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【糸を紡ぐように】六本木クロッシング2025展:時間は過ぎ去る わたしたちは永遠 森美術館

久々に森美術館へ訪れたが、今回は好みの作品との出会いがあり満足度が高かった。

この美術館は休館日以外、毎日22時まで開けてくれているのがありがたい。 仕事後、食事してから行っても鑑賞時間にゆとりがあり助かる。

展示概要

いま、現代アートからみる日本とは
「六本木クロッシング」は、森美術館が3年に一度、日本の現代アートシーンを総覧する定点観測的な展覧会として、2004年以来、共同キュレーション形式で開催してきたシリーズ展です。第8回目となる今回は、森美術館のキュレーターに加えて国際的に活躍するアジアのゲストキュレーター2名を迎え、「時間」をテーマに、国籍を問わず日本で活動する、もしくは日本にルーツがあり海外で活動するアーティスト全21組を紹介します。

出展作品には、絵画、彫刻、映像はもとより、工芸、手芸やZINE(ジン)、さらにはコミュニティプロジェクトも含まれます。建築、デザインの領域を越え、国際的に高い注目を集めるA.A.Murakamiの没入型インスタレーション。海外のメゾンとのコラボレーションでも話題の桑田卓郎の、圧倒的な造形美を放つ色彩鮮やかな大型の陶芸作品。自身の声や環境音を用いて作品を制作し、舞台作品なども手掛ける細井美裕の新作サウンド・ピース。近年、国内外で高い評価を得ている沖潤子の、繊細な手仕事から生み出される抽象画のような刺繍作品など、100点を超える多様で多彩な表現が一堂に会します。 本展の副題「時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」が示すのは時間の貴さと儚さ。各作品に現れるさまざまな時間の交差を通して、日本のアートを多角的に見つめ直します。

森美術館公式サイト


今回は好きなものをとことん見る、という鑑賞の仕方だった。ピックアップは以下。


沖 潤子

刺繍の作品。 一瞬、色合いや刺繍の様子から「伏木庸平 氏?」と思ってしまったが違う。「あいち国際芸術祭2025 瀬戸のまちなか会場」で見た針の作品の方だ。 沖さんは、自身の母親が遺した糸やハギレから作品を作り始めたという。
作品の下部にミシン糸などがうわっと置いてある。これが……ツボ過ぎて……。 思わずしゃがみ込んで、糸巻きの山をじーっと眺め始めた。

壁面作品の真下にカラフルな…
糸、いと、イト。
圧巻
カネボウ!シャッペスパン!
あ、あのニット用ミシン糸も懐かしい!
とり印
ダルマ!料理で使うタコ糸もうちはダルマだった。

うわぁ、カネボウあるよ…
カネボウは化粧品からじゃないんだよ〜。鐘紡なんだよ、紡績(ボウセキ)なんだよなぁ。

見ていて飽きない。 そして糸の匂いがする。少し埃っぽい匂い。

母の裁縫箱を開けた時と同じだ。針山に刺さるカラフルなまち針や、歴史的音楽家の髪型モノマネができそうなしつけ糸の束とか。
「針が錆びにくくなる」という理由で、母手作りの針山(ピンクッション)の中身は綿ではなく、髪の毛を入れていた。幼い頃の私の髪の毛が利用されていたのだ。その頃は普通の風景と思っていたが、最近その針山を見た時、そういえば中身が髪の毛だと思い出して「人に言ったらドン引きされそうな話だな」と我に返った。

母の裁縫箱は、祖母の裁縫箱でもあったそうだ。 上のトレーを外すと、物凄く重い鉄の裁ち鋏が出てくる。 それも祖母の持ち物だった。切れ味は、抜群。 ジャキン、ジャキン、と布を裁断していくあの音も思い出せる。

私には姉と妹がいるが、二人とも裁縫には全く興味がない。あの裁縫箱はいつか私のもとへ来るのかもしれない。でも多分、私でストップすると思う。いや、でも案外、刺繍が好きな次男が引き継いでくれるかもしれない。
道具から「時間の流れ」を想う。 あぁ、展示タイトルの「時間は過ぎ去る わたしたちは永遠」の意味が、なんとなく腑に落ちてきた。

全て繊維
茎の断面図の様だ
糸そのもの

こうして思い出してみると、裁縫箱って非常に個人的な習慣や歴史のパンドラだ。 沖さんが作品にした経緯も、何となく共感ができた。

沖潤子さんのことをもっと知りたくなり調べていたら、インタビュー記事が出てきた。

「それで初めてチャレンジしたのが(だいぶ経ってからですけど)、スパイラルで2002年に行われた第3回「SICF」(スパイラル・インディペンデント・クリエイターズ・フェスティバル)なんです。いちおう会社に「私こういうの応募して、もし通ったら出ますけどいいですか?」と聞いたら快諾してくれて。」

美術手帖 沖潤子インタビューより

お……2002年に行われた第3回「SICF」。
お世話になった助手の先生が出展したので見に行った回だ。
実はこの会場で、私は夫と知り合ったのだ。
24年前。そうか、見ていたかもしれないのか。
24年。干支が2回り。青山から六本木へ。
このめぐり合わせ。 とても不思議な気持ちになった。

庄司 朝美


不気味なのだけど不思議な温かみ
怖くは無い



この方も2年前の東京都現代美術館の若手中心の展示に出展していた方だ。森美術館のテーマ展示に名を連ねるようになったのが大変感慨深い。

ズガ・コウサクとクリ・エイト

パワー!!! これを見た時、なんかもうワクワクしましたね。 美術とか芸術とか現代美術とか、もうそういう枠組みなんてかなぐり捨ててしまえ!!という勢い。 「創作すること」の楽しさ、大変さがダイレクトに伝わる作品。



ここ最近、小難しい作品を多く見ていたからかもしれない。 清々しい気持ちになった。


パワーなんだが、確実なリアリティがある。
あの足元の独特な石素材の質感は新聞紙で「らしさ」が出ていたとは


六本木の街とイメージ

思えば六本木のイメージも、随分変わったように思う。

六本木ヒルズができ、そこに美術館ができたことで、縁が無いと思っていた土地に年に数回は訪れるようになった。 時間の流れと、時代の流れを感じる。 今回の展示タイトルを十分に実感する鑑賞体験となった。

この作品は単純にずっと見続けていられる作品だった。
童謡「しゃぼん玉」が思い出れる
その詩のエピソードも。
諸行無常

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