種との人材確保競争が厳しく、さらに最低時給の改定による人件費の上昇などから、人件費の高騰が続いている。

【ロイヤリティ】
フランチャイズ契約内容に応じて、売上高総利益の40%~70%程度のロイヤリティが発生する。大手チェーンの場合、商品の値引き販売を行わないため、収益確保のためには、仕入段階で商品廃棄ロスの低減努力が求められる。POSシステム等を活用し、仕入管理を徹底することが収益最大化の鍵となる。

(3)業界 動向

■食品スーパー
食品スーパーは、ドラックストアなど他業態との競合激化などにより、2019年において販売額は増加しているものの、増加率は0.2%まで低下し、成長が鈍化している。2020年は、新型コロナウイルス流行によるリモートワーク増加や外食自粛などによって自宅で調理をする人が増えたことから、食品スーパーにおける販売額の増加が見込まれる。

かかる中で、食品ネット通販(食品EC)の市場も増加しており、今後は食品スーパーにとって食品ECが新たな競合となる可能性が高いため、食品ECの動向が注目される。

■コンビニエンスストア
コンビニエンスストアは、本部と加盟店との関係改善を進める動きが活発化している。以前より、加盟店契約の内容が加盟店オーナーへの負担が大きいことが問題視されており、24時間営業を廃止する店舗数が増加している。24時間営業に限らず、本部は加盟店との関係改善を求められており、両者の関係は転機を迎えている。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、都市部や観光地の売上高は減少する一方、地方ではドラックストアとの競合が激化している。店舗数の増加も頭打ちになっており、コンビニ業界を取り巻く環境は、厳しいものになっている。

(4)財務指標 分析

(安全性分析)
自己資本比率、固定比率、借入依存度などの安全性指標から、飲食料品小売業は食料品製造業に比べて安全性は低水準にある。小売店舗の設備投資に伴う資金需要を金融機関からの借入で賄っていることが要因と考えられる。

(収益性分析)
飲食料品小売業は、商品の回転が早く、在庫が膨らみにくい業種であるため、売上高総利益率は、食料品製造業と比較して高い水準にある。一方、コンビニエンスストアは、売上高総利益の40%~70%程度のロイヤリティを支払う仕組みとなっているため、表面上の売上高総利益率だけでなく、ロイヤリティ支払い後の実質的な売上高総利益率も考慮すべきである。

(効率性分析)
資本効率性は、売掛債権回転期間、棚卸資産回転期間ともに食料品製造業よりも短い。飲食料品小売業は、現金商売であり、生鮮食品など消費期限の短い商品が多いことから、在庫を抱えず商品の仕入から販売までの回転が早いことが要因である。

(5)与信限度額の考え方

■与信限度額の設定方法
与信限度額とは、取引において自社が許容する信用供与の最大額であり、いかなる時点でも超過してはならないものである。与信限度額は、「必要かつ安全な範囲内」で設定する必要がある。必要な限度額は、取引実態を基に算出し、安全な限度額は、自社の財務体力や取引先の信用力(格付)を基に算出する。

●与信金額(必要な限度額)
実際の取引において、必要となる与信金額。飲食料品小売業に対して発生する与信取引としては、商品や機材の販売等での「売買取引」が挙げられ、継続取引における必要な与信金額は、以下のとおり算出される。

与信金額 月間の取引金額 × 回収サイト

取引を行う際には、自社の取引条件が斯業界の平均水準から大きく乖離していないか、確認すべきである。買掛債務回転期間の業界標準値が「斯業界の平均的な支払サイト」を表しているため、「月間の取引金額×買掛債務回転期間の業界標準値」によって、与信金額の基準とすることができる。

飲食料品小売業に対する平均的な与信金額 月間の取引金額 × 0.5 か月

●基本許容金額(安全な限度額)
基本許容金額は、自社の財政がどの程度の貸倒れまで耐えうるかを予め計ることで、自社の体力を超える取引に対する牽制機能を働かせるものであり、自社の財務体力と取引先の信用力を考慮して算出する。一例として、自社の自己資本額に対して、取引先の信用力(格付)に応じた割合を安全な限度額とする方法がある。

基本許容金額 自社の自己資本額 × 信用力に応じた割合
(例 : A格10%、B格5%、C格3%、D格0.5%、E格0.3%、F格0%)

●売込限度額(安全な限度額)
販売先において、自社との取引シェアが高くなり過ぎると、自社が取引から撤退することが困難となる恐れがある。そのため、取引先の信用力(格付)に応じて取引シェアに上限を設けるべく、取引先が抱える買掛債務額の一定割合を売込限度額として設定する方法が考えられる。

売込限度額 買掛債務額 × 信用力に応じた割合
(例 : A格30%、B格20%、C格15%、D格10%、E格6%、F格0%)

仮に、取引先の売上高情報しかなく、買掛債務額が不明な場合であっても、業界標準値を用いて売上高総利益率(29.6%)と買掛債務回転期間(0.5か月)から、以下のように買掛債務額を推定することができる。

買掛債務額 売上高 / 月商 ] × 1 0.29 6 原価率 ] × 0.5 (か月 買掛債務回転期間 ]売上高 × 0.029
(例:売上高100億円・A格の場合:100億円×0.029[買掛債務額]×30%[信用力に応じた割合]=0.87億円)

(6)与信 管理のポイント

飲食料品小売業は、生活必需品である飲食料品を取り扱うことから、景気動向の影響を受けにくい。一方で、同業者、近隣業種との競争が激しい業種であることから、立地条件、商品ラインナップなど、生き残るための競争力を有しているかどうかが重要となる。

飲食料品小売業においては、店舗の立地や状況が業績に直結するといっても過言ではない。取引開始にあたっては、店舗を実査し、状況確認を行うことが望ましい

商圏の人口動態や、競合店舗の存在、店舗へのアクセス状況等を確認し、同業他社と比べ立地条件の面で優位性があるかどうか、あるいは同一商圏内に競合先がある場合は、取扱商品や価格面で競争力を有しているか確認する必要がある。

近年は消費者の「食の安心・安全」への意識が高いことから、売り場の衛生環境が清潔に保たれているか否かも、消費者の販売行動に影響を及ぼす。店舗内の設備が古すぎないか、不衛生な状態ではないか等を確認すべきである。

決算書取得時には、業種特性を踏まえた財務分析を行う必要があり、特に売掛債権や棚卸資産の状況を確認することが重要である。飲食料品小売業は、一般消費者がエンドユーザーであり、現金商売が主体である。多額の運転資金は不要な業種であることから、取引先の売掛債権が同業他社と比べて過大である場合には、不良債権化している懸念があるため、内容の精査が必要となる。

また、飲食料品の特性上、商品の消費期限が短く、消費期限切れの商品は廃棄ロスとして損失計上を行う必要がある。棚卸資産が前年度決算や同業他社と比べて異常に増加している場合は、損失計上を先送りし棚卸資産に不良在庫を含んでいる可能性についても留意すべきである。

【参考資料】
中小企業庁:「平成30年度中小企業実態基本調査(平成29年度決算実績)」
総務省統計局:「平成28年経済センサス」
経済産業省:「商業動態統計 業種別商業販売額」

業界レポート 飲食料品小売業 2021.04

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