【創作の根源】ゴッホ・インパクト―生成する情熱 ポーラ美術館
6月某日。小5の次男が宿泊を伴う林間学校へ行った。
長男の定期テストも終わった。
これは消化するしかない!私による私のための有休を!!!
ということで、一人で車に乗り込み東名を走り御殿場回りでポーラ美術館へ行ってきた。
長男の朝練の出発と同じ時間に出発したら道も順調に1時間ちょっとで到着できた。近いぞ箱根。
しかし東名高速を走り続けるのはやはり神経使うなぁと。
そして帰りはエンジンブレーキというものを初めて使用し下山。エンジンの回転数下がる仕組み、面白い。

展覧会概要
ポーラ美術館では、開館以来初となるフィンセント・ファン・ゴッホをテーマとした展覧会を開催いたします。
わずか37年の生涯のなかで、数多くの絵画を制作したゴッホの名声を築き上げているのは、うねるような筆触とあざやかな色彩による独自の様式、そして何よりもその劇的な生涯に対する評価であると言えるでしょう。わが国でも明治末期以降、個性と情熱にあふれたゴッホの作品や芸術に一生を捧げたその生き方は、美術に関わる者たちの心を揺さぶるだけではなく、文化、そして社会といった広範な領域にインパクトを与えました。
今日にいたるまで変わることのないゴッホからの影響を糧としながら、芸術家たちはそれぞれの時代にふさわしい新たな情熱を、どのように生成してきたのでしょうか。本展ではこのような歴史を振り返るとともに、現代を生きるわたしたちにとって「ゴッホ」がいかなる価値を持ち得るのかを検証します。
ゴッホから後世の芸術家はどんなことを享受してきたのか、をめぐる展覧会。
今年から来年、再来年にかけてゴッホの作品が来日するということで前哨戦企画なんだろう。
これがとても面白かった。
近代から現代まで網羅できる展覧会。
以下は気になった作品
ゴッホ 「アザミ」
チクチクである。
画面もチクチクしている。

ゴッホの画面のテクスチャなのか被写体そのものの特徴なのかが混乱してくる画面。
これは、(私の目の場合)1.5メートルほど離れて眺めるとちょうど良く、それより近づくと絵画全体像がわからなくなってくる。ガチャガチャしてくる。



人それぞれ、目の機能によりけりなんだろうが、「画面とのちょうど良い距離」ってどの辺りになるのだろうか。
そこから「画家の目」を意識すること、割り出すことはできるのだろうか?描いた時の画家の目って…どういう状態だったのだろうか?
100年以上前に描き上がった絵と今私の目の前にある絵、認識している色やテクスチャは…本当に同じなのだろうか?
森村泰昌
森村さんといえばゴッホかセザンヌか。
最初に見たのは1998年の東京都現代美術館での個展「森村泰昌展 [空想美術館] 絵画になった私」だった。
その時にこのゴッホも見ているはず。写真作品だから何点かあるのかな。


98年の個展時、世の中はプリント倶楽部(通称プリクラ)全盛期だった。
そこで森村さんのモナリザになれる「モナクラ」という機械が会場出口に設置された。
モナリザの顔ハメ写真が撮れるだけの機械だけど。
あの頃も今と変わらず好奇心に抗えず1人モナクラ機に入り込み写真を撮った。次の日高校に持って行ったら友人に爆笑されたが誰もシールを交換してくれなかった記憶がある。
そりゃそうだ。天下の女子高生がモナリザの顔はめプリクラなんて要らんよね…今ならわかる。
福田美蘭
大原美術館に1935年頃に収蔵され1984年に贋作認定されたゴッホの作品。50年間はゴッホ作、とされてきたわけだ。

ゴッホと信じて見てきた人が沢山いる、という作品。
贋作判定後、しばらく展示されなかったらしいが、1995年、再公開。今回よく貸し出したな…。残念ながらそちらは撮影禁止。
しかし福田美蘭さん、ものの見事にネタ題材に昇華していた。

「公益財団法人大原美術館(Ohara Museum of Art,Ohara Art Foundation,Kurashiki)」所蔵

おっもしろいなぁー!と笑ってしまった。
でもなんか、わかる。ゴッホらしく、ということをすると美蘭さんの個性はどこへ行き着くのか。こういうことにチャレンジすること自体が美蘭さんの個性なんだろう。
しかしあれだな、美蘭さん、高知県立美術館のハインリヒ・カンペンドンクと徳島県立美術館のシャン・メッツァンジェもそのうちネタにしそう。
いや、贋作の作者側をネタにしたりして。
「ベルトラッキをもっとベルトラッキらしくするには」とかで作品作れそう。
幻の芦屋の「ひまわり」
白樺美術館構想で戦前に購入されたゴッホのひまわり。公に展示されたのはほんの僅かな期間、回数だったそうだ。1945年空襲で消失。
しかし、その「芦屋のひまわり」を吉原治良が見ていたという記録がある。その印象を語った文献もある。
まさに具体美術協会の祖が見ていたとは。これには驚いた。具体美術も芦屋が発祥の地、その地にゴッホがあったことを誇りに思っていたそうだ。
棟方志功が闇雲に「わだはゴッホになる」と豪語していたが、雑誌「白樺」にカラー掲載されたこの芦屋の「ひまわり」を見て改めて感銘を受けていた、と。
数年前の棟方志功展ではこの白樺誌面を見て「ゴッホになる」と言ったという記載を見かけた事があった。どちらにせよ、そのきっかけの作品。
今回は陶版複製を見ることができた。


鮮やかさと大きさに驚いた。こんなに大きかったのか?所蔵先は調布にある武者小路実篤記念館。
製作は大塚オーミ陶業株式会社。
大塚…オーミ…?ってあれか!大塚国際美術館の!と思ったらビンゴだった。なるほど。
大塚国際美術館の設立までのお話も面白い!
他、良品


これはゴッホとテオの墓標を描いた様子。

里見勝蔵(今回初めて知った画家)

中村彝もセザンヌの台の描き方の影響がある、と。
しっかり面白い企画展
箱根という観光地にありながら、バリバリの美術企画を通すポーラ美術館。
リゾートで訪れた人に印象派から優しく導入しておいて現代美術を見せて終わる、という荒技ができるのも魅力の一つなんだろう。
わたくしは、ポーラの皺伸ばしクリームに課金してるんでね、その資金がこの美術館の運営資金に間接的にでも貢献できてるなら…まあ良いかなと思いたいけれど、私の皺伸ばしに貢献してくれてるの?ねえ?してる?
課金額と加齢速度が見合ってない、といわれたらそれまでである。

今回、今まで見た中で1番綺麗に磨かれていたタイミングだった。
これを初めて見た時、事前に公開されていた宣材写真と違いすぎて、密かに自分の中でその年見たガッカリ美術品ワーストワンに輝いていた。
