『レジェンド・オブ・エンブレム』第3話【#創作大賞2024】【#漫画原作部門】
ここは風の谷フウラン。七つある国の中の一つである。火ノ国とは対角線上にある国で、地図では火ノ国が右端の一番下にあり、フウランは左端の一番上にある。
フウランは一つの国であるが、風の国や街ではなく『風の谷』と呼ばれる由縁がある。それは国境に大きな谷があるからだ。この谷があるため、敵は簡単に攻めることができない。谷を渡って攻めようとしても、谷の底には多くの魔物が住んでいる。上空から攻めようとしても、風の谷の長が代々風を操る能力のため、上空の敵はすべて壊滅する。このフウランという国を守ってきた「風」と「谷」こそが『風の谷』と呼ばれる由縁である。
少女「あ!やっと目を開けた!よかった〜!」
リアム「ここは…」
少女「私はフローア!ここは私のお家よ。あなたの名前は?」
リアム「俺の名は…リアム。助けてくれたのか?」
フローア「あなたが森の中で傷だらけで倒れているのを見つけたわ。適切な処置はしてあったけど、それを見過ごせるわけもないからここへ運んできたってわけ。3日ほど寝ていたわ。」
リアム「3日も…!しかも1人で森の中に…ちょっとよくわかっていないがありがとう。助かったよフローア。」
フローア「とにかく目が覚めてよかった…!温かいスープと食事を用意しているわ。お風呂も沸かしておくね。ご飯食べたらすぐに入っていいからね!それじゃ向こうで待ってるね〜!」
フローアはそう言った後、食卓へ向かった。リアムがいるのは寝室である。リアムの横にはもう一つベッドがある。
リアム(心の声)「誰のベッドだろう…」
そう思いながらもリアムはゆっくりとベッドから出て、食卓へ向かった。扉を開けると、パンとスープの香りが漂い、リアムのお腹がなる。
「ぐ〜っ。」
フローア「改めておはよう!どこでもいいから座ってね!」
机は1つで4つの椅子が机を囲んでいる。
リアムはフローアが立って用意している隣の椅子に座る。
フローア「どうぞ!召し上がれ!」
リアム「美味しそう…ありがとう。頂きます。」
リアムはパンを手に取り、スープにつけて食べる。
リアム「美味しい…!こんな美味しいご飯は初めてだ…!痛っ…!」
フローア「そんなに言ってくれるなんて嬉しいわ!お兄ちゃんなんて頂きますとご馳走様はきちんと言うけど、感想なんて言ってくれたことないわよ!傷は癒えてるけど、身体を動かしてなかったからあちこち痛いと思うわ…リハビリが必要ね。」
リアム「お兄さんがいるのか…?」
フローア「そうよ!今はいないけどね!さあ、食べたらお風呂に入ってね!」
リアムは食事を済ませた後、風呂にも入り、初めて生きてて良かったと思えたのであった。
リアム(お風呂の中)「幸せだ。こんなに幸せだと感じたのは生まれて初めてだ。フローアには感謝しても仕切れない。」
リアムは風呂から出た後、食卓で待っていたフローアに自分が奴隷だったことや今までのできごとを全て話した。
フローア「そんなことがあったのね…大変だったねリアム。ここは風の谷。火ノ国からは約10万km以上は離れているわ。追手がいたとしてもすぐに辿り着ける距離ではないわ。リアム親はいないの?」
リアム「親はいないよ。物心ついた時から奴隷だった。それまでは子どもを育てる施設みたいなところにいたらしい。フローアは?」
フローア「そうなのね。私も親がいないの。いないというより、殺されたの。ちょうど3年前くらいに…魔物にね…」
リアム「魔物だって…」
フローア「そうよ。風の谷は谷があるから敵が攻められないんだけど、谷底には魔物がたくさん住んでいるの。時々、谷底から上がってくる魔物がいて、その這い上がってきた魔物にお父さんとお母さんは殺されたわ。その後はフウランの長が駆けつけてきてくれて、私とお兄ちゃんは助かったわ。這い上がってくる魔物を倒すために討伐隊がフウランにはあるの。お兄ちゃんは1年前からその討伐隊の1人よ。今日も谷に行って魔物を狩っているわ。」
リアム「そうだったのか…辛い話を思い出させてしまってすまない。」
フローア「いいのいいの!もう3年前のことだし、今はお兄ちゃんと2人暮らしだけどこうして元気に過ごしているしね!リアムも来てくれたから家が明るくなったよ!」
