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大腿骨骨折で寝たきりになった40代が再び走り始めた話③ 手術当日

手術室で流れていたのは、なぜか「ゆず」だった

大腿骨転子部骨折、手術当日のリアル

2025年9月17日。

大腿骨転子部骨折の手術当日

骨折してから4日

あれほど当たり前だった「歩く」という行為を完全に失い、ベッドの上で迎えた朝でした。

右脚は相変わらず全く動かない。

寝返りすら激痛。

そしてこの日は、人生で初めての全身麻酔による手術の日でした。

手術前の朝

朝食はいつもの病院食。健康的なのは分かる。

でも、正直かなりキツい。野菜中心、薄味、量も少ない。

普段ランニングをしていた自分には、驚くほど物足りない。

食べ終わるのは数分。

「こんなに動けないのに、腹だけは減るんだな…」

そんなことを思いながら、天井を見つめていました。

たぶんこの頃が、精神的にはかなり沈んでいた時期だったと思います。

動けない。

先が見えない。

トイレも一人で行けない。

自分が一気に“弱者側”へ回った感覚がありました。

5日ぶりの「風呂」

手術前、看護師さんが身体を綺麗にしてくれました。

骨折して以来、5日ぶり

…とはいえ、自分で立てるわけではありません。

ストレッチャーに乗せられたまま洗ってもらう。

人生で初めての経験でした。

情けなさもありました。

でも同時に、

「医療って本当にすごいな」

とも思いました。

自分ひとりでは何もできない状態なのに、看護師さんたちは淡々と支えてくれる。

あの時のありがたさは、たぶん一生忘れません。

ドラマみたいな見送り

手術室へ向かう時のことは、今でもかなり覚えています。

ストレッチャーで運ばれていく自分を、家族が心配そうに見送っていました。

本当にドラマみたいでした。

でも、実際にその立場になると、ドラマよりずっと重い。

「もし自分が逆の立場なら、どんな顔をするだろう」

そんなことを考えていました。

同時に、

「みんなに迷惑をかけてしまっている」

という申し訳なさも強かったです。

手術室は“映画の世界”だった

手術室に入った瞬間、最初に感じたのは照明でした。

とにかく眩しい。

テレビや映画で見たことのある、あの世界そのまま。

無機質な空間。独特の緊張感。

スタッフさんたちの慣れた動き。

そして少し意外だったのが——

音楽が流れていたこと。

しかも、なぜか「ゆず」の『夏色』。

さらに浜崎あゆみ。

「え、なんでこの選曲なんだろう…」

と思って、思わずスタッフさんに聞きました。

「音楽流れてるんですね笑。なんでゆずなんですかね?」

すると、

「世代かな?と思って(笑)」

という返事。そこで少し空気が和みました。

でも、その直後。「麻酔かけますねー」という声が聞こえたと思ったら——

5秒後には意識が消えていました。

あれは不思議

“眠る”とも違う。“気絶”に近い感覚。

そして次に気づいた時には、もう全部終わっていました。

手術後の1時間

ただ、本当の地獄はそこからでした。

麻酔が切れ始めたあと。痛み止めが効くまでの約1時間。

これが人生で経験したことのないレベルの激痛でした。

本当に悶絶していました。

耐えようとしても無理。

汗も止まらない。寒気もする。

時間の感覚もおかしくなる。看護師さんが電気毛布をもってきてくれた。9月でまだ暑いはずなのに、寒気が止まらない。

人生でフルマラソンの終盤足攣り怪我の痛み、色々経験してきたが、それとは完全に別次元でした。

しかし、そこを乗り切ったあとは別世界

もうなにこれ、少し脚動くじゃん

点滴から直接血液に入れた痛み止めが効いてきた!
症状激変、もう笑っちゃう、あんま痛くないじゃん。

余裕よコッソリバナナでも食べてやろうぜ🍌


そして夜にはゼルダやって歓喜祝い

待っていろよゼルダ姫


翌朝、世界が少し変わった

そして翌日、9月18日の朝。

明らかに身体の感覚が変わっていました。

もちろん痛い。でも、手術前とは違う。

“壊れたまま”ではなく、“治る方向へ進み始めた痛み”

に変わっていたんです。これはかなり大きかった。

精神的にも、「ここから回復していくんだ」

という感覚が初めて芽生えました。

まだ歩けない。でも、“絶望だけ”ではなくなっていた。

骨折して初めて分かったこと

普通に歩けること。普通にトイレへ行けること。普通に風呂へ入れること。

これって、本当はとんでもなく贅沢だったんです。

毎日走って。働いて。投資をして。

「もっと資産を増やしたい」

とか考えていたけれど、

健康を失うと、それ以前の問題になる。

人生の土台そのものが崩れる。

でも逆に言えば、

そこから少しずつ回復していく過程は、人間の強さも感じさせてくれました。

あの壮絶な痛みも。

ストレッチャーのシャワーも。

手術室で流れていた「夏色」も。

今では全部、自分の人生の一部です。

続く



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