アルバート・エリスのカウンセリングを見て驚いた!(2)
前回の記事(1)では、アルバート・エリスの論理療法の概要について、アルバート・エリス自身の言葉を引用しながらお示ししました。今回は実際のセッションの逐語訳に入っていきます。
実際のセッション動画はこちらから見れます。
セッションのテーマは、グロリアという女性が、なかなか好みのタイプの男性との付き合いにいたれない、という内容になります。
セッション・テーマの展開
まずは冒頭に、セッション・テーマについてグロリアから話が切り出されます。どうやらグロリアは、事前にアルバート・エリスの書籍を読んでいるようです。グロリアの悩みは、理想の男性と付き合おうとすると、恥ずかしさを感じてしまい、うまくいかないようです。
アルバート・エリス:こんにちは、グロリアさん。エリス博士です。
グロリア:こんにちは、エリス博士。お会いできて光栄です。
アルバート・エリス:どうぞお座りください。では、あなたを最も悩ませていることについて話していただけますか?
グロリア:ええ、はい。私が最も話したいことは、独身生活への適応についてです。主に男性のことですね...実は、これが適切かどうかわかりませんが、あなたの本に言及させていただきたいのです。私が感銘を受けた『賢い女性の男性探しガイド』という本についてです。
アルバート・エリス:ええ。
グロリア:私はその本に従おうとしていて、その内容を信じています。あなたの本を読むのが楽しいのは、私はあまり本を読まないタイプなのですが、あなたと同じような考え方を持っているからです。ただ、この分野で問題を抱えています。私が惹かれる男性、あるいは親密な関係を持ちたいと思うタイプの男性と出会えないか、あるいは出会っても私が恥ずかしがりすぎてしまうのか、なにかうまくいかないのです。最近付き合っている男性たちは、私があまり尊敬できない人たち、あまり楽しめない人たち、軽薄で面白みのない人たちなのです。これが私自身の問題なのか、何なのかわかりません。私は本当にそういう(理想の)タイプの男性に出会いたいのです。
アルバート・エリス:では、あなたの恥ずかしがりについて少し話してみましょう。あなたが適格だと考える、好みの人に出会ったとしましょう。では、あなたの恥ずかしさの源がどこにあるのか、あなたが自分に何を言い聞かせてそれを作り出しているのか、見てみましょう。あなたはその男性に会って、恥ずかしさや当惑を感じる。
グロリア:はい、でも普段はそれを表に出しません。普段は相手に対しても軽く受け流すような態度を取ります。
アルバート・エリス:なるほど。
ビリーフの特定
アルバート・エリスは、「理想の男性の前で羞恥心を抱く」背景にあるビリーフを特定していきます。単に、「理想の男性は自分より優れているかもしれない」だけではなく、その背後に非合理的な考えがあるという前提で会話を進めていきます。
グロリア:実は、他の男性が私に対してするように、私も同じように振る舞うんです。軽薄な態度を取って、実際の自分よりずっと知的でないように見せかけます。典型的な頭の悪いブロンドのように振る舞うんです...つまり、彼らと一緒にいるとき、本来の自分ではないんです。より落ち着かない感じになります。
アルバート・エリス:ええ、『男性探しガイド』でご存知かもしれませんが、私は人々が恥ずかしさや当惑、羞恥心といった否定的な感情を抱くのは、単純な感嘆文で自分に何かを言い聞かせているからだと考えています。では、あなたが自分に何を言い聞かせているのか、探ってみましょう。あなたはその人に会っています。軽薄な態度を取る前に、自分に何を言っているでしょうか?
