これやりたくない!は性格を変えるチャンス
「性格を変えたい!」という方に向けて、変化を促すアイデアときっかけを提供します。
性格を変えたがらない自分がいる?
「性格は変えられる(野田俊作)」は、アドラー心理学の観点から、性格がどのように作られるか、性格が思考や行動にどのように影響するか、性格を変えるためにどのような行動を取るべきかなどが語られており、非常に読みやすく、大変内容の充実した書籍です。
本書では、「人は性格を変えられない」のではなく、以下の要因から、「自分の性格を変えないための不断の努力を続けている」と説明しています。この考え方は、人間の性格変容に関する固定観念を打破するものですね。
第一に、人間は保守的だから。
第二に、人間は思いこみに凝り固まっているから。
第三に、個人と環境との相互作用の中で性格は安定してしまうから。
第四に、人間は自分の性格にたっぷり投資しているから。
自分固有の生き方を長く続けていると、その先にある結果が見通せる、つまり予測可能な状態にあります。そのため、今さら生き方(=性格)を変えるというリスクを取りたくないと感じます。その性格に沿って、自分の周りの物事を長年解釈してきた結果、その世界観に安住しているのです。
さらに、ずっとこの性格で過ごしてきたので、このままの性格で続けていけば、人生はもっと上手くいくのではないかと考えるのです。
こうした理由から、今さら「自分の性格を変える」という不確かな方向に進むのではなく、「自分の性格を変えない」方向に決断し、そこにコツコツと努力を重ねている現実があるのだと述べています。
一時的な安住の地にとどまってしまう
著者は「性格を変えたがらない自分」を、下の図のように表しています。黒い丸の点に今の自分がいます。一応は安定して転がっている(=生活できている)ものの、この生き方が本当に良いとは思っていません。
しかし、小さな山を乗り越えて、より良い生き方(=白い丸)に移るのは億劫だと感じています。黒い丸の中にいることで、一応の安定や安心感を得ている反面、変化に伴う不安や恐れから抜け出せないでいるのです。この状態は、慣れ親しんだものに固執し、より良い可能性を追求することを避けているといえます。
変化にはエネルギーが必要で、今まで築き上げてきたものを捨てるというリスクが伴います。著者は、この「億劫さ」こそが、多くの人々が性格や生き方を変えたがらない理由であり、これを乗り越えることが成長の鍵であると説明しています。

この図について別の見方をすると、「乗り越えるのに抵抗がある」すなわち「これをやるのは、嫌だなあ」という行動や選択肢が表れた時に、あえてそれをやるのが、生き方や性格を変えて、黒丸から白丸に移るためのチャンスだということになります。
つまり、自分にとって不快で避けたいと感じる行動こそ、変化をもたらすために必要なものであり、それを乗り越えることで新たな自分に出会える可能性が高まるのです。このプロセスは、現状に固執せず、より良い人生を目指すために重要な一歩であり、これを繰り返し実行することで徐々に成長していけるのです。
挑戦を通じて、不安や恐れを乗り越えた先には、自分の中に新たな価値観や視点が芽生え、より豊かな人生が待っているかもしれません。
本の中では、次のようなエピソードが紹介されています。「これをやるのには抵抗があるなあ……」という行動が出てきたら、迷わずそれをまずやってみてください、と著者は勧めています。その抵抗感を乗り越えることで、自分の中に新たな気づきや成長が生まれる可能性があるからです。
グループ・セッションでの出来事なんですが、私が、「一番好きな人とペアをつくってください」と言ったんです。あとで、ある中年の女性が、「さきほど先生は、一番好きな人とペアをつくれとおっしゃったけれど、とてもいやでした。私は全員と仲よくなりたいんです。ここに来てまで、好き嫌いを言って、誰か特定の人を選びたくないんです」と言うんです。
そこで私は、「ひょっとして、特定の人を選ぶのがこわいんですか」と尋ねた。その人は、ちょっと考えたあとで、「ええ、そうですわ! 私、こわがっているんです。今、気がつきましたけれど、私が好きになった人が私を拒否するんじゃないかとおそれているんです。それに……」と、しゃべりはじめたんです。
そこで私は、「あることをおそれていることに気づいたら、どうすればいいか知っていますか」って尋ねたんです。彼女は「いいえ、わかりません」 「何かをすることに抵抗を感じたときに、ただ一つしなければならないことは、そのことをすること。一番してはいけないことは、なぜ抵抗を感じるのか分析しはじめること」
いつもの行動パターンを崩してみる
この考え方を応用すると、普段の自分の行動パターンを見つけておき、それとは逆の行動パターンを予め決めて実行することで、性格変容につなげることができます。
例えば、子供が勉強をしないと叱るのではなく、逆に優しく励ましてみる。また、ネットショッピングで無駄な買い物をしてしまう場合、その代わりに欲しいものが出てきたらひとまず部屋の中でできる運動をするなどの行動に置き換えることが考えられます。
これまで取らなかった行動パターンを、嫌々ながらでも試してみることで、新たな気づきが得られることがあります(著者はこれを「Aha!体験」と呼んでいます)。もしその行動が自分に合わないと感じたら、別の行動パターンをまた試してみるということを繰り返していきます。
代わりになる行動パターンが思いつかない場合には、ChatGPTに聞いてみると良いヒントが得られるかもしれません。以下は実際の出力例です。
Q. ネットショッピングをついついしてしまう場合、アドラー心理学の観点から代替行動を考えてください。
A. ネットショッピングをする目的を理解し、その目的を健全な行動で満たすことが大切です。例えば、ストレス解消が目的なら運動や瞑想に置き換えます。退屈なら新しい趣味や自己成長の活動に取り組むことで代替します。また、達成感を得るためなら、家の片付けやタスクの完了といった小さな目標を設定することで満足感を得られます。孤独感が理由であれば、友人や家族との交流を増やすことが効果的です。代替行動を続けるためにリマインダーを設定し、感情日記をつけることで衝動をコントロールできます。
まとめ
人は、自分の性格を変えたくないがゆえにエネルギーを注ぎ続けています。このことを理解することで、「この行動を取りたくないなあ」という気づきと、その行動を実際に行うことが、自分の行動パターンを崩し、性格を変えるきっかけになり得るのです。
また、普段の行動パターンに対して、あえて逆の代替行動を予め考えておくことも効果的です。代替行動のアイデアは、コーチやカウンセラーに頼ったり書籍を参考にするほか、ChatGPTを利用することで簡単に得ることができます。
