ろろろのめ第10回 サマソニ2025に漂う「K-POP偏重」論と洋楽ファンの違和感そして「サマソニ大阪冷遇論」は本当か?
サマソニ2025に漂う「K-POP偏重」論と洋楽ファンの違和感
そして「サマソニ大阪冷遇論」は本当か?
――チケット価格・経済格差・文化構造から読み解く「東京優遇」の実態
------「大阪冷遇論」は本当か?――制作体制と文化構造の問題


2025年のサマソニをめぐって、「もう大阪はやめたいんじゃないか」「キョードー大阪の運営姿勢が影響しているのでは」「FM802が洋楽を支えてこなかった責任もある」といった指摘が散見された。特に、21 SavageとThe Prodigyが東京会場(幕張)のみの出演で、大阪に登場しないという事実が、こうした声に拍車をかけている。
背景には、大阪における洋楽人気の相対的な低さや、地元メディアの支援体制の弱体化、イベント制作力におけるキョードー東京と大阪のリソース格差など、構造的な問題があるとされる。地価や最低賃金、消費支出の差異など経済面でも東京に比べて不利な点が多く、アーティストやプロモーターが「大阪公演を省略する」判断に至る土壌が存在しているのは否定できない。

「K-POPばかり」ではないが、見え隠れするモヤモヤ
2025年のサマーソニックをめぐり、「K-POP偏重では?」という声が各所で聞かれている。aespa、i-dle、TREASURE、BABYMONSTERといった人気K-POPグループの出演は動員の観点からも当然の戦略だが、洋楽ファンからは「K-POPに枠を取りすぎて洋楽の存在感が薄れている」といった不満も出ている。
このような反応の背景には、「かつて洋楽中心だったサマソニが変質してしまった」という寂しさと、タワレコの洋楽棚が縮小していった時代に通じる構造的な変化への違和感がある。(そんなタワーレコードは2024年2月期に過去最高益を達成し、最終利益は18億8300万円と、前期比85.5%増となり、これはCDが最も売れていた時期を上回る数字である。)
一方で、K-POP偏重のように見えるラインナップも、K-POP合同コンサートの販売不振や動員苦戦という現実を踏まえると、「K-POPなら必ず売れる」時代ではないことも事実だ。2025年春に予定されていた三浦大知、いきものがかり、K-POPアーティストによる合同コンサートでは販売が苦戦し、集客力への過信がリスクを伴うことが示された。
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フェスが生き残るための“苦しい選択”
現在のフェス運営は、ただ理想を語るだけでは成り立たない。サマソニは、国際的なビッグネームをメインステージの夜に配置しつつ、K-POPや邦楽の人気アクトで動員を支える構成で、クオリティと採算の両立を図っている。
例えば、21 Savage(Spotify月間リスナー数:約4,300万人)は本人からの逆オファーで東京会場への急遽出演が決定。The Prodigy(同:約450万人)も東京限定で出演するが、大阪では見送られた。こうした出演地域差に対し、「もう大阪はやめたいのでは?」「キョードー大阪やFM802の洋楽支援姿勢の弱さが原因では?」という声も散見される。
Fall Out Boy(FOB/月間リスナー数:約2,400万人)は、両会場でヘッドライナーを務めるが、The Prodigyの大阪回避など、アーティストごとの地域差が可視化される中で、「文化的な投資や支援の差が東京と大阪で広がっているのではないか」という根深い不信も生まれている。
実は“冷遇されていない”大阪の現実も
一方で、サマソニ大阪会場のプラチナチケットは東京よりも早く完売しており、大阪側の熱量や需要が劣っているとは一概には言えない。
チケット価格は以下の通りで、東京会場の方が全体的に高く設定されている。
サマソニ幕張:
2Days 38,000円 / 1Day 20,000円 / プラチナ 34,000円
サマソニ大阪:
2Days 35,000円 / 1Day 18,000円 / プラチナ 30,000円
この価格差の背景には、東京と大阪の経済格差や地価・消費支出の違いがあると見られる。
最低賃金:東京1,163円/大阪1,114円
地価(坪単価):東京23区平均約230万円/大阪中心部約80〜150万円
単身世帯の消費支出(月間):東京約16.5万円/大阪約15.2万円
また、サマソニの主要来場者層の約7割は10代〜30代であることも考慮すべきだ。東京と大阪の人口構造を比較すると、総人口では東京(約1,400万人)が圧倒的だが、大阪市は単体で約280万人、15km圏内に約631万人が暮らしており、都市圏としての人口密度も高い。
さらに、10代〜20代前半においては大阪の方が人口比率が高い傾向もあり、この年齢層に支持されやすいK-POPや若手アーティストに強い需要があると考えられる。30代になると東京の比率が上回るが、大阪の若年層市場のポテンシャルも十分に高いのだ。
実際、クリエイティブマンの清水直樹氏もこう語っている。
> 「サマソニのオーディエンスは10代〜30代が6〜7割を占める。彼らにとって90年代はもう“レジェンド”の時代だよね」
(出典:rockinon.com)
つまり、90年代に活躍したアーティストよりも、今まさにSpotifyなどで聴かれている最新のアクトを見たいというニーズが、フェスの中核層を動かしているのだ。

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批判と擁護の狭間でフェスを見つめ直す
「何でこのアクトが大阪に来ないの?」「もっと洋楽を前面に出してほしい」――そんな声は当然だ。しかし、それが単なる愚痴で終わるのではなく、フェスが生き延びるための戦略と構造に目を向ける契機になれば、批判も意味を持つ。
「洋楽が少ない」「あのアクトが大阪に来ない」といった声は当然出てくる。それでも、売れ行きが悪ければ次年度の開催自体が危うくなる、という視点も必要だ。
サマソニの現在地は、理想と現実のせめぎ合いの中にある。動員を確保するK-POP、フェスの格を守る洋楽アクト、そのバランスをいかに保つかが問われている。
サマソニは変化の只中にある。今後のフェスの姿を形づくるのは、アクトの豪華さだけではなく、それをどう受け止め、どう支えていくかという観客の成熟と意識なのかもしれない。