グロリア:それは分かっています。私が彼の期待に応えられないということです。私は彼には十分ではないと。彼は私より優れていると。このタイプの男性を望んでいても、私には彼を魅了するだけの十分なものがないのではないかと恐れているんです。
アルバート・エリス:そうですね、それは文章の最初の部分であり、おそらく真実かもしれません。彼があなたより何かの点で優れているかもしれませんし、あなたに魅力を感じないかもしれません。しかし、もしあなたが単に「彼は私より優れているかもしれない」と考えているだけなら、それは決してあなたを動揺させることはないでしょう。あなたはそこに第二の文章を付け加えているのです。もしそうだとしたら...それは...ひどいことだ、という文章を。
グロリア:そうですね、でも私はそこまで極端ではありません。私もそのことについて考えてきました。普通は「また機会を逃してしまった」と思うんです。自分の最高の部分を見せたいと思うのに。私には自信があり、提供できるものも十分にあると思っているんです。
アルバート・エリス:ええ。
グロリア:でも、そのように恐れを感じると、悪い面ばかり見せてしまいます。軽薄になって...そして防衛的になりすぎて、良い面を見せることができなくなります。またチャンスを逃してしまったような感じです。この男性と親密になれる良い機会があったのに、また台無しにしてしまったと。
アルバート・エリス:なるほど、でもあなたがそう言っているとしても、そしてそれは本当だと思いますが、あなたは他にも何か言っているはずです。なぜなら、もしあなたが単に「ちくしょう、またチャンスを逃した」と言っているだけなら、「よし、今度は今回学んだことを活かして、もう少し上手くやろう」と言うはずです。あなたが恥ずかしさや当惑、シャイネスを感じているということは、チャンスを逃したという自分の過ちについて、何か非常に悪いことだと言い聞かせているはずです。
アルバート・エリスは、ビリーフを二段階のものとして扱っていますね。上の例だと、「この男性は私より優れているかもしれない」というビリーフは認めたうえで、「それは、ひどいことだ」という非合理な考えがあるのではないですか、と更に押しています。
また、お付き合いがうまくいかないと「また、チャンスを逃してしまった」の後に、「よし、今度は今回学んだことを活かして、もう少し上手くやろう」ではなく、「これは非常に悪いことだ」と言い聞かせてはいないですか、と追撃しています。
トピック展開とビリーフの深堀
ここで、グロリアは、「結局、自分はつまらない平凡な人物なのだろうか」、と疑問を呈する形でトピック展開をします。そこに対しても、アルバート・エリスは、その宣言自体には共感を示しつつ、その背後にあるビリーフには、やや攻撃的にも聞こえる(?)トーンで迫っていく会話を展開します。
グロリア:あなたの言っていることに関連するかわかりませんが、私が感じているのは、その時に疑問に思うんです。私は私のタイプではない男性にしか魅力的に映らない種類の女性なのでしょうか?
アルバート・エリス:ええ。
グロリア:私に何か問題があるのでしょうか?私は自分が楽しめるタイプの男性に出会えることは決してないのでしょうか?いつも違うタイプの人としか出会えないような気がします。
アルバート・エリス:なるほど、今あなたが言っていることは、私が話していたことに近づいています。なぜなら、あなたは実際にこう言っているからです:「もし私がこのタイプの女性で、私が惹かれるような良い、適格な男性には誰にも魅力的に映らないとしたら、それは恐ろしいことだ。私は望むものを決して手に入れられない、それは本当に恐ろしいことだ」と。
グロリア:それに、私は自分をそのように考えたくないんです。私は自分をもっと高い基準に置きたいんです。自分が単なる平均的なジェーン・ドウ(一般的な女性)かもしれないなんて考えたくありません。
アルバート・エリス:では、議論のために、今その状況を仮定してみましょう。
グロリア:はい。
アルバート・エリス:あなたが平均的なジェーン・ドウだったとして。それはそんなに恐ろしいことでしょうか?不便かもしれません。不愉快かもしれません。望ましくないかもしれません。でも、「私はジェーン・ドウのようになるかもしれない」と信じているだけで、シャイネスや当惑、恥ずかしさといった感情が生まれるでしょうか?
グロリア:わかりません。
アルバート・エリス:私はそうは思いません。なぜなら、あなたはまだ何かのレベルで、今おっしゃったように「それはとても悪いことだ、それは恐ろしいことだ。もし私が単なるジェーン・ドウなら、私は取るに足らない人間だ」と言い続けているはずだからです。
グロリア:そうですね、それに私は望むものを決して手に入れられないということです。もし私が単なるジェーン・ドウで、望むものを決して手に入れられないということを受け入れなければならないとしたら...私は人生の残りを、好きでもない男性たちと過ごしたくありません。
インタビュー動画ですと11:00付近ですが、グロリアとしては、少し困惑気な表情を浮かべているのが分かります。まあ、当人としては単に向上心を語りたかっただけのところに、思いがけず、あれこれお説教(?)をされてしまっており、困ってしまったのかもしれません。
その他方で、上記の会話の最後で、「結局、私は平凡な女性なので、今後も好きでもない男性たちと過ごさなければいけないんでしょ?」とあきらめにも似たような考えを表明しているようにも見えます。実際のところは、本人にしか分かりませんが。
続きは記事(3)で。
