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バラと共に去りぬ

私がそろそろ次の居場所を探し始めるとき

⒈ 何となく嫌
⒉ 建物に不具合が生じた
⒊ 隣人が本性を現した

だいたいこんなことがきっかけになる。

そんな私が、3年前の夏、人生で初めて
自己都合じゃない引越しを経験した。


2022年も、残り1週間となった頃、庭に居た私に、知らない男性が近づいて来た。

「どうも、〇〇〇〇です。」
「実はオーナーが、この家を売ることになりました。先ずは入居者の〇〇さんに、ご購入を検討いただけないかと思いまして」

そう言いながら、1.2億円と書かれたチラシを渡された。

い・ ち・お・く・に・せ・ん・まん。

営業マンは終始にこやかに
これから私がこの家を出ることになるという話を、遠回しに告げた。

あなた!
さっき私に「この家買いませんか?」と
言ったばかりですよね?

どうせ買えないと思って、バカにしてんのね。

まぁ、買えないけど…。

「心の声」が、ダダ漏れの営業マン。
名前も顔も忘れない。

この件は管理会社も寝耳に水だったらしく、当初は私の味方をしてくれていた。
でも途中から、「オーナーさんの不利益になることは言えません」と態度が変わった。
少なくとも、私はそう感じた。

私は日毎に、一刻も早くこの家から出たいという思いが強くなっていた。

ただ、新居探しにはかなり苦戦した。
ペット可で、庭付き一戸建てなんて、そう簡単には見つからない。
いや、お金を出せばいくらでもある。
でも、家賃30万とか …ムリ

私はプー子と、母の日にプレゼントしてもらったバラ6鉢だけを連れて行くことにして、新居を決めた。

連れて行けないバラたちを貰ってくれないかと
バラ好きな友人に声をかけた所、三人が引き取っても良いと言ってくれた。

私は、家が一番近く、一緒にバラ園を巡り、バラフェスにも通った彼女に、プランター18鉢と地植えの2本を託すことにした。
ご主人が運んでくださるとのことで、これで私は引越しに集中出来るとホッとした。


彼女は地植えのバラを掘り起こしながら、

「毎年綺麗に咲いてたのに、可哀想。」

そう言った。

私は悲しんでいる暇もなかったが、
プランターの底を突き抜けて、深く根を張ったバラを切った時だけは、涙が止まらなかった。

ジェームズ・ギャルウェイ
イングリッシュローズ(ER)


彼女のご主人が運んでくださる予定だったが、結局は私が運ぶことになった。
一人で片付けをしていた私は、断ったお二人に今さらお願いする余裕もなく、掘り起こしたERとプランター18個、レンガやラティスなどを何往復もして運び、ようやく引越しが終わった。

慣れないマンション暮らしが始まって、暫くして、彼女がパタリとバラの話をしなくなったことに気づいた。

彼女からのLINEは、私が住んでいた家が売りに出されたこと、取り壊されたこと、マンションが建つこと。

当時、バラに触れないのは、私に対する気遣いかと思っていた。

それから1年8ヶ月経った昨年2月、『犬と庭』の願いが叶って、私は今の住まいに越して来た。

彼女には真っ先に知らせた。

私は嬉しくて、引越しの荷解きを後回しにして、2年ぶりの土替えを急いだ。

彼女をバラ友だと信じて疑わなかった私は、
「もう土替え終わった?」と聞いた。
「私は今頑張ってるよ !」 と。

返事は「まだ何もしてない」だった。

その時私は、思わず「え〜」と言ってしまった。

2月も下旬。
バラの開花は年々早くなっている。
私にとっては、もう土替えを終えていてもおかしくない時期だった。

ガブリエル
神秘的✨


そして今年の1月。
どうしても絶やしたくないER。
ノイバラの台木が入ったら、そのバラを接木したいので、枝を分けて欲しいと頼んでいた。

約束の日
「着いたよー」と彼女の家の前からLINEをして待つ間、玄関先で、枯れてカリカリになったバラの花と目が合ってしまった。

私は、バラは美しく散らせてあげたい人なので、その瞬間、心がザワついた。

春になってバラが咲き始めても、私からはバラの話題はしなかった。

彼女からいただいた穂木が、無事活着して新芽を出したことだけは報告したけど、その後は連絡そのものをしなかった。

つい先日彼女から、マンションの建築が本格的に始まったと、また画像付きでLINEが届いた。

その場所は、今も私の生活圏内で、度々前を通ることを話してある。
私はもう、何と返信して良いのかわからなくなってしまった。


私は、彼女はずっと同じものを見ている人だと思っていた。

バラ園を一緒に巡った時間
バラフェスの列に並んだ時間
ホームセンターに何度も通った時間
あれは、何だったのだろう

つるアイスバーグ


「バラ」が私たちの「共通言語」だと思っていたけれど、それは私の勝手な思い込みだったのかもしれない。

バラの話題だけを不自然に避けたまま、今後も彼女と関係性を継続していけるほどの器用さを、私は持ち合わせていない。

ピエール ド ロンサール
加工ナシ
めちゃくちゃ濃い色に咲いた年があった
ナエマ
可愛い😍


最後まで読んでくださって
ありがとうございました😊

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