リアム「フローアには感謝してもしきれないよ。ありがとう。」
リアムとフローアが話している束の間、「ゴンゴンゴン!」激しく扉を叩く音がする。
フローア「はーい!」
フローアが扉を開けようとしたその時、見たこともない形相で1人の男が入ってくる。
討伐隊の男「フローア!ロアンの討伐隊がもう1週間も帰ってきていない!本当は昨日に帰ってくるはずだったんだが!」
フローアは兄のロアンから「行ってくる。今回の魔物狩りはいつ戻れるのかわからない。大型の魔物だと聞いている。」と言われていた。
フローア「なんてこと…!どうすればいいの…!お兄ちゃんまでいなくなったら私…!」
リアム「フローアのお兄さんがいるところに連れて行ってくれ。力になれるかもしれない。」
フローア「だめよ!谷に行けば命を落とすかもしれない…リアムまで…」
リアム「大丈夫。谷では死なないと俺の勘がそう言っている。お兄さんにも会いたいしな。」
討伐隊の男「誰だか知らないが少しはやれそうだ。長にも話しに行ったが今は別件で出ているとのことだった。帰ってくればすぐに駆けつけてもらうと従者が言っていた。ではリアムとやら、ついてこい!」
フローア「リアム…!」
リアム「危ないからフローアは部屋で待っていてくれ。
皆を助けたらすぐに帰ってくるよ。」
リアムは討伐隊の男と一緒に谷へ向かった。右手の甲の火の紋章が静かに光った。紋章は力を使う時じゃなければ周囲の人には見えないようになっている。リアム自身は紋章にはまだ気付いていなかった。
リアムは討伐隊の男に案内され、谷底へ到着する。
谷底は風が吹き、少し寒く薄暗い。魔物がいるため、無闇に動かずに静かにロアンがいるところへと向かった。
すると、討伐隊数十人とロアンが倒れている姿が見えた。
討伐隊の男「あれだ!皆いたぞ!」
皆が倒れているところへ行こうとすると、ロアンが力を振り絞り言った。
ロアン「ここへくるな!逃げろ!」
ロアンたちは雌型のライオンに似た魔物数十匹に囲まれていた。
ブルース「あれは、Dランクのヘルライガーだ…あれだけいては俺たちだけでは敵わない…!」
リアム「ブルースさんは俺の後ろにいてください。今から皆を助けます。うおーーー!!!」
ブルース「やめておけ!勇敢な兄ちゃんでも勝てやしねえぞ!」
リアムはヘルライガーに斬りかかる。数々の死闘を切り抜けてきたリアムにとってDランクのヘルライガーは相手ではなかった。それもそのはず、直近で戦った相手は人間のランクでいうBランクのギール。そんな敵と戦ってきたリアムにとって魔物と戦うのは簡単なことであった。
ロアンと討伐隊の周りにいたヘルライガーはすべて斬り殺したリアム。
リアム「さあ、これで全部だな。」
ブルース「何者だこの兄ちゃん…討伐隊が全滅したのにも関わらず、一人だけでねじ伏せやがった…」
と、その時「ドン!ドン!」と大きな足音が近づいてくる…!
ブルース「こいつはやべえよ!ボスだ!ヘルライガーのボスだ!」
リアムの前に現れたのは雄型のライオンの魔物ガゼルライガーであった。
リアム「この佇まい…強い…」
ガゼルライガーは瞬時にリアムに襲いかかる。
ガゼルライガーの引っ掻く攻撃をもろにうけ、噛みつかれようともしたが間一髪で避けていく。
リアム「火剣!炎の舞!奥義!火焔龍星!」
リアムの怒涛の攻撃にガゼルライガーは少しずつ押されていく。
リアム「これ以上人をに危害を加えるな!魔物のあるべき姿に戻れ!」
ガゼルライガーは咆哮と突進を繰り返したが、リアムは怯んだりもしたが、ギリギリ致命傷になるところは避けてガゼルライガーに的確に斬っていった。
リアム「お前みたいなのが仲間になってくれたら心強いのにな…残念だよ…」
とリアムは最後にガゼルライガーに言い残した。
リアム「終わりだー!おおーっ!」
ガゼルライガーの角を斬り落とし、腹部に致命傷を与え斬り伏せた。
ブルース「やりやがった…!」
リアムがヘルライガーに背を向けようとしたその時…!
リアムの剣とヘルライガーが突如光輝く…!
リアム「なんだこの光は…!」
リアムの能力は一体何なのか…!
第4話へ続く…
