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音楽、殴ってくる?


 たとえば、自分が初めてちゃんとビートルズを聴いた時。

 それは「Hey Jude」だったけど、

 ポール・マッカートニーが曲の出だしに「Hey, jude…」と歌った瞬間、

 今まで自分が聴いてきたどんな歌よりも、

「今、ここで歌ってる」って感じがした。

 それまで聴いてきた音楽は、と云うか、そもそも「音楽」っていうのは、

 たとえばスピーカーとかイヤフォンとかから「きこえてくるもの、ながれてくるもの」を、

 自分の耳が、ただ「聴いている」んだって思ってた。

 

 当然「Hey Jude」は、もう何十年も前の歌だし、

 しかも外国の、英語の歌で、

 そういう事実はちゃんとわかってた。

 けど、なぜか自分には「今さっき、となりの部屋で録音したものですよ」みたいな感じだった。

 そのくらい、「鮮明」で、「新鮮」だった。



 それからまた別の日、「Helter Skelter」のモノラル音源を、家にあった安物のCDプレイヤーで聴いた。

 音が、殴りかかってきた。

 全然、「きこえてくるもの、ながれてくるもの」じゃなかった。

 ここじゃない、遠い過去の遠い場所で録音された音が、その瞬間、自分の躰を、はっきりと襲ってきた。

 なんなら、ちょっと身の危険を感じた。

 別にどこかに傷がついたり、血が出たりすることはないけど、

 あの人たちの音楽、殴ってくるんです。

 時空を超えて。

 

 


 あと、これも何年も前だけど、Rideのライブに行った時の話。

「Drive Blind」って曲が、ライブの終盤に演奏された。

 この曲のクライマックスに訪れるのは、

 マークとアンディ、ふたりのツインギターと、リズム隊の奏でる、

 観客の鼓膜のことなんてまるで気にしてないような、

 容赦のない轟音。

 
 ちょうど大型スピーカーの前で観ていた自分は、もろに音の暴力に見舞われた。

 鼓膜がどうとか書いたけど、もう耳から入ってくるとかそういうんじゃなく、全身に襲い掛かってくる重低音と超高音の不協和音の津波。

 もうぶっちゃけほぼ拷問レベル。

 「あ、吐くかも」ってギリギリのところでギターソロパートが終わって、なんとか耐えた。
 
 あの日、シューゲイザーの恐ろしさを、文字通り体感した。

 澄ました顔して、なんやかんやでパンクバンドなんかよりも、よっぽどヤバいよ、あの人たち。


 



 



 


 最後に、最近見つけた「CHVRCHES」ってバンド。

 めっちゃ良き。






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